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ぴあ

「The Silver Tassie 銀杯」制作発表会より、左から森新太郎、浦浜アリサ、矢田悠祐、中山優馬、三田和代、横田栄司、安田聖愛。

「The Silver Tassie 銀杯」ウクレレに挑戦する中山優馬「背筋が伸びる緊張感」

ナタリー

18/9/26(水) 22:30

11月に東京・世田谷パブリックシアターで上演される「The Silver Tassie 銀杯」の制作発表会が、本日9月26日に同劇場で実施された。

「The Silver Tassie 銀杯」は、1928年にアイルランドの劇作家ショーン・オケイシーが手がけ、翌29年にロンドンで初演された作品。第一次世界大戦下のアイルランドを舞台に、優勝カップの銀杯を手にし輝かしい未来を嘱望されたフットボール選手が、戦地へ召集されたことで人生を一変させるさまが描かれる。演出は森新太郎が担当し、出演者には中山優馬をはじめ、矢田悠祐、横田栄司、浦浜アリサ、安田聖愛、土屋佑壱、山本亨、青山勝、長野里美、三田和代らが名を連ねている。

会見には森、中山のほか、矢田、横田、浦浜、安田、三田が出席。翻訳を担当したフジノサツコのすすめで2年前に本作と出会ったと話す森は、「むき出しの感情に人間のエネルギーが凝縮されていて、アイリッシュならではの痛烈な皮肉に満ちている」と作品を分析。上演意図について森は、「反戦を扱う本作には戦場の場面以上に日常生活の描写が多く登場する」と述べ、「我々は日常において無意識に『人を叩きのめそう』『排除しよう』といった野蛮な状況を目にしますが、それは戦争そのものの野蛮さと地続き。日常の行いが戦争として露出しているだけなので、根本から考え直さなければいけない。この作品は『“戦争反対”と言ったところで、じゃあてめえを見てみろよ』と痛烈なメッセージをオケイシーから突き付けられた気になる、実に挑発的な作品です。まさに今上演すべきだと思いました」と続けた。

音楽劇として上演される本作に10数曲もの楽曲が登場することを明かした森は、「強いメッセージ性があるだけでなく、サービス精神てんこ盛りでバカバカしい笑い、人間ドラマも魅力的」と作品のエンタテイメント性をアピール。演出プランについては、「文化庁の派遣制度で8月31日まで東南アジアにいたのですが、出発前にプランを考えておくよう劇場から言われていたのに、見事逃げ切りまして(笑)。でも滞在中に観劇した作品が僕の中で熟成していますし、観たこともない芝居の世界が作れたら」と期待を煽った。

話題は本作のキャスティングにも及ぶ。森は中山と同じジャニーズ事務所に所属する岡本健一とタッグを組んだ際に中山の存在を知り、中山が主演した連続ドラマ「北斗 -ある殺人者の回心-」の演技を見てハリー役を依頼することに決めたと言い、「ドラマで中山くんは、ピュアな心も荒んだ心も表現していた。ハリーの清濁併せ持つ雰囲気と同じだと思ったので、一発で決めました」と裏話を明かした。

中山は「始まってまだ5日ですが、背筋がピッと伸びるような緊張感です」と稽古の所感をコメント。戦争での負傷により車椅子生活を強いられるハリーについては、「エネルギッシュな大役をいただいた」と真摯なまなざしを向けつつ、役柄について「口が達者。戦争にぶつかって性格もネガティブになっちゃうんですが、そんな中でも洒落のきいた皮肉を言うところが魅力です」と解説する。また本作でウクレレの弾き語りに挑戦することを明かし、「簡単にはいきませんが(笑)、しっかり届けられるよう一生懸命やります」と意欲を示した。

ハリーの戦友であるバーニー役の矢田は、バーニーがハリーの恋人を奪うという作中のエピソードを挙げ、「ハリーから見たバーニーはいやな奴ですが、バーニーにとってはハリーの恋人と幸せになることが喜び。自分の不幸が他人にとっての幸せだったりと、そういう食い違いが面白いと思うので、うまく演じられれば」と目標を掲げる。さらに森からの「矢田くんに喉から血を吐くような芝居を味わわせたい」とのコメントを受けた矢田は「森さんは言葉を大事にされていて、ほかのキャストの方に話していることもとても勉強になるので全部盗もうと思う。『血を吐くような芝居』とのことなので、森さんに身を委ねて、めちゃくちゃにしていただきたい」と厚い信頼を寄せながら、笑い交じりに森に視線を送った。

本作について「エネルギーを要する芝居。日本人にはちょっとない言葉や感情の分量です」と言う横田は「(劇場のある)三軒茶屋みたいに、どこか猥雑だけど品のある作品になるのでは」と期待を込める。文学座に所属しながら蜷川幸雄のシェイクスピア作品に多く参加してきた横田について、森が「横田さんは蜷川さんと文学座のものだと僕は思い込んでいて、オファーするのにも気が引けちまって(笑)」と胸中を明かすと、横田は「痰に血が混じるようなセリフを要求されて育ちましたが(笑)、僕の経験のいいところは伝えられたら。でも今回は森さんの作品に染まるつもりで来ています」と語気を強める。そして森の演出について「言葉の1つひとつが誠実で、重みと説得力があります。僕も誠実でありたいと思うし、稽古場で想定外のことも発見して作品を高めたい」と意気込みを語った。

ハリーに片思いする女性・スージー役の浦浜は、自身の役どころを「周りにうざったがられるくらい信仰心に厚くて、エネルギッシュ」と紹介。戦争を経てスージーも内面を変化させていくと言いつつ、「彼女の根っこにある愛や優しさはところどころに感じるので、1つずつ丁寧にやりたい」と展望を語る。またモデルとして活動してきた浦浜は「セリフで感情を表現する難しさを感じている」と苦労を述べ、「そんな私をキャスティングしてくれた森さんのギャンブラー精神にびっくりしています!(笑) 求められたものに対して120、150パーセントで返せるようがんばります」と笑顔を見せた。

ジェシー役の安田は、恋人の親友をパートナーに選んでしまうジェシーを「自分にとても正直な女の子」と分析し、「気持ちいいくらい“ひどい女”を演じられたら」と意気込む。オーディションを経て出演が決定した安田について、森は「彼女はいい意味で浮いていた。コミュニティで浮いているけど独自の生き方を探しているジェシーが合うと思った」とキャスティングの意図を明かす。安田は森の印象について「まっすぐ言葉が飛んでくる、ものすごいエネルギーのある方」と語り、「稽古の中で私も森さんのパワーを吸い取れるくらいエネルギーを放出して、向き合っていけたら」と言葉に力を込めた。

ハリーの母親を演じる三田は「ラッキーが3つありました」と口火を切り、「私ずっと森さんとお仕事がしてみたかったので、それが1つ目のラッキー。森さんの演出だとお話をいただいて、作品の内容も聞かずに『やります』とお返事しちゃった(笑)!」と報道陣の笑いを誘う。続いて2つ目の“ラッキー”として三田は本作の感想を述べ、「反戦劇と聞いていて、暗くて重い話かと思って台本を読んだら、とにかく底抜けに明るくて、読みながら何度も吹き出しちゃった」と魅力をアピール。最後には「麻薬中毒とか記憶喪失とかの役はやりやすいけど、普通のおじさん、おばさんを演じるのはとても難しい。そういう役に恵まれたら何が来ても大丈夫だという感じがしますので、この歳で普通のおばさん役にトライできることがものすごいラッキー! 最後までお客様を楽しませられるようがんばります」と締めくくった。

公演は11月9日から25日まで。なお11月14日14:00開演回にはポストトークが実施され、森と中山が登壇する。

「The Silver Tassie 銀杯」

2018年11月9日(金)~25日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター

作:ショーン・オケイシー
翻訳・訳詞:フジノサツコ
演出:森新太郎
出演:中山優馬、矢田悠祐、横田栄司、浦浜アリサ、安田聖愛、土屋佑壱 / 麻田キョウヤ、岩渕敏司、今村洋一、チョウ・ヨンホ、駒井健介、天野勝仁、鈴木崇乃、吉田久美、野田久美子、石毛美帆、永石千尋、秋山みり / 山本亨、青山勝、長野里美、三田和代

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