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BLACKPINK、少女時代……K-POPガールズグループにおける“ソロ活動”の意味

リアルサウンド

18/11/28(水) 8:00

 韓国の音楽マーケットは日本以上に競争が激しい。特にアイドルが長い間生き残るのは至難のわざだ。ヒット曲を1つ持っているだけでは安定した人気を得られないため、さらなる高みを目指して様々な手段を使って勝負に出る。アイドルグループのメンバーがソロ活動をするケースが多いのも、実はこうした考え方がベースになっている。K-POPブームが世界規模で吹き荒れる昨今では、メンバーが単独で動くパターンはなぜか男性よりも女性のほうが目立つ。それほどライバルが多いということだろうか。

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 最近ではBLACKPINKのJENNIE(ジェニー)のソロデビューが話題となった。彼女の場合、グループから早く自立しようというよりはブレイク中のグループを長期安定路線へと導くための援護射撃といった印象が強い。デビュー曲「SOLO」はBLACKPINKの方向性とあまり変わらない音作りだが、ビジュアル面でよりガーリーな部分をアピールしている。おそらく残りのメンバーも近いうちにソロ活動を始め、個性的なメンバーがそろったBLACKPINKは“オンリーワンのグループ”というイメージを強化したいのだと思われる。

 このような戦略で大きな成功を収めた最初のガールズグループと言えば少女時代だ。彼女たちとデビュー当時ライバルだったKARAも、各メンバーの単独活動はそれなりにあったものの、従来のキャラクターを変えるようなケースはあまりない。一方の少女時代は、ソロで意外なジャンルや企画にチャレンジしていることがあり、普段とは違う姿をファンに楽しんでもらうことを意識しているようだ。

 少女時代のソヒョンがベテラン歌手のチュ・ヒョンミとタッグを組んでリリースしたシングル「チャラジャチャ」(2009年)はそうした傾向が際立っている。トロット(日本の演歌に似たジャンル)に洗練されたダンスポップを加えるという試みで、ソヒョンも曲調に合わせて清純な乙女風に歌っていて微笑ましい。

 2018年6月にティファニー・ヤングという名前でアメリカ進出を果たしたティファニーは、少女時代の初期からソロ活動に積極的だった。中でも興味深かったのが、Unnies(オンニス)への参加(2016年)である。Unniesはコメディアンや女優、歌手らと結成したテレビ番組発のプロジェクトユニットで、ティファニーはデビュー曲「Shut Up」で伸びやかな歌声を披露。自身のセクシーで健康的なイメージをパロディ化したようなパフォーマンスで多くのリスナーを引き付けた。

 現在最も活発にソロ活動をしている少女時代のメンバーはユリである。それまでこれといった単独作品を出してこなかった彼女が、2018年10月に初のミニアルバム『The First Scene』を発表。サウンドの路線は、同年にテヨン、サニー、ヒョヨン、ユナとともに結成したユニット・少女時代-Oh!GGの延長線上にあり、リードトラックのクールなダンスポップ「ハマっていく(Into You)」のMVでのオリエンタルなムードも同様だ。ユリの単独活動はグループの勢いをサポートするためのものなのかもしれない。

 さてここで注意したいのが、今まで紹介したのはすでにスターダムにのし上がっており、なおかつトップランクの芸能会社に所属しているグループに限っての話だ。BLACKPINKや少女時代のクラスに届かないガールズグループの大半は、「そろそろ飽きられてきたから個別の活動にシフトしようか」と瞬時の判断で進めている場合が多いのではないだろうか。マーケットが小さく、投資できる額も限られている中小の芸能会社では、長期的な視野で育てられるケースはレア。その場でひらめいたことをどんどん実行するケースが増えていくのは当然である。

 しかしながら、近年の厳しい状況下においてどう進むべきか、知恵をしぼって逆転の発想で生きのびようとするグループもいる。2018年8月に正式デビューしたLOOΠΔ(今月の少女)は、まずメンバーとなる女性たちを毎月ソロデビューさせて、12人そろった時点でグループとして出発、という風変わりな手法を選んだ。完全体となるまでに約1年半かかってしまった(当初のコンセプト通りに毎月デビューさせなかったところが韓国らしいとも言える)が、各メンバーのファンを事前に獲得できたおかげで、LOOΠΔの1stコンサートのチケットはすぐにソールドアウトになったという。

 長い目で見ることは難しくても、トレンドを自分なりに分析して、売れると思ったことは迷わずやる。当然おかしなものも相当数出てくるが、だからこそ楽しかったり、予想外のムーブメントが起きたりもする。韓国のガールズグループの本体および周辺の活動を追い続けていると、K-POPの面白さは結局そこに尽きるのではないか、という思いが強まってくるのだ。(まつもとたくお)

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