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スガ シカオ、キャリア集大成後の意欲作を語る「歌が主人公で歌詞が大事」

リアルサウンド

19/4/18(木) 18:00

 スガ シカオが、ニューアルバム『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』をリリースした。

 自身の集大成になるようなアルバムを目指し完成させた3年前の前作『THE LAST』、デビュー20周年を記念した『スガフェス!』と、キャリアを総括するような活動を経てきた彼。新たなスタート地点となる新作は、既発曲一切なしの書き下ろし10曲を収録。歌を軸に、新たな挑戦に挑んだ一枚だ。

 インタビューでは、アルバム制作の裏側、インパクト抜群のタイトルに込められた意図、そしてストリーミング時代、スマホ時代の音楽のあり方など、様々なテーマについて語ってもらった。(柴那典)

初めて聴く人をイメージして曲を作った

ーーまず、「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」というタイトルはどういうアイデアから生まれたんでしょう?

スガ シカオ(以下、スガ):最初は英単語にしようと思ってたんですよ。でも、アルバムの感じを全体的にまとめるいい感じの単語が思いつかなくて。

ーー今までの10枚のアルバムは基本的に全部英単語がタイトルですよね。そうじゃなくて日本語になったのは?

スガ:サブスクの時代になって、毎週、ニューリリースの情報がまとめてぶわーっと弾丸のように来るようになったじゃないですか。その中でちょっとでも爪痕を残すためには、イントロで仕掛けるか、タイトルで「え?」と思わせるものじゃないといけないんじゃないかって思ったんですよ。そうじゃないと、流れていく情報にまぎれて心に残らない。ただ単にいい曲、格好いい曲ってだけじゃ、引っかからないんじゃないかなって。そこから、1曲目の曲名をそのままアルバムのタイトルにしようと閃いたんです。

ーーなるほど。ストリーミング配信の時代を意識した。

スガ:自分もほとんどサブスク、ストリーミングで音楽を聴いてるんですけど、イントロとタイトル以外で引っかからないんですよ。毎週新しいものが出るからとりあえず流し聴きするんだけど、イントロと最初の一声ぐらい、20〜30秒くらい聴いて「つまんねえな」と思ったら、どんどん次に送っちゃう。でも、だとしたら、自分の曲もそうやって次に送られるんだろうと思うし。そんな中で爪痕を残すにはどうしたらいいかって考えたんですね。

ーー実は先月、とあるイベントで亀田誠治さんといしわたり淳治さんの対談の司会をやったんですけど、そこでお二方が言っていたのが、まさにそういう話だったんです。ストリーミングが一般的になって、ヒット曲の作り方が変わった。最初で掴むにはどうするかを考えるようになった、と。いしわたり淳治さんは「最初から本題に入る曲が増えた」って言うんですね。言葉の使い方として、丁寧に情景描写をしていくというより、まず最初に言いたいことを言ってしまうという。

スガ:なるほど。積み重ねないというかね。

ーー亀田誠治さんは、イントロからAメロ、Bメロ、サビと徐々に盛り上げていく曲調じゃなくて、曲の冒頭に一番いいメロディやフレーズを持ってくるタイプの曲が増えているという話をしていたんです。そういう考え方と、このアルバムの「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」というタイトル、それを1曲目に置いて爪痕を残したいというのは、近い発想なんじゃないかと思ったんですけれど。

スガ:そうですね。僕も最初の30秒だと思います。30秒聴いて、そこで後を聴くかどうか決めるので。それは賛同しますね。

ーーということは、この1曲目の「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」という曲のエレクトロファンクの曲調、最初の30秒はスガさんなりの勝負である。

スガ:そうなんだけど、ただ、僕は歌詞についてはやっぱり積み重ねていかないとダメなタイプなんですよ。そこは曲げないし、曲げられない。それも自分でわかっているから、タイトルで引っかかってもらえればいい。作品の構造そのものを変えることはできないんです。でも見え方を変えることはできるから。

ーー曲名の話で言うと、たとえば3曲目の「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」も相当インパクトのあるタイトルだと思うんです。これはどういうところから?

スガ:これは、まとめサイト的な感じなんですよ。こういうタイトルのスレッド、まとめサイトによく立ってない?(笑)。

ーーわかります(笑)。あと、ウェブサイトをスマホで見てると、よく画面の下のほうにマンガの広告が出てくるじゃないですか。「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」って、ああいうマンガの広告のキャッチコピーにありそうな感じがするんですよ。ちょっとエロい表情をした女の子のイラストがあって、そのモノローグとして書かれてるような。

スガ:ははははは! わかるわかる。これはまさに、その肌感覚がほしかったんですよ。今の時代のカジュアルな下品さがほしかったんです。それって、一番みんなが目にするものじゃないですか。

ーーなぜそういうものを欲したんでしょうか?

スガ:タイトルって、たいてい最後なんですよ。この曲の場合は、歌詞も書き上がって、歌も入れて、さあタイトルをどうしようかなって考えたときに、この一行目から目が離せなくなった。何かが浮き出てくる感じ、何かが強烈に匂ってくる感じがあって。このタイトルって、実は曲の内容を言い表してはいないんだよね。でも、まとめサイトのタイトルも、クリックしてみたら「なんだよこれ」みたいなの沢山あるじゃん。そういうところもすごくそれっぽいなと思ってつけたんです。

ーーそもそも、振り返ると前作の『THE LAST』があり、kōkuaの活動があり、スガフェスがあり、2016年から2017年にかけてのスガ シカオというのは、これまでのキャリアの集大成を出し切るということをやってきたと思うんです。このアルバムはそれが終わったタームからのスタートだと思うんですけど、その段階でのモチーフというのはどういうものだったんでしょうか。

スガ:スタート時点では何もなかったですね。10周年の時もそうだったんです。『PARADE』が出て、10周年のイベントが終わって「次、何するの?」ということになった。プロデューサーもいないし、やることも見つからない。結局「やることがないからファンクやろうか」みたいな感じで2枚作ったんだけど、今回もそれに似た状況でした。『THE LAST』で全部出しちゃったから。それで、去年の4月から5カ月くらい、ちょっと作っては「ダメだな」って。何の収穫もないままだった。

ーーそれはどういう感覚だったんでしょうか。

スガ:やっぱり『THE LAST』を超えなきゃいけない、それに相応しい作品でなければいけないという呪縛があったんですよね。でも「アストライド」みたいに、人生レベルで詰め込んだ曲の後に、それを簡単に超えられるわけもなくて。作っても「なんじゃそりゃ」みたいな感じなんですよ。それが5カ月ぐらい続いてたんですよね。ファンキーな曲のプロットはいくつかできていたんだけれど、形にする気になれない感じだった。また自分のやってきたことの焼き直しになっちゃうから。

ーーそのスランプを抜けるきっかけになったのは?

スガ:電車に乗るのが好きで、移動は電車ですることが多いんだけど、入社7〜8年目のサラリーマンとか女子高生がイヤホンをしたまま座ってるのを見て「あそこに流れてる音楽だとしたらどんな曲作るだろうな」って考えた時があったんですよ。これまでの20年、そういうことを考えたことがなくて。基本的には自分の内面にダイブして、何かを堀り出してきて音楽を作るということをやってきた。そこにはリスナーや他者が介在しないんですよね。でき上がったものをみんなが聴いてくれるのはとても嬉しいんだけど、作ってる時に聴く人のことを考えたことがなかった。でも、初めて聴く人をイメージして「あのイヤホンの中で鳴ってる音楽を作ってみよう」と思って一曲作ったら、それがすごく新鮮だった。「これ、ちょっといいかも」って思えたんです。

ーーその曲はアルバムには入っているんでしょうか?

スガ:それが「スターマイン」ですね。

ーー花火をモチーフにした夏の終わりの曲ですね。

スガ:学校とか会社からの帰りに電車とかバスの中でこの曲を聴いて、上がってもない花火が見えたり自分の思い出と重ね合わせたりしたらバッチリだなって思えたんですよね。そういう作り方をしたのは初めてで、すごく新鮮だった。そこからどんどん作っていったんです。

ーーこの曲のアレンジを冨田恵一さんにお願いしようと思ったのは?

スガ:今まで一緒にやったことがなかったんですけれど、日本を代表するプロデューサーの一人だから、いつか一緒にやってみたいと思ってたんですね。で、今回のアルバムは総合プロデューサーを立てずにセルフプロデュースでやって、曲ごとに自分でセレクトした人にアレンジをお願いしようと決めてたから、一緒にやるチャンスだと思ったので。それでお願いしました。

ーー結果、冨田恵一さんらしい、ポップスとして完成度が高く、そのうえでコード進行とかもすごくひねっている曲に仕上がっている。

スガ:そうですね。

ーーでも、「スターマイン」のように聴き手の日常に寄り添うポップソングが10曲集まったアルバムになったかと言えば、全くそうではないですね。

スガ:最初の頃はそういう曲が多かったんですよ。スタッフの間でも「今回は主人公が全部いい人だからアーティスト写真もいい人っぽく撮らなきゃいけないね」という話が出てくるくらい、善人のキャラが多かったんです。

ーー具体的にその段階で形になっていた曲というと?

スガ:「遠い夜明け」とか「黄昏ギター」とか「深夜、国道沿いにて」とかですね。で、そういう曲が上がってきたから、Twitterで「今回のアルバムはエバーグリーンを目指します」とかほざいてた(笑)。でも、そうしたら、歌詞が調子に乗ってきて。

ーー調子に乗ってきた?

スガ:油が乗ってきたんですよね。最初はエバーグリーンなものを作ろうと心に決めていたから、エロ、グロ、ショッキングなこと、放送禁止用語、極端な表現、そういうのを全部自分の中で禁止にしていたんです。あと死の匂いのするものとか、夜の悪臭とか、そういうものも封じていた。でも、歌詞を書いてるうちに油が乗ってきて、そうしたらキワキワな曲がいっぱいできてきた。それも格好いい、面白いとなっちゃったんで、そこからアルバムが完成していったんですね。

ーーということは、初期段階ではエバーグリーンで「いい人」な曲だけをパッケージしようとしていた。

スガ:そうですね。そうなるはずだったんです。そこにガッツリ向かってたんですけど、なんか別のところに踏み出しちゃった(笑)。物足りなくなっちゃったのかもしれない。

ーーそこがこのアルバムの大きなポイントになっていると思うんですけど、そのターニングポイントになった曲はあるのでしょうか?

スガ:最初に一歩道を踏み出したのは「おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった」ですね。これを書いてスタッフに聴かせたときに「いい曲ですけど、今回のアルバムに入れていいんですか?」って言われたんです。でも「格好いいからこれで行こうよ」って言って進めていったら、「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」とか、どんどんそっちの曲が増えてきちゃった。とは言っても、エログロもやってないし、18禁もやってないし、極端な表現もやってないんですけど。

ーー思うに、これって、スガシカオの作家性として、さっき言った「電車でサラリーマンがイヤホンをして聴いてる顔を思い浮かべた」というエピソードと近いところがあると思うんです。「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」のタイトルをまとめサイト的なイメージでつけたというのも、今の時代、電車でスマホを見てる人はどんなものを見てるんだろう?というところから出てきた発想というか。

スガ:そうだね。たいがいスマホでまとめサイト見てるしね。

ーーみんな、エバーグリーンで綺麗なものが好きって言ってるけど、本当に好きなものって、下品で粗野でスキャンダラスなものなんじゃないの? っていう。そういう感覚が、電車に乗るとみんながスマホの画面を見ているという今の時代性の中で出てきたんじゃないかと思うんです。

スガ:そういう生活の中に僕もいるからね。だからそれが当たり前のリアルとして歌詞に出てきたということなんじゃないかな。エバーグリーンで、みんなが気持ちよくなれるような曲を作ろう、ずっと聴いてもらえる曲を作りたいという思いはあるけれど、別にいい人になろうとはしてなかったわけで。

スガフェス以降の変革があった 

ーーここまで歌詞の話が多く出てきていますが、曲調やサウンドよりも、今回は言葉が引っ張っていった感じだったんでしょうか?

スガ:うん。恥ずかしい話だけど、ここまでのキャリアで歌を中心に考えたことがあまりなかったんですよ。スガフェスで沢山のアーティストとデュエットとかセッションをして「みんなこんな風に歌を歌ってるんだ」って思って、歌に関心が湧いてきちゃったんです。その後は『Hitori Sugar』でギターと歌だけでツアーをして、そこでも「いい歌ってなんだろう」って思った。歌に焦点があってきた。だから、今回は歌や歌詞がイニシアチブをとるように作ってるんです。

ーー今まではそうではなかった?

スガ:今までは全部同列だったんです。歌詞も歌もグルーヴも、全部一つで曲になっていた。でも、今回のアルバムは歌が主人公で、歌詞が大事。それはスガフェス以降の変革があったんだと思います。

ーーそうやって歌が主人公であるというのと、いろんなプロデューサーと一緒にやるという作り方になったのも関係性がある?

スガ:それはあったかもしれない。僕が自分でやっちゃうと、歌が曲の一部になっちゃうからね。歌を主人公にしたいから、なるべく自分でやらないという。

ーープロデューサーの人選はどういう風に決めていったんでしょうか?

スガ:曲を作った時に、誰に聴いてほしいか思い浮かんだ人にお願いしましたね。参加ミュージシャンもそう。たとえばハマ(・オカモト)くんは「ドキュメント 2019 feat.Mummy-D」で是非ベースを弾いてほしかったんですよ。ああいうディスコの曲は、オッサンを呼ぶと本当に当時のディスコになっちゃうんで。今の世代のジャミロクワイ感がほしくて呼びました。

ーー「ドキュメント 2019 feat.Mummy-D」はどういう風に生まれた曲なんでしょう?

スガ:これはあんまり覚えてないですね。調子が上がってきてる時にどんどんできていった曲で。90年代のディスコリバイバルみたいな感じのアレンジにしたくて。いつも一緒にやってる釣(俊輔)さんにお願いして。で、歌詞もパパっと書いた。

ーーこれ、パパっと書いたんですね。いわゆる同業のミュージシャンをチクチク言ってるような、かなり刺激の強い歌詞ですけれど。

スガ:ぼやいてるというかね。でも、自分の声で歌うと冗談に聴こえなくなっちゃって。マジで噛み付いてるように聴こえちゃうんだよね。で、これはヤバい、マジで音楽業界とか特定のアーティストに噛み付いてるように見られるとイヤだなって思って、(Mummy-)Dさんにお願いしたんです。ちょっと茶化してくれないかって。Dさんがいないと、本気でディスってるように聴こえちゃうから。

ーー釣俊輔さんは「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」でも一緒にやってますが、彼にはプロデューサーとしてどういう手腕を感じているんでしょうか。

スガ:釣さんはギタリストなんで、僕が作ったデモのギターを上手に作品にしてくれるんですね。ギターが格好よく聴こえるように作ってくれる。だからギターメインの曲をお願いすることは多いですね。キャリアも知ってるし、好きなアーティストも似ているので。

ーー「おれだってギター 1本抱えて 田舎から上京したかった」では田中義人さんがアレンジに参加しています。田中義人さんはずっとサポートで弾いている親交の深いギタリストですが、彼を起用したのは?

スガ:これはギターリフも全部自分で作ってるんですけれど、プリンスっぽい跳ね方をするギターがどうしてもほしくて。それは自分には弾けないんです。プリンスの跳ね方って、ジャズなんですよ。ジャズを通ってロックができるギタリストじゃないとああいう跳ね方ができないんです。音符で言うと、ジャズのシャッフルは1拍を3つに割って、三連符の1と3で考えるんです。で、1拍目がちょっと遅れるんですね。このジャズの感覚がないと、この跳ね方にならない。ロックの上手い人は1拍目がジャストなんで、それだとロックのシャッフルになっちゃう。それができるのが(田中)義人だけだという。

ーーこの曲は、ここ数年、ロバート・グラスパーとかカマシ・ワシントンとか、ジャズの領域から来たプレイヤーがヒップホップをグルーヴの面で新しくしている。その流れに呼応しているタイプの曲ですね。

スガ:そうかもしれない。「am 5:00」も義人のギターですね。これもチル系のヒップホップのビートと、ジョー・パスみたいなジャズギタリストがもし一緒にやったらこうなるんじゃないかというのを研究して作りました。

ーー個人的には「am 5:00」がアルバムの中で一番好きな曲で、XXXテンタシオンなどのエモラップやサッドラップと言われるものにも通じる感覚のある曲だと思いました。

スガ:僕はヒップホップは深く掘らないんだけど、ずっとダウナーなままの今のヒップホップがすごく好きで。そこにジャズの要素が入ってくるのが今っぽい感じがするんですよね。で、義人はものすごくヒップホップに詳しいんで、その温度感もすごくわかってるからね。

ーー話を聞いていると、エバーグリーンというテーマはありつつも、その一方で、サウンドや音楽性については今の時代性をかなり意識していたんじゃないでしょうか。

スガ:時代性は出そうというより、出ちゃうという感じなんですよね。「こういうの、やりたいよね」というと、だいたい周りのミュージシャンが「これでしょう?」って。自然とそういうものが出てくる感じがしますね。

ーー今回のアルバムでセルフプロデュースをしている曲がその「am 5:00」と「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」ですが、「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」を自分でプロデュースしたのは?

スガ:これはデモを作った段階でホーンセクションまで全部自分で書いちゃったんで、わざわざ他の人に投げるまでもないかなって思って自分でやったんですね。この曲を自分で作って「このくらいのデジタル感で、これくらいキーボードが全然ない感じのアルバムです」という指標にしていたんです。アルバム全体を聴いた時のイメージがこういう感じですって言って、アレンジャーのみなさんにお願いしたという。指標になるアレンジをまず自分で一回作った感じですね。

ーーなるほど。結果的にタイトルトラックになったということですけれど、制作段階でも一つの指針になっていた。

スガ:なってましたね。曲としてもできたのは一番早かったから。アルバムの中心というか、最初のモデルケースでしね。

ーー改めてその最初の質問に戻るんですが、「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」という言葉、この曲の歌詞に出てくるモチーフは、どういう風に今の時代を切り取ったものだと考えていますか?

スガ:そんなに難しいことは考えてないんですけどね。睡眠障害がひどいんで夜中に起きてビールを飲んだりしてるから、ベッドサイドにビールが溜まっていく。そういう自分の部屋のリアルから物語がスタートしていく感じで。で、「光合成だけで生きたい」っていうことになっていくんだけど、このまま終わるとただ「働きたくない」って言ってる頭の悪いヤツになっちゃう(笑)。でも、その一方でリストラされたけど自分では幸せだと思ってるらしい友達の話を聞いたり、外国の人が「なんで日本人は働いてばっかりなのか、幸せを感じる時間はないのか」みたいに言ってるニュースを見たりして、そこから幸福感というか、幸福って何なんだろうということを歌詞に入れたくなった。それで書き直して、この形になったんですよね。

ーーもっと深いテーマになった。

スガ:だからタイトルだけ見ると「働きたくない」なんだけど、実は、幸福感というものは誰かに決められるものじゃなくて自分でしか決められないということを歌ってる曲なんですよね。自分が幸せかどうかを査定するのは他の誰かじゃなくて、自分しかいないという。そういうところに落ちてくれたんで、自信の一曲になりました。

ーーこの曲が1曲目にあることで「遠い夜明け」が活きてくる感じがします。

スガ:そうですね。同じ 「働く」とか「社会の中で生きていく」ということがテーマなので。

ーー「遠い夜明け」は、いわば社会の中で頑張ってる人に響くタイプの言葉が歌われている。これはこれで誠実な曲だと思うんですが、このインタビューの中であったように、これは「善人」としてのスガシカオである。その対極にあるのが「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」で、この二面性が最初の2曲で表現されている。

スガ:たしかにそうですね。なので先行配信は「遠い夜明け」だけど、MV作るのは「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」なんですよ。MVも自分の発案で面白いものを作ろうと思ってますね。ただ作っても爪痕が残せないから、なにかちょっと引っかかるものにしようと思ってます。

ーー最初に話をしたように、やっぱり爪痕を残すという発想を徹底している。

スガ:そうですね。「遠い夜明け」はドラマ主題歌だし、スタッフはみんな推してたんだけど、でも「こういういい曲を推しても響かないと思うよ」という話をしたんですよ。とっかかりのない「いい曲」はただ流れていっちゃうだけで、いい曲として認められる前にいなくなってしまうから。「いい曲」は沢山あるけれど、ストリーミングの中で流れていっちゃう。友達の曲でも「こんなにいい曲作ってるのに、なんで引っかからないんだろう」って曲がすごく多いんですよ。それを「いい曲」に導くために、いろんなことをしなきゃいけない。今はそういう時代だと思うんですよね。

スガ シカオ 「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」 Music Video short ver.

(取材・文=柴那典)

■リリース情報
『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』
発売:4月17日(水) 
<初回限定盤(CD+DVD/スリーブケース仕様) ¥4,600(税抜)
<通常盤(CD)> ¥3,000(税抜)

<CD>
1.労働なんかしないで 光合成だけで生きたい
2.遠い夜明け (テレビ東京系ドラマBiz「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」主題歌)
3.あんなこと、男の人みんなしたりするの? 
4.am 5:00
5.おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった
6.ドキュメント2019 feat.Mummy-D 
7.スターマイン
8.黄昏ギター
9.マッシュポテト&ハッシュポテト
10.深夜、国道沿いにて 

<DVD>
『SUGA SHIKAO MUSIC VIDEO 2012-2018』
01.Re:you
02.アイタイ
03.アストライド
04.あなたひとりだけ 幸せになることは 許されないのよ
05.真夜中の虹
06.大晦日の宇宙船
07.雨ノチ晴レ(田島ルーフィング企業CM)
08.トワイライト★トワイライト
★「ぶらり途中下船できない旅」

■ツアー情報
『SUGA SHIKAO TOUR 2019 ~労働なんかしないで 光合成だけで生きたい~』
4月27日(土)神奈川 厚木市文化会館
4月29日(月・祝)静岡 グランシップ中ホール・大地
5月6日(月・祝)宮城 仙台電力ホール
5月12日(日)福岡 福岡市民会館
5月19日(日)富山 黒部市国際文化センター コラーレ
5月26日(日)北海道 わくわくホリデーホール
5月31日(金)愛知 名古屋市公会堂
6月8日(土)大阪 オリックス劇場
6月9日(日)大阪 オリックス劇場
6月15日(土)新潟 新潟県民会館
6月16日(日)栃木 那須塩原市黒磯文化会館
6月22日(土)東京 NHKホール
6月23日(日)東京 NHKホール
6月28日(金)香川 レグザムホール(香川県県民ホール)小ホール
6月29日(土)広島 三原市芸術文化センター ポポロ

スガ シカオ オフィシャルサイト

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