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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

遠山正道×鈴木芳雄「今日もアートの話をしよう」

江之浦測候所ってどんなところ?

月2回連載

第20回

19/6/21(金)

遠山 この前、久しぶりに江之浦測候所に行ったんだけど、芳雄さんって何回ぐらい行ってるの? すごく頻繁に行ってる感じ。

鈴木 どのぐらい行ってるだろ(笑)。オープンは2017年だけど、オープンする前から何回も行ってるし、オープンしてからも毎年いろんな取材や撮影、時にはツアーで人を案内してレクチャーするってこともやってるから、数え切れないぐらい行ってる。

遠山 ツアーガイドまでやってるの?(笑)。

鈴木 そう、某百貨店系の旅行代理店のバスツアーとかね(笑)。

遠山 そんなことまで(笑)。

鈴木 なので今回は、我々にとても縁深い、江之浦測候所を紹介していきたいと思います。で、この時に遠山さん、都会ではなかなか味わえない体験をしたんだよね。そこら辺もあとで詳しく教えてもらいたい。

遠山 なかなか濃密な時間をこの時体験させてもらいました(笑)。

《冬至光遥拝隧道》の上(屋根に相当)に立つ遠山正道さん

鈴木 ではまず江之浦測候所について簡単に説明すると、現代美術作家の杉本博司さんが、かつてみかん山だった小田原市江之浦に作った、壮大なランドスケープ。敷地内は、ギャラリー、屋外舞台、茶室、庭園などで構成されて、人類とアートの起源を探り、人はどのように意識を形成し、営みをしてきたか、我々はなにものかなどを考える。そんな杉本さんの哲学的な問や彼と周辺の活動の国内外への発信地となる場所を目指してる。こうやって改めて言うと、すごい壮大。

遠山 壮大(笑)。しかも実現するまでに10年以上の歳月がかかってるんだから、まさに杉本さんのある意味集大成。だけど進化もし続けてるすごい施設だよね。

敷地内地図。各施設と春分、夏至、秋分、冬至が連動していることがわかる。

鈴木 構想から約20年、着工から約10年とも。この施設は、日本の四季というか、春分、夏至、秋分、冬至の日の出の軸線とすべて連動してる。それは人の意識の形成や衣食住の営みとも関連してくるわけだけど。例えば「冬至は一年の終点でありまた起点である」って杉本さんも語ってるけど、相模湾から昇る冬至の太陽が、隧道を通ってまっすぐにその光が差し込んでくるという作り。このトンネルを作る前、テストのために枠だけを建てた時期があって、本当に光が通るか実験をしたんだけど、そのときも僕は立ち会ってる。トンネル作ってみたらちょっと間違ってましたというわけにはいかないから。よし、このラインで大丈夫ということで、《冬至光遥拝隧道》と呼ばれるこのトンネルができたわけ。

《冬至光遥拝隧道》(c)小田原文化財団/ Odawara Art Foundation

遠山 一番最初の写真で僕が立ってるのが、この隧道(トンネル)の上だよね。

鈴木 そうそう。そしてその横には、光学ガラスでできた能舞台もあって。ここにまた陽の光がまっすぐ差し込んでくると、それも幻想的で美しい。

遠山 で、夏至は100mの長さを誇るギャラリーと関係してる。

《夏至光遥拝100メートルギャラリー》(c)小田原文化財団/ Odawara Art Foundation

鈴木 そう。隧道と同じように、夏至の日の出の太陽の光はまっすぐこのギャラリーに陽の光が差し込んでくるはずなんだけど、残念ながら夏至の日って梅雨時だから、まだ拝めてない。それとここは設計自体にも注目してほしい。このギャラリー棟は海抜100m地点に建って、海に向かってギャラリーの先端が12mせり出てる造り。で、大谷石の壁と自立する37枚のガラスでできてるんだけど、この天井は大谷石の壁側だけで支えてる。

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