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MISIA、『義母と娘のブルース』主題歌は“愛の讃歌”だ ドラマのテーマに寄り添った内容から紐解く

リアルサウンド

18/7/31(火) 20:00

 綾瀬はるか演じるカタブツなキャリアウーマンが、慣れない母業に苦戦しながら義理の娘との絆を育んでいくドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系、毎週火曜22時)で、主題歌を担当しているMISIA。デビュー20周年第1弾のシングルとなる『アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)』(8月22日発売)は作詞作曲をGReeeeN、コーラスをメンバーのHIDEが担当し、アレンジに亀田誠治を起用した、まさにJ-POPを代表する豪華制作陣による楽曲だ。これまで、DREAMS COME TRUEや布袋寅泰らとのコラボ経験があるMISIA だが、デビュー20周年を迎えてなお、新たな可能性を追求する姿勢も垣間見える、エポックメイキングな楽曲になっている。

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 MISIAといえば、さまざまなドラマや映画の主題歌に抜擢されてきたことで知られるが、印象的なものを挙げるとすれば、2000年にリリースした『やまとなでしこ』(フジテレビ系)主題歌「Everything」は外せない。美しく壮大なバラードはドラマの大ヒットも相まって200万枚のセールスを記録。今なお歌い継がれる名曲となっている。その後、2009年には『JIN-仁-』(TBS系)に「逢いたくていま」を提供。原作や設定を読み込み、“「命の重さ”」に向き合って制作された同楽曲は大きな話題となった。奇しくも本作で重要な役を担ったのが綾瀬はるか。『義母と娘のブルース』はそんな綾瀬とMISIAがとの9年ぶりの顔合わせとなることにも触れておきたい。このほか『大奥~誕生[有功・家光篇]』(TBS系)では「DEEPNESS」を、『S -最後の警官-』(TBS系)では「僕はペガサス 君はポラリス」が主題歌として起用されていることから、TBS系のドラマとは比較的相性がいいとも言える。

 その上で『義母と娘のブルース』を見ていくと、テーマとなるのは血の繋がらない母娘が いかに“家族”になっていくか、だ。そこに発生するさまざまな葛藤や悲喜こもごもが10年の月日の中で描かれていく。主題歌「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」の歌詞は〈あのね〉と、語り口調で綴られているのが印象的だが、そこに続くのは愛の言葉であり感謝だ。「脚本を読んで、とても心が揺さぶられました。こんな素晴らしいドラマが今の時代に必要だと思います大切な人に『あのね 大好きだよ』と伝えるお手伝いが出来るよう、心を込め歌いました」(引用:MISIA、GReeeeNとのコラボ楽曲で綾瀬はるか主演ドラマ『義母と娘のブルース』主題歌担当)とMISIA本人もコメントしているが、エンディングで流れるとあたかも義理の娘のみゆきから義母の岩木亜希子へのメッセージ(または逆も然り)にも聞こえ、物語の余韻と相まってあたたかな気持ちになる。しかし歌詞の内容は、劇中の母と娘の関係性を超え、友情や家族、恋人など聴く者それぞれが心に思い浮かべる大切な誰かへの思いに寄り添うとても普遍的なものだ。〈あのね あのね ずっと 大好きだよ〉とかけがえのない「あなた」に伝えようと必死に呼びかける姿からは意地らしさとともに、愛するゆえのもどかしさも伝わってくる。本作はいわば“愛の讃歌”でもあるのだ。

 一方、ドラマにはもうひとつのテーマとして“晩婚化”や女性の結婚問題も周到に織り交ぜられている。主人公の岩木亜希子は33歳という設定。ひょんなことから宮本良一と結婚するまでは、一流企業で部長職にまで上り詰めた仕事の鬼であり、ともすれば女性の晩婚化を象徴するキャラクターだ。そんな彼女にとって仕事のようにタスク管理できるものではない母親業は一筋縄でいくはずもなく、時に周囲を困惑させることも。本作はそんな不器用な亜希子が成長していく物語と見ることもできよう。また2話では社内の女性たちに結婚や子育てについてヒアリングする中で、さまざまな不平不満が噴出したり、3話で真っ向から対立したPTA会長が、実は出産を機に仕事を追われた、いわゆる“マタハラ”の被害者であったことも明かされた。結婚していてもしていなくても、また子供がいてもいなくても、何かと女性への風当たりが強い現代。〈時にぶつかり すり減って そして また 埋めあっていけばいい〉という歌詞は、そんな今を生きる女性たちへの応援歌のようにも聴こえてくる。

 先日放映された第3話では、たったひとりで運動会を切り盛りするはめになった亜希子に、良一やみゆきが手を差し伸べ、家族として支え合おうとする姿が描かれた。しかしラストには良一に残された時間が少ないような展開もほのめかされ、かぶさるように流れた「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」には、良一の切ない思いがにじむようだった。これからドラマの話数が進むにつれ、亜希子とみゆきは家族としてどんな“アイノカタチ”を見出していくのか。それが明らかになった時こそ、主題歌にこの楽曲が選ばれた意味もまた浮き彫りになっていくに違いない。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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