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ぴあ

左から早川千絵、木下雄介、藤村明世、津野愛、石川慶。

「十年」監督陣が是枝裕和との共同作業を振り返る「対等に接してくれた」

ナタリー

18/10/17(水) 19:50

是枝裕和が総合監修を担当するオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の試写会が10月16日に東京・日本外国特派員協会で行われ、監督の早川千絵、木下雄介、津野愛、藤村明世、石川慶が登壇した。

2025年の香港を描いた「十年」の日本版となる本作は、“10年後の今”をテーマに、早川の「PLAN75」、木下の「いたずら同盟」、津野の「DATA」、藤村の「その空気は見えない」、石川の「美しい国」で構成されるオムニバス作品。すべての作品が、社会的な題材を取り扱っている。

是枝との共同作業についてのエピソードを聞かれると、石川は「『一度指摘したことを次のときに変えてこなかったら、それは作家としての主張だと捉えて、無理に変更させたりはしないと決めていた』とおっしゃっていたこと。普段仕事をしているプロデューサーとは大きく違うところです」と答える。津野は「是枝監督は撮影の当日でも脚本を直しています。新人なのに申し訳ないのですが、私も最後まで直させてもらいました」と回想した。

藤村は「是枝監督は私の過去作品を観たいと言って取り寄せてくれていたんです。そのことに少しびっくりしたんですが、そうやって各人の監督の個性を汲み取ってくれたうえでアドバイスをしてくれたので、自然と自分のやりたかった方向に進めた気がします」と話す。木下は「最初に『この話はハッピーエンドなのかな?』と聞かれました。自分の中では、ラストがハッピーなのか否かという考え方を持っていなかったので、そのことを意識させてもらいました」、早川は「いつも『監督は君たちだから』とおっしゃっていました。この5人の映画監督に、1人の映画監督として対等に接してくれたことが、とてもありがたかったです」と振り返った。

「十年 Ten Years Japan」が政治的、社会的な事象をテーマに選んでいることについて、早川は「日本には映画の検閲はありません。出資者や製作会社が『この題材は難しい』と言って自主規制している気がします。この映画も苦労したと、プロデューサーから聞いています。ただ、この『十年』というプロジェクトはアジア全体、各国で同じように動き出している。そのことが大きな力になったと思います」と述懐。木下は「今までは、政治や社会というものに対峙してこそ公平に描き出せることができると信じていましたが、視点を変えて自分は政治や社会の一部だという概念を持ち、(その中に入り込んだうえで)感じることを考えて作りました」と語る。

また、藤村は「勉強が嫌いで、映画ばかり観てきました。その映画から多くのことを学びました。例えば『火垂るの墓』を観て、戦争は絶対にやってはいけないと学びました。映画は学校に行くのと同じくらい、いろんなことを教えてくれるものでした。今回のような政治的、社会的なことは、これからも撮っていきたいと思っています」と宣言。津野は「政治的背景はあったとしても、それぞれの作品は、この世界にいる人々を描いています。私はその国に住む、小さな人々をこれからも描いていきたいと思っています」、石川は「『十年 Ten Years Japan』がアグレッシブに政治的な映画だとは思っていません。香港の『十年』と比べるとそれは大きく違うし、それが今の僕たちのスタンスなのだと思います。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のような作品もありますし、3.11も政治的な題材にはなります。ただ、日本では自然と政治的な題材を避けている。忖度なのか、自主規制なのか……そう感じます」と述べた。

「十年 Ten Years Japan」は11月3日より、東京・テアトル新宿、大阪のシネ・リーブル梅田ほか全国にて順次公開。

(c)2018 “Ten Years Japan” Film Partners

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