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『X-MEN:ダーク・フェニックス』は過去作と何が違う? アクションの変遷から辿る

リアルサウンド

19/6/29(土) 10:00

 X-MENとは、悪の脅威から人類を守り、人類とミュータントとの平和的共存を実現するために組織されたミュータントヒーローチームである。そのX-MENを率いるプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア(ジェームズ・マカヴォイ)は、良かれと思ってメンバーの一員ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の記憶をテレパシー能力で改ざんしていた。ところがある日、ひょんなことからジーンは自分でも制御できないほどのスーパーパワーを得て、おまけにプロフェッサーXによる記憶の改ざんまで知ってしまう。X-MEN不信に陥ったジーンは、決定的なやらかしもあり、居場所を求めてマグニートーことエリック・レーンシャー(マイケル・ファスベンダー)のもとを訪れるが、ここでもトラブルを起こして追い出される。行儀よく真面目なんてできやしない尾崎豊的な状態に陥ったジーンは、悪の宇宙人の誘いに乗って大暴走を始め……。

参考:『アベンジャーズ4』のお手本に? 『デッドプール2』は“X-MEN映画”としても進化している

 本作『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年)は、公開前からトラブル続きだった。「公開が延期になった」「大規模な撮り直しをしているらしい」「実際のところ評判が……」などなど。公開が始まった今、現場が混乱していたことはキャストやスタッフの口からも語られている。そして本編を観てみると、こうした混乱が透けて見える内容になっていた。掲げたテーマを語り切れない駆け足展開に、ころころ意見が変わるキャラクター、ふわっとした設定、だけど何でもいいから映画を終わらせるぞという、夏休みの宿題で追い詰められたような気持ちが画面からにじみ出ていたように思う。ところが、こうした部分に引っかかりつつも、それでも私は本作をけっこう楽しめてしまった。アクションが好みだったからだ。

 『X-MEN』は、特殊能力を持った個性豊かなミュータントたちの戦いを描く作品だ。しかし、その能力は、世界最強のテレパシー能力者、天気を操る、磁力を操るなど、壮大な能力が多かった。こうした能力はCGの出来に左右されるので、今になって1作目を見直すと、なかなか厳しいものがある(当時もCGやワイヤーアクションの技術が未完成で、なかなか厳しいなと思った記憶がある)。ヒュー・ジャックマンの当たり役となったウルヴァリンは、爪で戦うシンプルな能力だったが、では彼の超人感に溢れたハイレベルな格闘シーンがあったかと言うと、これは『LOGAN/ローガン』(2017年)まで待たなければならなかった。

 個人的な話になるが、1作目の『X-メン』(2000年)の公開当時、ワイヤーやCGを駆使した戦闘シーンを観て、「これならジャッキー・チェンやジェット・リーの方が強いのでは?」と首をかしげたものだ。もちろん、こうした課題は技術の進歩と共に解消されていったが、それでも単純な「戦闘」に関していうと、『X-MEN』シリーズはそこに重きを置いていない印象だった(そもそも戦闘に割く尺も短かったように思う。私が戦闘に割きすぎな映画を見慣れているせいかもしれないが)。

 その点、本作はこれまでのシリーズと大きく違う。まずクライマックスの舞台は疾走する列車の中である。この『ファイナルファイト』みたいなスケール感がまず珍しい。地球が割れるような戦いが当然のアメコミ映画で、このコンパクトさは一周回って新しい。おまけに敵が「地球人そっくりに変身した宇宙人」という設定なので、パッと見は普通の人間だ。よって画だけ見ると「X-MENの特殊能力が普通の人間に向けて全力でブツけられる」という、今までのシリーズでも珍しい画になっている(法律の抜け穴を突くようなやり方だ)。それはそれで問題もある気がするが、対人戦に特化して、新しいアクションを見せている点は評価したい。

 そんなわけで色々と疑問が残る部分はあったが、最後のアクションに乗れてしまったので、なんとなく良かったかなと思える1本だった。シリーズの集大成と胸を張れないのが少し残念だが、なんだかんだで20年近く付き合ったシリーズである。今は終わったことを噛みしめたい。ただ、遂に最後までオメガレッドがアニメのオープニングみたいにウルヴァリンと戦ってくれなかったのは残念だが……。ずっと待ってたんですよ。20年。(加藤よしき)

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