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『監獄のお姫さま』『モンテ・クリスト伯』『ブラックスキャンダル』……復讐ドラマなぜ人気?

リアルサウンド

18/9/30(日) 6:00

 物語には“王道”が存在する。恋愛もの、家族もの、法廷ものに刑事ものなど。すべての物語は、なんらかのジャンルに属すると言っても良い。それが1クールごとに手を変え品を変え、キャストを変え、作られ続けているのが現状だ。そんな“王道”の物語のひとつ、復讐ものが昨今活気付いていることをご存知だろうか?

参考:『モンテ・クリスト伯』が描いた人間の本質 作り手たちのエネルギーが詰まった最終回を振り返る

 ここ1年間に放映された作品を見ても、捏造記事で夫を自殺に追い込まれた女性が、週刊誌に復讐をする『ブラックリベンジ』(読売テレビ・日本テレビ系)をはじめ、濡れ衣を着せられ収監された企業のひとり娘のために、元受刑者の女性たちが立ち上がる『監獄のお姫さま』(TBS系)、『巌窟王』の名でも知られる世界的に有名な原作を、現代の日本に舞台を移して描いた『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)、天才詐欺師の復讐劇『嘘の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)などさまざま。このほど最終回を迎えた『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京)も忘れてはならないし、10月クールの新ドラマには芸能界を追われた元女優がプロダクションに復讐をする『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・日本テレビ系)が控える。各局がこぞって製作に乗り出す、その魅力とは一体なんだろうか。

 たとえばシェイクスピアの『ハムレット』、そして日本の『忠臣蔵』。復讐劇のいくつかは、エンターテインメントの代名詞として古くから人々に親しまれてきた。背景となる出来事は、家族や恋人など身近な人にまつわるものから、巨大な権力に抗おうとするものまでさまざまだが、いずれも虐げられた主人公が綿密に策を練り、または仲間や思いを同じくする協力者と力を合わせ、ターゲットを追い詰めていくという展開がベースとなっている。復讐自体よりも、成し遂げるまでの過程が肝だ。当然、その中にはサスペンスフルな出来事もあれば、感動のエピソードが描かれたりもする。視聴者は、主人公とともにターゲットへの怒りを募らせ、復讐まで道のりを見届ける。そして最後に訪れるのは壮大なカタルシス。復讐を成し遂げた主人公は、必ずしも幸せになるわけではなく、むしろ悲劇的な結末になる場合も多い。総じて復讐ものとは感情を揺さぶり、観る者を夢中にする要素が多い物語であると言える。

 その上で、昨今製作された復讐ドラマに目を向けると、共通するのは設定の面白さだろう。マスコミ業界や芸能界など舞台に目新しさを加えたもの(『ブラックリベンジ』、『ブラックスキャンダル』)、また著名な海外文学を大胆に脚色してみせたり(『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』)、“復讐代行人”というキャラクターを登場させることでさまざまな“復讐”をオムニバス形式で語る作品(『GIVER 復讐の贈与者』)も現れた。設定に視聴者の興味を引くスパイスを加えることで、同じテーマや似た展開であっても飽きさせずに見せようとする工夫が功を奏している。自然、演じる役者陣にも要求される演技の幅は広がり、見ごたえのある芝居が出来上がる。ある程度、展開の約束された安定感、そこにいかに興味を引く設定を付加できるか。“王道”の中にもチャレンジが活きる点が、制作側のクリエイティブ魂をくすぐるのかもしれない。

 また一方で、これだけ復讐ものがコンスタントに作られる背景には、ままならない毎日に不満を抱える人々が多い、ストレス社会にも一因があるように思う。ドラマは娯楽性の強いフィクションでありながら、どこかでは世相を映す鏡。「物語の中でくらい、スカッと憂さを晴らしたい」。そんな願いを復讐ドラマは叶えてくれているのではないだろうか。(渡部あきこ)

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