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『ラブライブ!』シリーズがサブスク解禁 μ’sとAqoursの楽曲の魅力を改めて考える

リアルサウンド

18/11/23(金) 10:00

 2010年の『電撃G’s magazine』で誌上連載のスタートからはや8年半。『ラブライブ!』シリーズは“みんなで叶える物語”のコンセプトそのままに、同シリーズ発のグループ・μ’sは2016年春に、Aqoursも先日の4thライブにてそれぞれ東京ドームのステージに立つなど、ファンとともに夢を叶え続けてきた。

 そんな『ラブライブ!』シリーズの関連楽曲が、サブスクリプションサービスにて一挙解禁。これまでアニメソングを専門とした聴き放題サービス「ANiUTa」では配信されていたものの、その他のサービスでの解禁に伴って接触はより容易になったはず。そこで本稿では、このタイミングで改めて聴いてほしいナンバーを紹介するとともに、本シリーズの楽曲が持つ魅力について迫っていきたい。

ジャンルレスの楽曲を束ねるコンセプト

 『ラブライブ!』シリーズの楽曲は、実にバラエティ豊か。各シーズンのOPを飾るポップロックチューンをはじめ、EDMや和テイストのナンバー、ミドルバラードなどなどそのジャンルは様々で、ユニット曲まで手を広げればユーロビートやメタルなどさらに多岐にわたっている。ゆえに、そのなかで必ず守られていることも、「“みんなで叶える物語”にふさわしい曲」という一点のみだと考えられる。しかしこのシンプルな決めごとこそが、本作において最も重要な要素なのだ。

 そしてそのうえで、シリーズに一貫して流れる青春感や、未熟さや向こう見ずな感じも内包した等身大の女子高生感を、2シリーズすべての楽曲で作詞を担当する畑亜貴が、歌詞の面から表現。きらめく“スクールアイドルソング”として完成させている。だが実はその青春感は、リアルの人々にも共通する普遍的なもの。ゆえにそれはアニメファンのみならず“今”の若者たちにも、ひいては“かつて若者だった人たち”にも十分刺さるものなのだ。

 では続いては、その中から改めてこの機会に振り返っておきたいナンバーを、μ’s・Aqoursともに3曲ずつご紹介していこう。

μ’s

「Snow halation」

 グループ活動の初期から彼女たちのキラーチューンであり続けたのが、切なくも募り続ける想い人への恋心をみずみずしく描いたこの名曲。イントロ冒頭で鳴るサビのメロディをなぞるようなピアノソロの音色が、ピュアな恋心の世界にリスナーを一気に引き込んで最後まで離さない。そしてこの曲はサウンドの良さのみならず、アニメーションPVで落ちサビにて点灯される街灯を、ライブでファンが自主的にウルトラオレンジで再現したことでも人気に。それが東京ドームでなされた際のまばゆいオレンジの輝きは、どこか神々しささえ感じるほどのものだった。

「きっと青春が聞こえる」

 1期のEDテーマとして用いられたこの曲は、各エピソードの絶妙な引きにまずピアノの音色がインサート。続けて響くギターリフの持つ得も言われぬ明るさが、視聴者に余韻とポジティブさを与えてくれる。サビにおいて「笑顔ならいつの日も大丈夫!」のフレーズを根拠なく明るく言い切れてしまうのはまさに世代感の賜物だろうし、それを前述のギターリフをはじめとするサウンドの明るさや、μ’sの歌声からも強く感じられるきらめきが、まったく押し付けがましさや無理矢理さを感じさせない。

「Love wing bell」

 第2期5話の挿入歌として1年生・3年生メンバー計6人で歌われたナンバー。ファッションショーでの披露ということもあってウェディングがモチーフになった少々特殊な成り立ちの楽曲だ。そのコンセプトの一方で、かわいさに憧れながらも「自分には似合わない」と諦めていた、この曲でセンターを務めた星空凛の背中をそっと押すようにも聴こえる言葉が紡がれているのもポイントのひとつ。それはひいては、同じように一歩を踏み出しあぐねている女の子たちへの応援歌にも姿を変え、また共感を呼び起こす。

Aqours

「青空Jumping Heart」

 すべてが始まる前のワクワクとドキドキに満ちあふれた1期OPテーマは、Aqours曲の中のマスターピースのひとつに間違いなく挙げられる傑作。そのワクワクが波となって押し寄せてくるような、楽曲冒頭・頭サビ直前にクレッシェンドしながらインサートしてくるシンセサイザーがまずリスナーをとらえる。それに続く歌声もサウンドも、不安など一切想起させないきらめきにあふれたもので、2期で高海千歌が気づいたように、この曲が歌われた時点で彼女たちの“輝き”が確かに存在していたことがわかる。

「想いよひとつになれ」

 1期の挿入歌として用いられたこの曲は、桜内梨子がピアノコンクールに出場するために歌唱自体は8人で行われたナンバー。しかし頭サビ直後のソロをはじめ曲中終始ピアノの音色がともに奏でられ続けており、梨子の存在も確かに感じられる楽曲に。さらに千歌と渡辺曜がわだかまりを乗り越えた直後の披露という本編の展開や、サビで主線に追いかけも絡み合うという構成もあいまって、まさに9人の想いがひとつになったことを象徴しているのだ。また、1stライブでは梨子を演じる逢田梨香子が実際にこの曲の伴奏を演奏。さらに先日開催された4thライブでは彼女も歌唱に加わり念願の9人での披露を達成するなど、その存在はますます大きくなり続けている。

「HAPPY PARTY TRAIN」

 ほのかな切なさとそれでも先へと進んでいくという意志表示の込められた、初のツアーとなった2ndライブのタイトルチューンでもある3rdシングル。先へと進む際に繰り返される出会いと別れをメインテーマに据えた楽曲で、全体を通して爽やかな風のように響き続けるストリングスの音色は、楽曲全体に漂う切なさをさらに増幅する役割も果たし、よりいっそうリスナーを惹きつける。しかしただ悲しいだけではなく、特に明るく歌われるBメロなどを中心に、やはり希望に向かって突き進んでいく9人の姿を感じさせる1曲だ。

 Aqoursは本年末の『NHK紅白歌合戦』への出場も決定。直後に劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』も公開予定ということもあり、一般的にもさらに注目の的になる機会は増すことが予想される。また、μ’sもアプリゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』のリリース(2019年予定)を機に、ゲームを入り口に再び脚光を浴びるはずだ。その際今回のサブスク解禁は、楽曲へのタッチをより容易にする働きをしてくれることだろう。これをきっかけにぜひ今まで以上に多くの人に本作の楽曲に触れてほしいと思うし、その反響を受けてサブスク解禁の流れがさらに続き、“好き”という輝きをより簡単に大きく広げられる時代が来ることを、心から願ってやまない。

■須永兼次(すなが・けんじ)
アニメソング・声優アーティスト関係を中心に活動するフリーライター。大学の卒論でアニソンの歌詞をテーマにするほど、昔からのアニソン好き。現在は『リスアニ!』『月刊ニュータイプ』や『TV Bros.』等に寄稿。