Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

三島由紀夫の異色作を舞台化した『命売ります』が開幕

ぴあ

18/11/25(日) 10:00

パルコのプロデュースによる〈三島×MISHIMA〉シリーズ第2弾『命売ります』が、11月24日(土)にサンシャイン劇場で初日を迎えた。長編『豊饒の海』を舞台化した第1弾とは異なり、今度は三島由紀夫が週刊プレイボーイで連載したエンタメ小説が原作だ。

今では“文豪”と称される三島だが、1968年の発表当時は流行作家として、純文学からエンタメ小説、戯曲に作詞、テレビ出演まで、硬軟自在に活躍していたことが知られている。『命売ります』は、三島の生誕90年にあたる2015年に“隠れた怪作”として書店展開され、SNSなどで話題沸騰。その後25万部が重刷されて、大手書店の文庫週間ランキングで1位を獲得するなど、“文豪”としては異例のブームとなった。図らずも、三島のもつエンタメの力量を証明することになった本作。その舞台化である本公演にも、注目が集まっている。

物語は、原作が発表された1960年代の香りを残しつつ、ひとりの青年が死と生の狭間をうろつく姿がユーモラスに、時にハードボイルドに描かれる。ふと自殺を試みて失敗、新聞に「命売ります」の広告を出す青年・羽仁男役には、2.5次元ミュージカルから大作ミュージカルにも進出中の東啓介。ストレートプレイ初挑戦での抜擢だ。

羽仁男が出会う人々も、皆クセ者ばかり。演者も多彩で、さっそく依頼にやってきた謎の老人に温水洋一、その若い妻・るり子に、莉奈。るり子を愛人にしているベレー帽の男には、不破万作が配された。また、吸血鬼の井上夫人役に樹里咲穂、アラサーの薬物中毒・玲子に馬渕英里何のほか、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の草太役も記憶に新しい上村海成が、吸血鬼の母のために羽仁男を買いに来る高校生・井上薫を演じる。

演出は、劇団はえぎわ主宰で、近年では海外戯曲の演出や高齢者をテーマにした公演、地方での舞台創作と、精力的に活動を続けるノゾエ征爾。日常を持てあます現代人を描くことにも定評のある劇作家・演出家だ。本作ではノゾエと同じ小劇場出身で、笑いとシリアスのさじ加減を絶妙にやってのける家納ジュンコ、市川しんぺー、平田敦子らも出演。先述した役者陣ともども、三島の強度のある軽さとアイロニーをどう見せてくれるのか、楽しみでならない。

サンシャイン劇場にて12月9日(日)まで。大阪公演あり。

文:佐藤さくら

Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play