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桜井日奈子の笑顔の先にはーー『僕の初恋をキミに捧ぐ』最終回で貫いた“愛する気持ち”

リアルサウンド

19/3/3(日) 12:00

 桜井日奈子のウェディングドレス姿、佐藤寛太のヒョウ柄ジャケットなど物語を象徴する衣装で涙を誘った『僕の初恋をキミに捧ぐ』(テレビ朝日系)第7話。逞(野村周平)は移植を拒否し、別の手術を受けることで生きようと決める。そんな逞を支える繭(桜井日奈子)や、双方の家族、そして鈴谷一家は2人が結婚式を挙げることで同じ空間に集結した。

【写真】ウェディングドレス姿の桜井日奈子

 命を巡って家族と家族が繋がっていく様子を描き、人は必ず誰かにとって“失いたくない大切な人”であることを浮き彫りにする。昴(宮沢氷魚)は脳死と判定され、ドナーカードを持っていたが、家族の意思で移植は拒否された。自分たちの希望を優先するために、一度は受け入れた臓器提供を拒否する描写は、不安定な心が揺れ動く様子を表していて胸が痛くなる。主人公である逞に生きてほしいという物語と、誰よりも積極的に逞を応援した昴の命が家族の愛によって守られる物語がせめぎ合い、どんな立場の人にも共感の余地があるシーンだったのではないだろうか。このような判断が前向きに描かれた今回は、愛するという気持ちを真摯に受け止め、最も大切なこととして伝えてきた1話からの一貫したメッセージを再度強く打ち出した最終回となっただろう。

 そんな一心に想う強い気持ちを、逞は病室で一人ぶちまける。最終回にして初めて大胆に感情をあらわにし、大粒の涙を流して身体を震わせた。野村の、心の奥底からこみ上げるような涙からは、逞の悔しさや不甲斐なさ、繭を想う愛、未来への希望の全てが表されていた。

 2人の幸せを心から願いたくなる。最後まで色々な人の気持ちを一心に背負い、期待には応え、相手にとって一番かけてほしい言葉をかけ続けていた逞。そんな逞は、繭にもまた、繭の幸せを一番に願った「他の人と幸せになってほしい」という言葉をかけたのだった。しかし心の中には、繭を独占したい気持ち、そうできるかわからない自分を責める気持ちと多くの葛藤が立ちはだかる。病室で1人、絞り出した言葉は「繭を誰にも渡したくない」ということだった。逞にとっては珍しく、自分を中心として語られた台詞だった。

 繭と2人で結婚式を挙げ、大きな手術の意思決定もできる。自立し、自分の判断で人生を歩もうという強いエネルギーを感じずにはいられなかった。ラストは明確な答えの出なかった本作だが、逞は病室を出て自分の足で歩いていける強さのある人間だと感じる。最後の繭の笑顔の先には、逞がいてほしいと強く思う。

 重々しい題材を扱った作品でありながら、ピュアな初恋を追いかけるストーリーで時にはふと笑顔をもたらしていた。桜井の弾ける笑顔と、野村の強い意志を持った瞳によって作品はより彩られ、大御所の生瀬勝久、そして新進気鋭の矢作穂香や富田健太郎らが起用されたことで、安定感とフレッシュさの入り混じる構成で物語は展開していった。同作品を原作とした映画の魅力はもちろんのこと、ドラマ版も多くの人を虜にできたのではないだろうか。

(Nana Numoto)

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