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『オーシャンズ8』初登場5位 「00年代以降の洋画」を象徴する『オーシャンズ』シリーズ

リアルサウンド

18/8/15(水) 17:30

 上田慎一郎監督のインディーズ作品『カメラを止めるな!』の驚異的なサプライズ・ヒットが各メディアを賑わせているこの夏、ランキング上位作品の顔ぶれとその優劣もほぼ確定してきた。先週末の動員ランキングでは、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』、『インクレディブル・ファミリー』のトップ3が前週から不動。4位には前週6位までランキングを下げていた『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が再浮上。カレンダー上はウィークデイとなるお盆休みに入ってからは、『インクレディブル・ファミリー』と『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が直近の週末以上の好成績を上げていて、ファミリー層に強い作品ならではの粘りを見せている。

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 先週末の時点で興収65億円超えの『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、興収52億円超えの『コード・ブルー』に加えて、同じく興収50億円超えが十分に狙えるハイペースで数字を積み上げている『インクレディブル・ファミリー』と『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。少なくともこの夏は大ヒット作と呼べる作品がここまで4本出ているわけだが、その4強に続いて先週末5位に初登場したのが『オーシャンズ8』だ。

 『オーシャンズ8』の土日2日間の成績は動員17万8000人、興収2億4500万円。通常の週ならばトップ3からこぼれるようなことはない数字だが、夏休みシーズンのピークでの公開なのでこの順位も致し方ないところ。『オーシャンズ』シリーズ初の女性窃盗集団が活躍する今作には、サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、リアーナをはじめとする女性スターが大集合。テレビのCMでは『プラダを着た悪魔』のヒットなど日本でも知名度が高いアン・ハサウェイを前面に押し出すなど(厳密に言うと、アン・ハサウェイ演じるセレブ女優は本来窃盗集団のメンバーではないのだが)、女性の大人客にアピールしていた。

 通常、ファミリー向けの作品や学校が休みのティーン向け作品がしのぎを削る夏休みシーズンは、女性の大人客向けの作品が手薄い時期。日本公開時期の戦略の立て方としては間違いではなかったのだろうが、一つ誤算があったとしたら、『コード・ブルー』が事前の予想以上の大ヒットを飛ばしていて、しかもその客層の中心が20代、30代の女性客であることだろう。「『コード・ブルー』と『オーシャンズ8』では同じ女性客でもそもそも客層がまったく違うでしょ」と思う人もいるかもしれないが、浮動層をいかに取り込むかが最も重要な映画興行において、今回の『コード・ブルー』のような年間1位を狙えるレベルの作品が同時期に公開されているとなると、その影響は少なくない。

 『オーシャンズ』シリーズのこれまでの興行を振り返ると、2000年代以降の日本において外国映画の置かれてきた状況の変遷が見えてくる。2002年に日本公開された第1作『オーシャンズ11』は興収70億円で年間6位(ちなみに2002年はその上の5作品もすべて外国映画だった)。その3年後の2005年に日本公開された続編『オーシャンズ12』は興収36億円で年間13位。その2年後の2007年に日本公開された3作目『オーシャンズ13』は興収32億円で年間17位。3作目までメインキャストの面々(ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンほか)と監督(スティーヴン・ソダーバーグ)に変更がなかったことをふまえると、地上波テレビ局製作の作品を中心に日本映画のマーケットが成長してきたその7年間で、いかに「普通の娯楽映画」としての外国映画のマーケットが狭くなってきたかがわかるだろう。先週の本コラムで取り上げたように、そんな時代の変化の渦中にあっても、日本のマーケットでビクともしてこなかった『ミッション:インポッシブル』という異常なシリーズもあるにはあるが。

 キャストも監督も一新して生まれ変わった今回の『オーシャンズ8』。前作から11年というブランクを考えれば、これでも十分に健闘していると言える。本国アメリカをはじめ世界各国でも好調で、今作にもスティーヴン・ソダーバーグは製作に名を連ねているので、もしまた続編が製作されるならば、(一応、作中である人物は死んだ設定になっていたものの)前『オーシャンズ』シリーズの面々との夢の共演が実現するかも!?(宇野維正)

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