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乃木坂46 久保史緒里は実力で現状を打破してきたーー他者への“愛”溢れる活動を振り返る

リアルサウンド

18/7/3(火) 17:00

 2016年夏、乃木坂46の3期生オーディションを受けた少女は、「自分には何もない」と思っていた。ただ「乃木坂46に対する愛だけは負けない」という気持ちで臨んだ。もちろん、乃木坂46を溺愛している応募者はたくさんいるのだが、繰り返し映像を観て、同級生に布教していたという「乃木坂46がある生活」を語る彼女の切実さが観る者の心に響いたのだろう。久保史緒里は、最終審査まで進出した。

(関連:乃木坂46 久保史緒里と山下美月が考える3期生の現在地 「フレッシュさ以外の武器を持ちたい」

 小学生時代、教室で「空気になろう」と過ごしていた久保。小学3年生からはじめた東北楽天ゴールデンイーグルスのチアガールでは「人前で踊る楽しさ」に目覚めていたが、中学校に入っても「目立たないための戦い」を続けていた。

 そんな彼女を変えたのが乃木坂46だった。2014年12月31日の『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2014→2015』(TBS系)で披露された「何度目の青空か」(生田絵梨花の代わりに井上小百合がセンターを務めた)で虜になって以来、乃木坂46が出ている番組はできる限り録画し、ひたすら動画を観て振りコピするようになる。

 乃木坂46熱を抑えきれなくなった久保は学校で乃木坂46の布教に励み、中学2年のクラスでは「空気」から「乃木坂46が好きな人」なっていた。

 2016年9月4日、久保は乃木坂46の3期生オーディションに合格する。暫定のポジションではフロントメンバーになり、「出版社コラボレーション特別企画賞」では4つのメディアからの特別賞を獲得。周囲からの期待が懸かった状態でのスタートとなった。 しかし、12月に日本武道館で開催された『お見立て会』でのパフォーマンスでは、大園桃子、山下美月、与田祐希が各曲でセンターを務めるなか、久保がセンターで歌うことはなかった。このイベントで、久保は「私、変わります!」と宣言した。

 本格的に乃木坂46での活動がはじまると、久保は実力で現状を打破していく。2017年2月の舞台『3人のプリンシパル』では、第一幕で情熱的にアピールすると、選ばれた第二幕では普段のウィスパーボイスからは考えられない声量で歌い、経験なしとは思えない演技力の高さを見せる。その結果、全メンバー中最多となる11回の2幕出演を果たした。10回選出された山下とは、美しいライバル関係が続くことになる。

 5月の3期生単独ライブでは、大園のピアノ伴奏をバックに久保が「何度目の青空か?」の歌い出しをソロで歌唱。その美声は観る者の心に響いた。この公演を通して久保は「歌が好きなんだ」ということに気づき、「もっと歌いたい」という想いが強くなっていったという。その歌唱力が評価され、19枚目シングルでは生田絵梨花とのデュオ曲「新しい花粉 ~ミュージカル『見知らぬ世界』より~」に抜擢され、今年4月に放送されたNHK『うたコン』では生田と衛藤美彩と「さらばシベリア鉄道」を歌った。

 2017年10月の舞台『見殺し姫』では演技力がさらに進化。プロの役者でも難しいという古語が混ざった長台詞を堂々とこなし、演出の松村武は「彼女の能力は、僕から見てもハイレベルです」「天才肌だと思います」と絶賛した(『OVERTURE』013より)。2018年1月の舞台『三人姉妹』は難解な戯曲だったが、演技経験が豊富な衛藤と伊藤純奈と相対しても引けを取らない芝居を見せた。

 歌や演技で結果を残してきたが、それでも久保にとって最大の武器は愛だった。同期8人が出演した舞台『星の王女さま』を観劇すると涙が止まらなくなり、齋藤飛鳥と対談すると、飛鳥の首の動きや右足の動きの美しさを早口で語り出す。今年3月に放送されたインターネット特別番組『乃木坂46時間テレビ』では、「生田さんの鼻のシワ」や「衣装の濡れ方」といったマニアックな視点で乃木坂46のMVを解説した。もちろんファンに対する愛だって深い。

 その愛は自身にではなく、いつだって他者に向けられていた。アイドルの姿を借りた聖者といってもいい。久保は愛のキャパシティが大きいのだろう。すべての活動に愛を注いできた。

 6月30日、久保が21枚目シングルの活動と『真夏の全国ツアー2018』を休むことが発表された。今後も乃木坂46として活動するための決断だろう。ハイスピードで才能を開花させた久保だが、これから5年、10年と芸能の世界で輝くためにはペースを落とすことも必要だと思う。

 久保は「いま活躍されている先輩方にはそれぞれのストーリーがあるじゃないですか。どこかのタイミングで弾ける方もいるし、少しずつ積み上げていく方もいる。3期生だからといって誰かと同じ道を辿ろうとするのは違うのかもしれない。新しい形ができないかなと思ってるんです」と語っている(『EX大衆』17年10月号より)。彼女が歩む道がどんな形であろうと、見守り続けたい。(大貫真之介)

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