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10連休GWが起こした珍事? コナンとアベンジャーズの「掟破り」コラボの理由

リアルサウンド

19/4/10(水) 18:00

 先週末の映画動員トップ10は、年に数回ある前週からほとんど動きのないランキングとなった。公開初週からこれで6週連続の1位となった『映画ドラえもん のび太の月面探査記』から、公開3週目の5位の『バンブルビー』まで、トップ5はまったく変動なし。トップ10に初登場となった作品は、10位の『バイス』のみ。今年のアカデミー賞作品賞ノミネート作品としては最も遅い日本公開となった同作だが、公開日からの3日間で動員4万4123人、興収5673万5900円という地味なスタート(そもそもスクリーン数が2ケタなので仕方ないが)。というわけで、先週末の動員ランキングについては特に目新しいトピックはない。

参考:ランキングはこちら

 結果的に2019年の春休み興行は『ドラえもん』(4月7日までの38日間累計で興収45億円突破)と『翔んで埼玉』(4月7日までの45日間累計で興収31億円突破)の2強に。そこに食い込むと期待された『ダンボ』は不発に終わり、代わりに『キャプテン・マーベル』が4月7日までの24日間累計で興収17億円突破と、累計興収20億円の大台超えを狙える奮闘を見せている。ちなみにマーベル・シネマティック・ユニバースの単独ヒーロー作品(事実上ヒーロー大集合作品であった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を除く)で20億円を超えた作品は2013年の『アイアンマン3』(累計25.7億円)と2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』(累計28億円)の2作品のみ。いよいよ4月26日に世界同時公開が迫ったシリーズ大団円『アベンジャーズ/エンドゲーム』に向けての弾みがついたかたちだ。

 今週話題となっているのは、その『アベンジャーズ/エンドゲーム』と4月12日公開『名探偵コナン 紺青の拳』のコラボレーションによるプロモーションが開始されたこと。言うまでもなく前者はディズニー配給作品、後者は東宝配給作品。公開日が2週間ずれているとはいえ、ゴールデンウィーク興行では日本全国のシネコンでのスクリーン数やキャパの確保をめぐって熾烈な争いをすることになる、ガチガチのライバル関係にある作品。そんな作品同士がプロモーションのポスターや動画でコラボレートするというのは前代未聞のことだ。

 ちょうど1年前の同時期に公開されたそれぞれ前作の興行成績は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が37.4億円、『名探偵コナン ゼロの執行人』が91.8億円。ダブルスコアをはるかに超えて『コナン』の圧勝。ちなみに、主要マーケットとなる国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が年間ではもちろんのこと週間でも動員ランキングの1位にならなかった国は世界中で日本だけ。それを阻んだのは他でもない、昨年同時期に7週連続1位を記録した『名探偵コナン ゼロの執行人』であり、そのことを踏まえても、今回のプロモーションが「掟破り」と銘打たれた意味がわかるだろう。

 2018年の年間興収ランキングでも、3位の『名探偵コナン ゼロの執行人』と12位の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』には大きな差がある。結局、11月公開の『ボヘミアン・ラプソディ』が年間1位の超特大ヒットとなったおかげで、全体の映画興収は前年(2017年)からの2.7%減という微減レベルに収まったものの、東宝やディズニーという大メジャーにとっては、各作品の興収だけでなく、映画興行全体の規模の縮小こそが最大の敵とも言える。また、これまで22年間続いている『コナン』シリーズ、11年間続いている『アベンジャーズ』ともに、既存のファン層はあらかた開拓し尽くしたという状況にある。一見、ずっと「負け」てきた『アベンジャーズ』にはメリットがあっても、ずっと「勝って」きた『コナン』にはメリットがなさそうな今回のコラボレーションだが、大局的に見れば「ゴールデンウィーク興行全体を盛り上げる」という共通の目的を有していると言える。

 加えて、今年のゴールデンウィークは空前の10連休。これまで映画界にとってゴールデンウィーク興行は年間を通じて正月興行と夏休み興行に続く「3番目の書き入れ時」であったが、日本映画と外国映画の最有力作品がこうして揃い踏みした今年に関していうならば、「2番目の書き入れ時」、あるいは「最大の書き入れ時」も狙えるという目論見もあるのだろう。現在、世界的にはNetflixを筆頭とするストリーミングサービスの脅威に映画界全体が晒されていて、数年遅れているとはいえ、その波は日本にも確実に押し寄せてきている。2019年が終わった時、もしも3年前(2016年)の歴代最高興収2355億円を超える記録を達成したら、その時は改めて今回の「掟破り」のコラボレーションが「成功した」と振り返ることになるだろう。(宇野維正)

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