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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

遠山正道×鈴木芳雄「今日もアートの話をしよう」

デイヴィッド・ホックニーと日本の関係

月2回連載

第15回

19/4/5(金)

鈴木 残念ながらもう終わっちゃったんだけど、3月30日まで、「An Encounter of Two Colorists David Hockney | Heihachiro Fukuda 二人のカラリストの出会い」っていう、デイヴィッド・ホックニーと福田平八郎の二人展が、GINZA SIX 6F 銀座蔦屋書店内にあるTHE CLUBってギャラリーでやってたのね。

遠山 デイヴィッド・ホックニーはもちろん知ってるけど、福田平八郎っていうのはどんな人? なんとなく名前は聞いたことある気がするんだが……。

鈴木 福田平八郎は、1892(明治25)年に大分で生まれた日本画家。京都市立美術工芸学校(現・京都市立芸術大学)を卒業して、すごく写実的な、質感にこだわった作品を制作するんだけど、次第に画風が単純化していって、ものすごくデザイン的な作品を描くようになったのね。いまでもけっこう人気のある日本画家だよ。

遠山 明治生まれの日本画家とホックニーにどんな関係があるの?

鈴木 実はホックニーがこの平八郎の作品を1971年に見ていて、大きな影響を受けたっていうことが最近わかった。

遠山 日本画とホックニー? なんか全然想像つかないんだけど。

鈴木  ホックニーは34歳の初来日の時に京都にも行ったんだけど、その時に京都市美術館で開催されていた「京都日本画の精華展」で、福田平八郎の代表作である《漣》とか《新雪》を見たということがわかった。で、その大胆な色使いや構図に圧倒されて、平八郎の絵の虜になったんだって。それでぜひ平八郎作品の素晴らしさを本国の人にも知ってもらいたいと、ロンドンのテート・ギャラリーで平八郎の個展を開きたいとまで話してたそうなんだけど、残念ながらそれは実現せず。

遠山 平八郎の絵に一目惚れしたってことか。イギリス出身のホックニーからしてみたら、日本画自体がすごく新鮮だっただろうね。で、そこに注目してその二人展が開催されたんだ。確かに言われてみれば、なんか《漣》っていう絵、ホックニーの何かで既視感があるな……。あ、プールだ!

『David Hockney: Camera Works』(アメリカ版、Knopf刊、1984年)

鈴木 そう、彼が描いたプールの絵の多くは、《漣》みたいな線が入ってる。ホックニーの自宅プールにも同じような線が実際に描かれてるんだよね。そのプールは『David Hockney: Camera Works』の表紙にも使われてる。

遠山 本当だ。え? ホックニーが自分で線を描いたの?

鈴木 うん、もともとあったプールの底にホックニー自身が長い棒のようなもので描いてる。ネットで探したら、ホックニーが描いてる姿が出てくるよ(笑)。

遠山 平八郎の作品に感化されてってことだよね?

鈴木 おそらくそうだと思う。

遠山 それにしても、やっぱりホックニーは写真作品もいいね。

鈴木 いいよね。ホックニーの写真作品は一種のコラージュ。『David Hockney: Camera Works』を見てもわかるけど、正方形の写真が一つの大きな画面を作っている。これは全体が撮れないから、仕方ないから貼り合わせて全体を見せてるんじゃないのね。だって人は動いてるじゃない? これ、実は時間を撮ってるわけよ。写真は普通に撮るだけだと、目の前の空間をただ撮るものだけ。でもこの手法によって、ホックニーは写真の中に時間を収めたんだよね。特にこの写真《Gregory Swimming Los Angeles 24 March 1982》(1982年)については、泳いでる人が泳いでる時間そのものを収めてるってホックニーも言ってる。

遠山 絵画作品もすごく考えて作られてるけど、写真もすごい細かいところまで考えられてるね。

鈴木 うん、ホックニーってめちゃくちゃ革新的であり、時代の先端を行く作家じゃない? カラーコピーが出たらいち早く作品に取り入れたし、時代時代の最先端機器を画材として用いて制作してる。いまじゃiPadで作品描いてるからね。80歳過ぎてもまだまだ最新ギア搭載ですよ。

遠山 ちょっとそのiPad作品に興味持ってて、いろいろ調べてるところ(笑)。

鈴木 もしかしたらホックニー作品がコレクションになるかも?(笑)でも遠山さんすでにホックニー持ってるよね?

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