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いま、最高の一本に出会える

King & Princeが注目すべき存在である理由 圧倒的首位獲得した1stアルバムを聴く

リアルサウンド

19/6/29(土) 8:00

参考:2019年7月1日付週間アルバムランキング(2019年6月17日~2019年6月23日)

 2019年7月1日付オリコン週間アルバムランキング1位はKing & Princeの待望の1stアルバム『King & Prince』で、推定売上枚数は467,594枚。2位につけたサカナクション『834.194』の81,261枚も十分な健闘なのだが文字通り桁が違う。ほか、初登場としては4位に逢田梨香子『Principal』、5位にSHISHAMO『SHISHAMO BEST』など話題作が並んでいる。6年ぶりとなるサカナクションの新作についての(いささか複雑な)評価についてはすでに公開している別稿(サカナクション『834.194』レビュー:新曲群に如実に反映されたバンドの変化と魅力)に譲るとして、やはり今回は圧倒的な売上を誇ったKing & Princeをピックアップしたい。

 2018年5月のデビューシングル『シンデレラガール』から一年余り。メンバーの岩橋玄樹がパニック障害の治療のために休養を余儀なくされたものの、ジャニーズの新たな顔のひとつとして破竹の勢いを保っている。前述の約47万枚という初週の売上枚数はジャニーズのグループ中でも近年破格と言っていい。DA PUMPなどライジングプロダクション勢や三代目 J SOUL BROTHERSなどLDH勢といった国内の男性パフォーマンスグループや、あるいはK-POPのボーイバンドなどが勢いを増していくなか、図抜けた存在感を放っているのはさすがだ。

 King & Prince(に限らずジャニーズ全体の傾向かもしれないが)の楽曲やパフォーマンスを見聞きしていて感じるのは、ボーカルにせよダンスにせよやや余裕をたたえた優雅さだ。さすがにグループ名にキングとプリンスを冠するだけあると思ってしまう。文句なしの代表曲である「シンデレラガール」にせよ、基本は爽やかな四つ打ちのダンスチューンだが、全編ほとんど隙間なく鳴るストリングスの旋律やピチカートをはじめとしたきらびやかで柔らかいサウンドが印象的。さらにその上で繰り広げられるメンバーのボーカルも、やや高めのメロディラインを無理なく歌いこなす。このご時世ではやや過剰とも思える音数ながら(ジャニーズで言うなら、AmPmをプロデューサーに起用したV6のシングル「All For You」の、いかにも現代的なすき間を活かしたサウンドと比較するとよい)、グループとしてのキャラクターやパフォーマンスの綾、そして楽曲としての仕上がりによってエレガントに聴こえる。

 とはいえそれもまた一面にすぎないことは、セルフタイトルの今作を聴けばわかる。「君を待ってる」や「Memorial」といった2nd、3rdシングルのリード曲は「シンデレラガール」の路線を忠実に守っている。しかし、他の楽曲はファンキーなギターをフィーチャーしたダンスポップやR&B調のバラード、軽快なスウィングなどバラエティに富んでいる。なかでもやや異色なのは平野紫耀と髙橋海人による「Big Bang」で、アグレッシブなトラップのビートにふたりのハードなラップがのった一曲。こうしたサウンドにも対応できることをさらっと主張してみせるあたり、今後の展開に含みをもたせてあるように思う。

 初回限定盤Bではディスク2でJr.時代のレパートリーをコンパイルしているとのことで、デビュー後の歩みしか知らなかったこともあってそちらもチェックしてみた。もっとアクティブでスポーティな楽曲が多く、「シンデレラガール」以降のKing & Princeがいかに明確なコンセプトに貫かれているかがわかる。ラウドなディストーションギターとドラムスが登場する「MIXTURE」にはちょっと驚いた。

 ポップスのアルバムとして高いクオリティを誇ることはもちろん、Jr.時代と比較するとあきらかに、グループのアイデンティティを明確に打ち出したディレクションを感じられる。メンバーのキャラクターのみならず、ひとつの世界をパフォーマンスのなかに現出させることで多くのファンを虜にするKing & Princeは、男性アイドル/パフォーマンスグループがしのぎを削る現在にあってやはり注目すべき存在だ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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