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ぴあ

sumika、ゲス極、androp、クロマニヨンズ、ORANGE RANGE……日本のバンドシーンの現在

リアルサウンド

18/8/28(火) 8:00

 劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマ、主題歌を収めたsumikaのニューシングル、最高傑作の呼び声も高いゲスの極み乙女。のニューアルバムなど、バンド勢の新作を紹介。ますます多様化し、音楽的にも自由度を増している日本のバンドシーンの現在をぜひ感じ取ってほしい。

(関連:sumika、なぜバンドシーンで稀有な存在に? ユニークな取り組みとサウンドメイクを解説

 今年4月にリリースした『Fiction e.p』がオリコン週間チャート3位(2018年4月23日~29日付)を記録し、 5月から始まった全国ツアーは日本武道館2daysをはじめ各所でソールドアウト。活動を重ねるごとにスケールを増しているsumikaの新たなアクションは、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマ「ファンファーレ」、主題歌「春夏秋冬」による両A面。前者は、華やかなバンドサウンドとドラマティックなメロディのなかに主人公たちの切なすぎる運命を織り交ぜたアッパーチューン。そして後者は、アニメの物語と重なるように、四季の移ろいを叙情的に描き出したミディアムバラード。原作者の住野よるも以前からsumikaのファンということもあり、「アニメ版のキミスイはどうあるべきか?」という両者の意志疎通によって、しっかりと作品に寄り添った楽曲に仕上がっている。

 川谷絵音がライブで「いままでの曲でいちばん難易度が高い」と発言したプログレッシブなアッパーチューン「オンナは変わる」、洗練されたコード進行と憂いを帯びたメロディライン、クラシカルな弦のアレンジが溶け合う「もう切ないとは言わせない」、鋭利なロックサウンドのなかで社会風刺を帯びたシニカルなリリックが鳴り響く「僕は芸能人じゃない」などを収録したゲスの極み乙女。の4枚目のフルアルバム『好きなら問わない』。バンドのコンセプトは結成以来まったく変わっていないが、メンバー4人の音楽的な成長によるアンサンブルの進化、そして、さまざまな活動の局面をドキュメンタリー的に反映させる歌詞によって、これまででもっともスリリングな作品へと結びついている。ありとあらゆることを音楽に集約させる川谷の姿勢はどう考えてもリスペクトに値する、と思う。

 約3年ぶりのフルアルバム『cocoon』を引っ提げた全国ホールツアーによって、さらに深みを増した音楽性をしっかりと見せつけたandrop。ドラマ『グッド・ドクター』の主題歌として書き下ろされたニューシングル『Hikari』は、豊かなドラマ性を感じさせる旋律、有機的なグルーヴによって歌を際立たせるバンドサウンド、“どんな暗闇も光に変えてみせる”という思いを込めた歌詞がひとつになったミディアムバラード。“普遍的な歌”“メンバーの技術、個性を活かしたアレンジ”など『cocoon』で達成したことを踏まえつつ、バンドとしてのさらなる深みを感じさせる、きわめて質の高い楽曲だと思う。2019年の10周年イヤーを視野に入れながら、andropは着実に前進を続けている。

 2006年の結成以来、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムを出し、毎年ツアーを続けてきたザ・クロマニヨンズ。今回のニューシングル『生きる』でも“やっている音楽はまったく変わらないはずなのに、新作はいつも新鮮に聴こえる”というマジックはさらに冴えまくり、斬新すぎるロックンロールを体現している。生々しいライブ感に溢れたバンドグルーヴも素晴らしいが、特に〈見えるものだけ それさえあれば/たどり着けない答えは ないぜ〉〈時間なんか 無かった〉という歌詞には本当にドキドキさせられた。驚くほどシンプルな言葉で人間の本質を射抜く甲本ヒロト、マーシー(真島昌利)のロックンロールはやはり格別。本人たちに聞いても「そんな難しいこと考えてないよ」と言われるだろうけど。

 2016年の15周年のアニバーサリーを経て、昨年はEP盤『UNITY』のリリース、全国ホールツアーなど、着実な活動を重ねてきたORANGE RANGENGEの約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『ELEVEN PIECE』。すでにライブで披露されている「Ryukyu Wind -ELEVEN PIECE ver.-」「Hopping」などの先行配信曲を含む本作には、テクノ、エレクトロ、ロック、ヒップホップなどを行き来するサウンド(NAOTOの自由な創造性、完全に歯止めが効かなくなってます)、ナンセンスな雰囲気と真摯なメッセージ性が自然に共存するリリックなど、このバンドの特徴がさらに強く押し出された作品となった。個人的ベストトラックは、近未来的エキゾチシズムと呼ぶべき「KONNICHIWA東京」とYOH(Ba)の作詞作曲によるメッセージソング「大きな夢の木」だ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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