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Aqoursがライブで告げる新たな船出ーー『ラブライブ!サンシャイン!!』東京ドーム公演を見て

リアルサウンド

18/11/29(木) 17:00

 オールメディア展開を行うスクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!サンシャイン!!』から誕生し、2015年の結成以降様々なステージを経験してきたAqours。彼女たちが、11月17日、18日に開催された『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~』で、遂に東京ドームの舞台に立った。ファンならご存知の通り、東京ドームはシリーズの先輩μ’sが、ファイナルライブを行なった『ラブライブ!』ゆかりの場所。アニソン界に多大な影響を与えた先輩からバトンを引き継ぎつつも、同時に劇中のメンバー同様、自分たちだけの輝きを探して活動を続けてきた彼女たちが、いよいよこの大舞台に辿り着いたのだ。

 これまでもアニメーションとのシンクロ/融合がライブの魅力のひとつだったAqoursだが、この日は初のドーム公演を祝福するかのように、『ラブライブ!サンシャイン!!』で劇伴を担当した加藤達也の指揮によるオーケストラ楽団「浦の星交響楽団」が駆けつけ、公演をサポートする。まずはオーケストラに合わせて巨大スクリーンでメンバー紹介がはじまる中、ドーム中央に巨大な幕が登場。そこから円陣の形に集まったAqoursの9人が登場し、ドーム一帯に響き渡る巨大な歓声を受けながらひとりずつ手を重ねると、彼女たちのデビューシングル曲「君のこころは輝いてるかい?」がスタート。早くもスクリーンで展開されるアニメーションPVのダンスと、現実のメンバーのダンスが見事にシンクロし、一気にAqoursらしい魅力が広がっていく。以降も序盤から「Step! ZERO to ONE」「HAPPY PARTY TRAIN」といったポップな人気曲を連発。一体感溢れるパフォーマンスで観客を魅了した。

 続くMCでは高海千歌役の伊波杏樹が、開口一番「ついに来ました、東京ドーム!!」と伝え、各メンバーが東京ドームにやってきた今の思いを語る。それぞれに言葉を噛みしめながらも、冗談も交えて楽しそうにはしゃぐ雰囲気がAqoursならではだ。その後はメインステージを横に広く使った「少女以上の恋がしたい」で宙にハートを描く振りにあわせてスクリーンに「♡」が描かれ、「青空Jumping Heart」ではメインステージ奥の高台で9人とアニメーション映像の動きがシンクロ。大会場のあらゆる場所を使ったパフォーマンスが続いていく。そして浦の星交響楽団の演奏にあわせてTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の名シーンを振り返るコーナーがはじまると、劇伴を再現した生演奏と観客の手拍子が重なった。

 以降は3人ずつに分かれた学年別パートへ。2年生チームがメインステージで「ダイスキだったらダイジョウブ!」を、1年生チームがドーム中央で「Waku-Waku-Week!」を、3年生チームがドーム最後方で「G線上のシンデレラ」を披露。続いて桜内梨子役の逢田梨香子がメインステージの高台に現われたピアノに座り、これまで彼女のピアノ演奏を加えて披露されてきた「想いよひとつになれ」がスタートすると、ここではなんとイントロを終えた彼女が高台を駆け降りて8人に合流。初めて9人で共に踊りながらパフォーマンスを繰り広げ、客席からは歓声がとまらない。彼女が「ずっとみんなと披露したかった。この曲楽しいね!」と嬉しそうに語る様子も含め、9人の想いがひとつになった瞬間だった。

 中盤には冬へと差し掛かるこの季節ならではの2曲を披露。「聖なる日の祈り」ではメンバーカラーのランタンを持った9人が、メインステージからドーム最後方までをゆっくりと進んでいく。そして最後方に辿り着くと、続く「ジングルベルがとまらない」では、クリスマス仕様のトロッコで東京ドーム全体をぐるりと周回。ビッグバンド風の華やかな楽曲の雰囲気も相まって、ドーム中に華やかな多幸感が生まれる。ふたたびオーケストラの演奏に乗せたTVアニメ本編の振り返りを経て、「MY舞☆TONIGHT」では和テイストの衣装でアニメーションとシンクロしたパフォーマンスを披露。「待ってて愛のうた」では見切れ席で声援を送る観客のもとにメンバーが駆け寄り、「未熟DREAMER」ではスクリーンに花火が上がって歓声が起こる。生演奏に乗せてTVアニメの名シーンを振り返ったり、新たなサプライズを加えたりと、東京ドーム公演ならではの要素をふんだんに盛り込みつつも、これまでの歩みが浮かぶような瞬間も随所に登場し、ライブ全体はこれまでの集大成といった雰囲気だ。

 しかし、この日の最大の見せ場はここから。暗転したステージにパッと照明がついた瞬間、メインステージ奥に巨大なAqours Shipが登場し、そこに乗り込んだ9人が「WATER BLUE NEW WORLD」を歌いながら広大な東京ドームを進んでいく。ここで観客のペンライトが一面青に変わり、彼女たちが大海原を航海するような景色が生まれた。ふたたびドーム最後方までやってきた彼女たちは、〈いつの間にか来たね/こんな遠いところまで〉という歌い出しを持つ「キセキヒカル」を浦の星交響楽団の生演奏とともにパフォーマンス。続く「Awaken the power」では鹿角聖良役の田野アサミと鹿角理亞役の佐藤日向が登場し、Saint Aqours Snowでの共演が実現した。続いてはじまったのは、9人がファンに「みんなが10人目のメンバー」と伝える「No.10」。ここではスクリーンに登場したスナップ写真風の枠にメンバーやキャストが映し出され、「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」……とひとりずつ続く掛け声の最後に「10!!」と東京ドーム中の声が響く。Aqoursメンバーと、それを演じるキャストたち、そして彼女たちを見守ってきたファンがひとつになった、Aqoursの歩みに思いを馳せずにはいられない瞬間だった。本編最後は「勇気はどこに?君の胸に!」で大合唱が起こり、メンバーがAqours Shipに乗り込むと、船上で観客と合唱した。

 鳴りやまない拍手に応えて登場したアンコールでは、新衣装で「未来の僕らは知ってるよ」とTVアニメ2期第13話の挿入歌「WONDERFUL STORIES」をパフォーマンス。観客の合唱がより大きなものになっていく。そして披露されたラスト曲「Thank you, FRIENDS!!」では、ファンへの感謝や、出会えた奇跡に思いを馳せながら、同時にこれから進む場所を〈みんなで探そうか〉と力強く歌う。アンコールを終えても鳴りやまない歓声に9人がふたたび登場し、マイクを切って自らの声で何度も感謝を伝える姿に感動が止まらなかった。

 年末の『NHK 紅白歌合戦』、年明け早々の劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow』、『ラブライブ!』シリーズ初のアジアツアー、来年6月のメットライフドームでの5thライブと、Aqoursの歩みはまだまだとまらない。そして、デビュー曲「君のこころは輝いてるかい?」で〈まだ夢に気づいたばかり〉と歌っていた彼女たちの物語は、いつしか多くのファンを巻き込み、様々な夢を叶え、遂には東京ドームを埋めるまでに広がった。ここからの物語を“みんなと”紡いでいきたい、そしてこの楽しい時間を永遠に続けたい――そんなメンバーによるこれまでへの感謝と、これからへのワクワクとした期待感に溢れた、グループの新たな船出を告げるようなライブだった。

(C) 2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。