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深田恭子の授業に込められた学ぶことの意味 『はじこい』15歳の自分からの手紙が心を打つ

リアルサウンド

19/1/23(水) 12:30

「拝啓、大人になった私へ。なりたい自分になっていますか?」

参考:深田恭子の姿に自分自身を重ねるはず 『初めて恋をした日に読む話』は誰にとっても“青春物語”に

 『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)の第2話。受験も就活も婚活もうまくいかずに自らをしくじり塾講師だという順子(深田恭子)のもとに、15歳のころの自分から手紙が届く。

「拝啓、15の私へ。絶望しないで聞いてくれ。君の将来は……なかなかにしょっぱい」

 東大に合格し、親の喜ぶ職に就き、なんの苦労もなく結婚し、子どもが生まれ、マイホームを持ち……15歳の順子が想像していた未来は何一つ叶えられていない。現実は、東大に落ち、特になりたかったわけでもない塾講師で戦力外扱いされ、結婚はおろかちゃんと恋をした記憶もない大人になってしまった順子。期待が大きいほど、挫折の傷は深い。順子のように、期待していた自分になれず、周囲や自分自身にガッカリされてしまう、そんな経験をしたことのある大人は少なくないのかもしれない。

 それでも人生は続く。ガッカリした自分と向き合いながら、どう生きていけばいいのか。それを勉強するのが、このドラマの真骨頂。

 If I had been there,I could have helped you.(もしも私がそこに居たら、あなたを助けられたのに)

 父親への反抗心から東大受験を目指した不良高校生・匡平(横浜流星)。だが、彼が順子の講義を通じて学ぶのは、いわゆる“受験対策”だけにとどまらないことが、英語の例文から示唆される。第2話のキーワードは、勉強を重ねた自分が未来の大事な人を「助ける」ということ。

 塾の営業活動をかねて、順子は匡平のいる南高校で臨時授業をすることに。そこで待っていたのは、匡平に負けず劣らず大人に逆らう不良生徒たち。担任の山下(中村倫也)と生徒とのいざこざに巻き込まれ、階段を踏み外してしまう順子を、匡平は体ごと受け止めて「助ける」。もちろん匡平は、受け身などを学んでいたわけではないため、右腕を傷めてしまう。

 匡平の父親は、責任を問わない代わりに学歴・経歴共に不満のある順子に、匡平の担当講師から外れてほしいと要求。「東大に合格していれば」「もっと熱心に塾講師をしていれば」。力不足ゆえに、強すぎる父親のエゴに押しつぶされそうな匡平を「助けられない」という、またまたしょっぱい現実を突きつけられる。今はただ潔く身を引くことでしか、匡平の学習意欲を守ることができない自分に歯がゆさを感じながら。

 教壇に立った順子に、不良生徒たちから「こんな勉強して、なんの役に立つの?」「意味ねーし」という言葉が投げつけられる。多くの大人が「そういうもんだ」という場面で、順子は「私も、そう思うよ」とあっさり答える。「自慢じゃないけど、子どものころからめちゃくちゃ勉強してきたけど、就活のときも婚活のときも、なんにも役に立たなかった。なんにも考えないで、言われるまま勉強してきたから、私」と赤裸々に語りだす順子に、生徒たちの目が変わる。勉強アスリートと称された順子は、どこがゴールかもわからないまま、ただやみくもに鍛えていただけだった。

 しかし、迷走を経たからこそ見えてきたものもある。「誰かの夢を手助けしたいとき。知識や知恵や力が足りなかったら? 想像してみて、どんな自分になりたいか」。順子の中で、なりたい自分は、匡平を導くだけの力や知識のある大人だった。自分のことはどうでもよくても、いつか現れた未来の大事な誰かを守るため、「助ける」ことができるだけの力を持つこと。それが匡平の父親に対して力不足を否定できなかった順子が導き出した、ひとつの「勉強する意味」。

 だが、その大事な人が“この人だ”と自覚する術を順子は知らない。初めて誰かのために夢中になれる喜びが、「恋」と呼べるものなのかどうかも。その人の存在そのものを肯定したいと思う気持ちこそが、「愛」というものなのかも……。そんな恋愛の証明問題も、匡平の受験勉強と並行して学んでいくことになるのだろう。(佐藤結衣)

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