Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

神山羊「YELLOW」3カ月半で1,000万再生突破、話題の新たな才能を紐解く

リアルサウンド

19/2/24(日) 18:00

■YouTubeで1,000万再生を突破

 昨今、ネット発音楽シーンの新潮流には目を見張るものがある。“米津玄師以降の時代”とでも言うべきか。Eve、須田景凪(バルーン)、ヨルシカ、Reol、majiko、ずっと真夜中でいいのに。など、次世代ロック&ポップシーンを開拓する革新アーティストの覚醒が止まらない。出自である“ボカロ文化”にもはや偏見はなく、今やクリエイターが世にでるきっかけとしてのインキュベーション機能を担っている。言わば、80~90年代にバンドブームを生んだ“ライブハウス文化”と同義と言えるかもしれない。ボカロ文化発の新しい才能が、日本のロック&ポップシーンをアップデートしているのだ。

(関連:オメでたい頭でなにより「ザ・レジスタンス」はどう生まれた? 赤飯×324×堀江晶太が語り合う

 そんななか、驚異のニューカマー神山羊(Yoh Kamiyama)のデビュー曲「YELLOW」が、たった3カ月半でYouTube1,000万再生を突破したことは事件だ。

■「YELLOW」→ TikTok二次創作作品への波及

 「YELLOW」は神山羊第1弾作品として、昨年11月3日に配信されたナンバーだ。イントロから重めの四つ打ちビートによって加速する衝撃度の高いポップチューン。クリエイター東洋医学によってストーリーテリングされていくアニメーション動画とジャストにシンクロする高揚感の凄み。ダークヒーローを思わせる世界観の中、洗練されたグルーヴ感がたまらない。

 クールかつエモーショナル。独創的なクリエイティビティを解き放つ「YELLOW」は、ティーンを中心に人気の短編動画共有アプリTikTokでもフックアップされ、四つ打ちビートにインスパイアされた音楽的な“二次創作動画”がアップされ続けている。誤解を恐れずにいえば、過度なプロモーションよりも本質的な作品力が評価へと繋がるネットシーン。“楽曲を発表すること自体がプロモーション”になるという、まさに“新時代のヒット曲の誕生の瞬間”を神山羊が起こしたこの現象から感じたのだ。

 2月13日にアップされたばかりの2作品目となる「青い棘」は、早くも49万再生を突破。叙情的な切なきR&Bセンスにこだわりを感じる音使いの繊細さ。ミュージックビデオは、2019年ロックシーン要注目のバンドKing Gnuの映像作品を手がけるクリエイティブ集団PERIMETRONが実写ビジュアルを構築。神山羊本人が映像に登場している。

 そのボーカリゼーションから、神山羊は米津玄師と比較されることが多い。しかし、視点を変えてみるとそのサウンドセンスから、BUMP OF CHICKEN~RADWIMPS~米津玄師~King Gnuの系譜から連なる“日本独自のオリジナリティを持つロック&ポップ文化”をアップデートする新しい才能と位置づけたい。「青い棘」に顕著だが、スキルフルな革新的ロックバンドKing Gnuとの接点を強く感じられたことが興味深い。

■神山羊名義初となる1stミニアルバムのリリース

 昨年11月、突如にしてシーンにあらわれた神山羊だが、実はもともと有機酸(uki3)名義で数年前からボカロP&トラックメーカーとして活躍していた逸材だ。有機酸時代から「カトラリー」、「quiet room」などフックの強い名曲を残している。

 ボカロPながら自身でも歌唱し、時にはボーカロイドをメインで使用しないテクノ調なインスト曲「FALL」を生み出すなど、繊細ながらも幅広い作風によってファンを魅了し続けてきた。

 音楽家、神山羊(a.k.a 有機酸)のバイオグラフィーを紐解いてみよう。有機酸として、2014年11月12日に投稿した「退紅トレイン」でボカロPデビュー。2017年12月20日に1st アルバム『troy』をリリース。昨年、盟友である須田景凪のライブではベーシストとしてサポート。フランス『Japan Expo』への出演で話題の3人組ユニットkolme「I’m alone – 有機酸Remix」では重厚かつドラマティックな世界観でリミックスを提供。話題のニューカマー、“ずっと真夜中でいいのに。”作品では「君がいて水になる」にて神山羊としてアレンジャー参加。さらに、昨年末紅白歌合戦に出場したDAOKO作品「涙は雨粒」では作編曲を担当し、「24h feat.神山羊」では楽曲提供と歌唱でフィーチャリングとして抜擢されている。来るべき2019年への伏線は、着実に張り巡らされていたのだ。

 これほどの要注目アーティストながら、神山羊は、これまでCDはもちろん、YouTube動画以外で楽曲配信をしてこなかった。

■2019年、音楽シーンの台風の目に

 そんななか、満を持して神山羊名義初となる1stミニアルバム『しあわせなおとな』のリリースが、自身のレーベルe.w.e(イーダブリューイー)より2019年4月3日に決定した。「YELLOW」や「青い棘」を含む全8曲を収録。フィジカルアイテムにこだわり、CD単体商品とは別に“Tシャツ付盤”、“ARTBOOK付盤”をリリースするという丁寧な作品作りが行われている。さらに、初回プレス盤のみ4月28日に開催されるプレミアムワンマンライブ『しあわせなおとなが眠るとき』の先行予約応募券が封入されるという。

 まずは一聴のうえ、多くの音楽ファンと感動を共感、共有したいと願う。必ずや2019年の音楽シーンの台風の目となるであろう圧倒的に新しい才能、神山羊に注目してほしい。(ふくりゅう)