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ぴあ

『DANCE ALIVE WORLD CUP 2018』が示した、メジャー×アンダーグラウンドの可能性

リアルサウンド

18/8/30(木) 13:00

 すごいものを見せてもらった。誰もが、そんな感想を抱いたことだろう。8月3日、さいたまスーパーアリーナで行なわれた、ソロダンサー世界一を決める『DANCE ALIVE WORLD CUP 2018』。各国から招待されたトップダンサー12名が磨き上げてきた技とプライドをかけて、ガチンコでダンスバトルを繰り広げた。そして、このイベントを盛り上げようと、LDHアーティストを中心とした、スペシャルゲストパフォーマーたちも集結。アンダーグラウンドとメジャー、日本と世界、ルーキーとベテラン、男と女……あらゆる垣根を越えて、ダンスという共通言語で交わる場所。その体験は、一度味わったらクセになる。

参考:GENERATIONS、“国民的実力派グループ”という大海原へーー東京ドーム公演で見せた無限の可能性

 『DANCE ALIVE』のルールは至ってシンプルだ。ダンサーが赤コーナーと青コーナーにわかれて、DJの流す音楽に合わせて即興で踊り合う。そして、ダンス界のレジェンドである審査員4名(1人1票)と、オーディエンスのジャッジ(多くカードが上がった方に1票)の5票によって勝敗がつく。もちろん、オーディエンスの声援が半々近く割れることもある。会場全体が1色に染まっても、審査員のプロの目によってドンデン返しになることも。限られた1分という短い時間の中で、確かなスキルを審査員に示し、人びとを魅了することができた者だけが、トーナメントの頂点に立つことができるのだ。

 誰が優勝してもおかしくないとは、まさにこのこと。世界各国から呼び寄せられたダンスバトラーたちは、数々のダンス大会でその名を轟かせてきた者たち。例えるなら、ここはダンス界の“天下一武道会“だ。第1バトルのLil G(ベネズエラ)vsKonkrete(アメリカ)から、そのハイレベルな闘いに驚く。Lil Gが軽やかなステップを踏んだかと思えば、あれよあれよという間に片手倒立やらヘッドスピンやらと、もう「なんだ、その動きは!」とムズムズしてくる。一方、Konkreteも長年KRUMPシーンを牽引してきた経験を存分に見せつける。キャップをひっくり返したりシャツで顔を隠したり、さらにはLil Gのペットボトルを口に加えるなど、遊び心たっぷりなパフォーマンスを披露。即興とは思えない余裕っぷりが、オーディエンスの心を掴んだ。

 続く、第2バトルも、HOUSEのJungle(アメリカ)vsBBOYのISSEI(日本) と異なるジャンルのダンサーがぶつかる好カード。しかも、Jungleは23歳、ISSEIは21歳と、若き才能がしのぎを削る姿は、ダンス界の未来を明るく照らすかのように眩しい。第3バトルのGREENTECK(カナダ)vs TAKUMI(日本)は、スーツにハットというファッションセンスでも注目を集めるイケメンダンサーと、まさに新人類と言いたくなるような長い手足を持つ現役高校生ダンサーという美しい組み合わせだった。

 これほどの実力者が揃うと、全ての対戦が「夢のカード」になってしまうのだ。DJが流す楽曲、会場の温度、そして対戦相手がどう出てくるのかによって、引き出されるパフォーマンスが変わってくる。全てが一期一会。その緊張感こそ、ライブで見る醍醐味なのだ。

 日本を代表するHOUSEダンサーのPino(日本)が、Konkreteと対峙したことでKRUMPを取り入れるサプライズに胸を踊らせたり、Yusei(日本)が楽曲のタイミングにピタリと合わせてユニークな振りを披露して会場から笑いを誘ったり、ヘッドスピンから2000もの大技を生み出すKaku(日本)がGREENTECKとお互いの健闘を称え合うように微笑んだり、Mia(日本)の力強くもキュートなムーブに思わずSALAH(フランス)が投げキスをして見せるなど、バトルである以前にみんな踊ることが好きで、楽しくて仕方ないといった様子なのが、見ているこちらにも伝播し、最終的には審査員も踊りだしてしまう最高にハッピーな空間なのだ。

 そんな中、決勝に駒を進めたISSEIとSALAHの頂上決戦は、“終わってほしくない“と思わせるような時間だった。Daft Punkの名曲が流れると、会場全体の熱気もさらに上昇したのがわかった。SALAHもISSEIも上着を脱ぎ捨てると、奇しくもふたりは同じ黒のタンクトップを着込んでいた。肉体だけで勝負をするのに、ふわさしい出で立ちに。

 パントマイム性を取り入れたSALAHの動きは、実にユニークでずっと見ていても飽きない。次はどんな振りを見せてくれるのか、そんなワクワクを私たちに提供してくれる。実は、世界最高峰のストリートダンス大会を何度も制し、マイケル・ジャクソンとシルクドソレイユのコラボレーション『Michael Jackson THE IMMORTAL World Tour』の主役として出演した実績を誇るSALAH。フランスダンス界の大御所中の大御所でありながら、その親しみやすさに会場中が虜になった。

 対する、ISSEIも世界最年少かつ日本人で初めて『Red Bull BC One World Final 2016』で優勝を掴み取った偉業の持ち主。この『DANCE ALIVE World Cup 2018』でバトルを展開するたびに、その動きが進化しているのを感じる。それほど、彼の可能性は未知数だ。手、腕、肩……どこでも全身を支えられる強靭な肉体に惚れ惚れする。もっと彼のダンスを見ていたい。そんな余韻に浸りながら、最終バトルは幕を閉じた。結果は、SALAHに軍配が上がったものの、両者に惜しみない拍手が贈られる。

 世界最高峰のバトルに、盛り上げようと集まったスペシャルゲストパフォーマーたちも感化されるかのようにアツいライブを繰り広げた。「LDHでもダンサーでもないけど!」と自虐気味のMCで場を和ませつつも、歌い始めたら気迫みなぎるラップにオーディエンスが釘付けになったSKY-HI。ロサンゼルスで行なわれたダンスコンテスト『WORLD OF DANCE』で日本人初の二連覇を飾ったFabulous Sistersと、E-girls/Flowerの佐藤晴美がコラボレーション。一糸乱れぬ迫力ある群舞に違和感なく溶け込み、彼女のダンススキルもまた世界レベルであることが十分に理解できる美しいステージだった。

 そしてアメリカで経験を積み、LDHの次世代を担う7マイク・フリースタイルグループBALLISTIK BOYZ。Jr.EXILE世代をリードするTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE、そしてFANTASTICS。特に、THE RAMPAGEは今回のライブで、完全にひとつの殻を破った印象だった。オーディエンスとの掛け合い、円形ステージや花道をフルに使ったパフォーマンスは、アリーナクラスの会場を十分に沸かせる実力を備えたグループに成長していることを見せつける。

 日本のダンスシーンを牽引するJ.S.B. underground、®AG POUNDの圧巻のパフォーマンス。PKCZ®のDJに乗せてHONEST BOYZ®が踊り乱れる中、MCマイクはZeebraの手に渡ると、さらなる盛り上がりを見せた。フィナーレでは全バトラーが再登場。メジャーの勢いと、アンダーグラウンドの尖った感性が混ざり合うと、こんなにも大きなエネルギーが生み出されるのかと思わずにはいられなかった。この緊張感と高揚感と多幸感に満ちたイベントが、また近い内に開催されることを願ってやまない。(佐藤結衣)

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