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あいみょん、山本彩、家入レオ、藍井エイル、カネコアヤノ……女性アーティストの言葉から見える今

リアルサウンド

19/4/16(火) 7:00

 『クレヨンしんちゃん』の新作映画の主題歌として制作されたあいみょんの新曲、アーティストとしての最初の一歩となる山本彩の1stシングルなど、女性アーティストの新作を紹介。それぞれの言葉(歌詞)にフォーカスすることで、彼女たちの現在の立ち位置、スタンスが見えてくるはずだ。

(関連:あいみょんが語る、作品に懸ける一瞬の閃き 「世の中には見逃したくないものがいっぱいある」

 シングル『マリーゴールド』、アルバム『瞬間的シックスセンス』が大ヒット、さらに日本武道館での弾き語り公演を成功させるなど、いまやメジャーシーンのど真ん中に存在しているあいみょんのニューシングルの表題曲「ハルノヒ」は、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』」の主題歌。しんちゃんの両親・ひろしとみさえの結婚エピソードをモチーフにしながら、素朴で愛らしくて切ないラブソングに結びつけたこの曲には、幅広いリスナーの共感を呼び起こす彼女の天性のセンスが根付いている。フォーキーな雰囲気を軸にしながら、現代的なトラックをさりげなく取り入れた田中ユウスケのサウンドプロダクション、そして、一つひとつの言葉に豊かな説得力を持たせるボーカルも絶品だ。

 昨年11月にNMB48を卒業。2019年1月1日に公開された“ロングヘアをバッサリ切っている”写真によって、アーティストとしてのスタートを鮮烈に提示した山本彩の1stシングル。彼女自身が作詞・作曲を手がけ、亀田誠治が編曲・プロデュースを担当した表題曲「イチリンソウ」は、桜の花びらが舞う季節のなかで、今という瞬間を生き、次の季節に向かおうとする意志を描いたミディアムチューン。生楽器の響きを活かしたアレンジ面と、自らの生々しい感情を投影しながら、幅広いリスナーの心に届く歌詞、真っすぐでてらいのない歌など、アーティストとしてのスタンスが明確に示されたナンバーだ。カップリングには寺岡呼人のプロデュースによるオーガニックなポップナンバー「君とフィルムカメラ」、小名川高弘プロデュースのライブ感あふれるアッパーチューン「Are you ready?」を収録。

 シングル曲「もし君を許せたら」(フジテレビ系ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』主題歌)、「この世界で」(映画『コードギアス 復活のルルーシュ』オープニング主題歌)を含む家入レオの6thアルバム『DUO』。リード曲「Prime Numbers」は、家入レオが初めて松任谷由実に対面した際、「あなた素数ね。どこにいても馴染めないでしょう」と言われたことがきっかけとなって制作されたナンバーだ。ユーミンの言葉に「今まで感じてきた気持ちにはじめて名前を付けてもらったような不思議な感覚」になったという彼女。その感覚は松尾潔に手渡され、〈「悲しい」なんてコトバで 語れるくらいなら〉〈割りきれない自分だって ありのまま愛することができるのに〉というフレーズを持つ、切なくも美しいラブソングとして結実。家入レオの等身大の姿が普遍的な楽曲に昇華された名曲だと思う。

 前作『D’AZURD』から約3年ぶり、通算4作目となる藍井エイルのオリジナルアルバム『FRAGMENT』。活動休止期間中に感じたことを歌詞に込めたという「約束」から始まる本作の最大の聴きどころは、藍井エイルという女性の生き方、人生観がリアルに刻まれていることだろう。心と体がバラバラになり、どうしても自己嫌悪に苛まれてしまう思春期をポップに描いた「グローアップ」、ネガティブな思いに絡め取られていた時期を越え、“本当の強さ”を求めて前に進み始める意思を綴った「FROATIN’」、そして、〈日々のカケラが 僕を作ってく/そしてハッハッハって笑えたなら/ピースフル!〉というフレーズが響く「フラグメント」。憂鬱な季節が過ぎ、ポジティブな気分へと突き進もうとする彼女の現在地をダイレクトに実感できる作品である。

 CDショップ大賞2019入賞作品に選出されたアルバム『祝祭』によって、芸術性と大衆性を兼ね備えたシンガーソングライターとしての評価をさらに高めたカネコアヤノの両A面シングル『愛のままを / セゾン』。感情の揺れと重なるようなバンドグルーヴとともに「できるだけ 愛のままを返すね/胸の奥の燃える想いを〉と伸びやかに歌い上げる「愛のまま」、フォーク、ロック、レゲエが自然に絡み合あうサウンドのなかで、ミモザが揺れる季節と不安定で愛らしい愛の形を描いた「セゾン」。この2曲を聴けば、心地よい親しみやすさとエッジーな独創性が不思議なバランスで共存する彼女のソングライティングが新たなフェーズに入りつつあることがわかるだろう。ポーンと気持ちよく空気を震わせる自然体のボーカルも最高だ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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