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SHINee ジョンヒョン、音楽家として遺したもの 『BASE』から『Poet | Artist』までを振り返る

リアルサウンド

19/1/20(日) 10:00

 1月5日~6日に韓国で『第33回ゴールデンディスクアワード(GDA)』が開催された。BTSやiKONなどが受賞する中で、SHINeeのジョンヒョンの作品『Poet | Artist』がアルバム部門の本賞を受賞した。今回の受賞には「ジョンヒョンの最後の作品に賞をあげたい」というファンの強い思いによる購入運動が影にはあったが、それだけでなくこの作品が素晴らしいものだったからこそ受賞できたことは間違いない。

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 今回のコラムでは、SHINee・ジョンヒョンが遺したソロ作品を振り返ってみたい。

■変幻自在のボーカリスト・ジョンヒョン
「Crazy(Guilty Pleasure)」
 以前のコラムにも書いたが、ジョンヒョンの音楽の世界は幅広い。変化自在にテクニックを使いどんな曲も歌いこなしながらも、自分のスタイルをしっかり持っている、そんなボーカリストだ。才能豊かな歌手が多くいるK-POP界の中で、ジョンヒョンほどのボーカリストはいない、と評価も高かった。

 ジョンヒョンは2015年1月にミニアルバム『BASE』でソロデビューを果たす。アルバムの中では、Zion.Tとコラボしコンサートでも度々披露されてきた「Deja-Boo」や、女性歌手・ユナとのジャジーなデュエット曲「Love Belt」など、SHINeeでは見せなかったジョンヒョンの持つ音楽性をじっくり堪能できる。

 特に〈狂ってしまいそう〉というサビの歌詞がインパクトのある「Crazy(Guilty Pleasure)」では、その名の通り狂ったように恋に落ちていく姿を歌った。その表現力は圧倒的だ。狂気の世界観を描いたMVも合わせてみてほしい。

『She is』
 2016年にリリースされた初のフルアルバム『She is』。『BASE』の音楽性を引き継ぎながらも、明るくポップな世界観を表現したタイトル曲「She is」や、ピアノのイントロが印象的な「White T-Shirt」、「19禁の歌詞だ」と本人が語った「Suit Up」まで、多彩な色の曲が詰まっている。どの作品にも彼が作り上げる“ジョンヒョン節”をしっかり感じることができる。

■優しさと暖かさを秘めた“言葉”
「End of a Day」
 様々な音楽のスタイルを見せる中でも、2015年にリリースされた小品集『Story Op.1』は印象深いアルバムだ。このアルバムは彼が当時担当していたラジオ番組『青い夜、ジョンヒョンです』のコーナー「青い夜 作詞、その男作曲」でジョンヒョンがリスナーのエピソードを元にしながら書いた曲で構成され、彼自身が全プロデュースをしている。

 このアルバムにはジョンヒョンの温かさや優しさが溢れている。特に「End of a Day」は〈あなたにも僕の肩が 優しい僕の両手が 疲れたあなたの一日の終わりに 暖かい癒しになりますように〉〈ご苦労様 お疲れ様でした〉とねぎらいの言葉をかけてくれる。この曲は私たちの生活のリズムにぴったりハマり、どんな時に聞いてもホッとした時間を与え、最後に〈あなたは私の誇りです〉と語りかけるジョンヒョンの言葉で終わる。ジョンヒョンは「日常的に共感できるあなたと僕の話を入れた。聴く方々の慰めになってほしい」とVアプリで語っており、まさに日常生活における身近な“ヒーリングソング”なのだ。

 音楽だけでなく彼の言葉に勇気をもらい励ましてもらった人たちは少なくない。彼の語る言葉の隅々には、相手に対する気遣いや尊敬の気持ちがあったからだ。彼は担当していたラジオ番組に寄せられたリスナーの悩みに対しても真摯に考え、通り一遍の言葉では返さず、いつも自分の言葉で相手に伝えていた。

 そんな彼の言葉で印象に残る言葉がある。それは「理解するのではなく認めること」という言葉だ。これは彼の座右の銘にもなっており「理解できないことでも、それを受け入れれば、気持ちは楽になる」とインタビューで語っている。決して誰かを否定することのないこの言葉は、彼の人に対するリスペクトと優しさを感じさせる。

■音楽家・作家としてキム・ジョンヒョンが遺したもの
 最後にリリースされた作品『Poet | Artist』はポップ、R&B、フューチャー・ベース、アコースティック・バラードなど、“ジョンヒョン節”を残しながらも、カラフルな作品に仕上がっている。タイトルになった『Poet | Artist』は「作家・芸術家」と言う意味を持つが、それはジョンヒョン自身がなりたかった姿だという。実際、彼は音楽家であり作家であったのではないだろうか。彼の紡ぐ音楽と言葉は多くの人の心を動かしてきたからだ。

 今回の『GDA』では、ジョンヒョンの代わりにメンバーのミンホとテミンが代理で賞を受け取った。その際にテミンが「誰よりも音楽とステージを愛したジョンヒョン兄さんをずっと記憶してほしいです」とコメントしたように、彼が残した音楽は、時間が経っても多くの人たちの間で聴き継がれ記憶に残っていくに違いない。

 冬に発表された『Poet | Artist』は再会を待つ歌「僕たちは春が来る前に」で終わる。時間が流れていく中で繰り返し冬が来て春が訪れても、私たちは作品を通して音楽を心から愛したジョンヒョンに何度でも会うことができる。その音楽と言葉は、私たちの心の中で色濃く鮮やかに、いつまでも色褪せることはないだろう。(西門香央里)

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