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山田孝之と野田洋次郎の不思議なつながり 『dele』が投げかけた“2度目の死”

リアルサウンド

18/8/18(土) 13:30

 『dele』(テレビ朝日系)第4話が8月17日に放送された。デジタルデバイスに遺された故人の情報「デジタル遺品」を題材に、さまざまな人間ドラマを描き出す今作。主人公・坂上圭司(山田孝之)と真柴祐太郎(菅田将暉)は、クライアントの依頼を受け、そんなデジタル遺品を“内密に”抹消する仕事を請け負っている。

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 第4話では、PDFファイルの死後削除を依頼していた人物から「dele.LIFE」に遺書のようなメールが届く。「人は2度死ぬと言う」、そう書かれたメールの差出人は日暮裕司(野田洋次郎)という男だった。メールには「あれまで消えてしまうことが正しいのか」と書かれている。「あれ」を削除依頼ファイルだと推測した圭司は、自ら進んで削除ファイルを開いた。第4話の見どころは、依頼者に対して憧れを抱いていた圭司が、感情をあらわに行動することだ。

 削除ファイルを自ら開いたときも、死亡確認に自ら赴くときも「今回は特別だ」と圭司は言う。日暮は、25年前に話題を呼んだ天才超能力少年だったのだ。圭司はかつて彼に心酔していた。第4話冒頭、圭司は真剣に「スプーン曲げ」に取り組んでいる。姉の舞(麻生久美子)や祐太郎に茶化された時には即座にいつもの無愛想な圭司に戻った。しかし依頼者が「かつて自分が憧れていた相手」だと分かったとき、超能力少年に憧れる少年時代の圭司があらわになる。「今回は特別だ」と自ら進んで日暮に近づこうとする圭司からは、子供が憧れの人に抱く純粋な尊敬の念が感じられる。山田は決して圭司の愛想のなさを崩すことはないのだが、第1話から第3話の圭司では見られなかった“自ら進んで”行動する姿から、圭司の無邪気な一面を表現する。

 子供のような素直な感情をあらわにする圭司。日暮が遺していたのは、霊視して描いたと思われるいくつもの絵。数年前、ある少女の母親の失踪をつきとめられなかったことから、世間からバッシングを受け、メディアからも姿を消していた日暮。日暮の人生を辿るために、テレビに出演したかつての少女を訪れたことで、事態は進む。日暮の遺した絵こそ、彼女の母親の本当の居場所なのではないか。圭司と祐太郎は絵を頼りに母親を探す。霊視を信じていないと話す祐太郎も、徐々に日暮の力を感じるようになる。

 圭司は決して、ワクワクした表情は見せない。追い求めているものが、失踪した母親の遺体ということもあるだろう。しかし、無愛想な表情を浮かべているにも関わらず、圭司から冒険を楽しむ子供のような一面が感じられる。圭司が見せる表情の素直さも魅力的だ。祐太郎がスプーン曲げに成功したときには大声をあげて驚いた。最後の絵の場所にたどり着いたとき、場所の不気味さに不安な表情や言動を見せた圭司にくすりとさせられる。いつもは冷静沈着な圭司が、祐太郎より幼く感じる。この圭司の子供のような一面は、亡くなった日暮の抱えてきた孤独や不安を際立たせる演出にもなっていた。

 日暮の遺品は母親の居場所を言い当てるものだった。母親の白骨化した遺体がそこで見つかり、数十年ぶりに母親は娘の待つ自宅へ戻った。数十年前、日暮はわざと間違った絵を描くことで、事実を少女に伝えないことを決める。母親は失踪したのではなく、父親によって殺害されていたのだ。圭司と祐太郎は、母親の遺体とともに見つかった名刺を父親に渡す。罪悪感を抱えながら生きてきた父親に対する圭司の口調は、いつも通りぶっきらぼうだ。しかし、ぶっきらぼうな口調ではあるものの、圭司は父親の罪を責めているわけではない。日暮は「あの判断は間違っていなかったはずだ」と、少女に事実を伝えなかったことを自ら選んでいた。それを理解している圭司は故人の思いを尊重し、父親に娘や孫の幸せを考えながら生きるよう諭すようだった。日暮の真相を追っていたときのような子供らしさは、このときの圭司の表情にない。今までの依頼者にしてきたような姿勢を、憧れの人に向けようとする姿があった。

 物語終盤、圭司は日暮の死についてこう話す。

「俺たちが覚えておけばいい。2度目の死は訪れない」

 死んだ後、忘れ去られることを2度目の死と表現した日暮。そんな彼を覚えておこうと言う圭司の表情には、やはり憧れの人に対する尊敬の念があった。人との接触を突き放すような印象も与えてきた圭司だが、本当は誰よりも人の気持ちを大切にしているように思える。無邪気さと真摯さと、無愛想な表情の中からそれらを感じさせる山田の演技力に圧倒される回だった。

 登場シーンは少ないが、日暮を演じた野田の存在感も素晴らしかった。冒頭のモノローグから感じられる日暮の苦悩。圭司と祐太郎の前に現れる姿には、どこか異質な雰囲気があった。山田と野田が直接接するシーンはないのだが、劇中2人がつながっているかのように感じる、不思議な印象があった。(片山香帆)

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