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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

第1回

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の INU COMMUNICATION

メロンコリー、そして終わりのない煮干しおじさんの悲しみ。

毎月連載

19/1/10(木)

俺が犬を信じられなくなったのは、21世紀が始まって数年が過ぎたころだった。
横浜のとある神社へ初詣に出かけた俺は、参道の長い階段に並んでいた。牛歩のような進み具合に業を煮やして途中で帰ろうかとも思ったが、元旦からせっかちな態度で参拝を断念すると、今年一年がむちゃくちゃなことになってしまうような気がするので、仕方なく牛のようにのそのそと参道を進んでいた。
気がつくと、目の前の親子連れが可愛い豆柴のような犬を抱っこしていた。豆柴は大人の肩口から後ろに向かって顔を出し、いつでも触ってくれと言わんばかりの、愛らしい表情でこちらを見ていた。
若い頃から犬好きだった俺は可愛らしい豆柴に触りたくてたまらなくなり、赤子を眺める親のような弛緩した顔と慈愛の心を持って、豆柴の頭に手を伸ばしたのだった。
すると、豆柴はグルルと低い音を立て、立てるや否や俺の右手に噛みついたのだった。
あれから十五年くらい経っただろうか。
もう一度、犬と仲良くなりたい。犬を信じたい。というか、豆柴、いや、世界一苦手な柴犬と仲良くなりたい。そういう願いを持っていたところ、いろいろな犬に会いに行くという連載を持つことになった。

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