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音楽アート集団 CHRONICLEが描く壮大な世界 物語/映像/音楽が影響し合う制作手法から解説

リアルサウンド

19/6/25(火) 18:00

 イラストレーター、サウンドクリエーター、シンガーの3人が集い、“物語/アート/音楽”を融合させた壮大な世界を描いていく音楽アート集団・CHRONICLE。彼らが配信デビュー曲「宇宙」を6月21日にリリースした。

 CHRONICLEは、住野よるの小説『君の膵臓をたべたい』の装丁イラストやTVアニメ『月がきれい』のキャラクター原案、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』、劇場版『名探偵コナン 紺青の拳』のイメージボードなどを担当する気鋭のイラストレーターloundrawと、アーティストへの楽曲提供でも知られるサウンドクリエイター・HIDEYA KOJIMA、正体不明のシンガー・T.B.Aの3人で結成。loundrawによる物語を原案に、CHRONICLEにまつわるビジュアル設計や歌詞をloundrawが、楽曲をHIDEYA KOJIMAが、ボーカルをT.B.Aがそれぞれ担当。「アニメーション映像の公開」と「音楽作品のリリース」を通して“物語”を表現していく。ここで重要なのは、彼らが普段の活動の延長ではなく、あくまでCHRONICLEとしての表現を追求していること。彼らが紡ぎだす物語自体『CHRONICLE』と名付けられており、その物語の行く末を、様々な表現方法を横断しながら人々へと伝えるプロジェクトと言えそうだ。

 また、メンバー内でアニメーション制作/音楽制作の基本的な要素を担えるCHRONICLEは、その楽曲制作においても独自の方法を取っている。まずはloundrawがプロジェクトの基盤となる物語を執筆し、それをもとに彼によるアニメーション制作とHIDEYA KOJIMAの楽曲制作が同時に進行。両者絵コンテと楽曲のラフ音源を完成させた後にloundrawが歌詞を書き、最後にT.B.Aが歌うという方法が取られているようだ。つまり、「音楽→映像」、もしくは「映像→音楽」という形で制作される通常の「映像×音楽」作品とは異なり、音楽と映像が互いに影響を与え合いながら物語が紡がれていく。

音楽から生まれる物語。”CHRONICLE”の始まりを告げる「宇宙」予告編アニメ映像

 6月7日にYouTubeで公開された「宇宙」予告編アニメ映像では、それぞれに喪失感を抱えた17歳の男女「柏木 一樹(かしわぎ いつき)」と「一ノ瀬 空(いちのせ そら)」とを主人公に、現代を舞台にした物語の断片が明かされている。その予告編のクライマックスで流れているのが、6月21日にリリースされた配信デビュー曲「宇宙」だ。

 デビュー曲「宇宙」は物語のテーマソングであり、“歌”に宿った在る力が過去、現在、未来を行き来する“CHRONICLE”の物語のなかで、「始まりとその先」を示す楽曲となっている。

 HIDEYA KOJIMAが作曲したこの楽曲は、ピアノの音色が印象的な序盤を経て、徐々にバンドアンサンブルが盛り上がり、サビでギターが広がるドラマチックなギターロック。と同時に、アレンジとして加えられているオーケストラはどこか映画音楽的でもあり、映像と合わさったときに最大の効果を発揮するものになっている。また、T.B.Aのボーカルは高校生を主人公にした物語の等身大の心情を表現するような雰囲気で、その歌声が物語にとって非常にリアルな魅力を引き出しているように思える。

 そして、loundrawによる歌詞は、「宇宙」予告編アニメの2人の台詞と密接にリンクしたものになっている。たとえば、非常に印象的なのは「何度 何度でも」という言葉が歌詞の中に繰り返し登場すること。この言葉が幾度もリフレインされることで、過去に挫折を経験している(であろう)空と一樹が前に進んでいく雰囲気が魅力的な形で表現されている。特に、楽曲においてその最後のリフレインとなる終盤のサビの〈何度 何度でも生きるよ/見上げた宇宙で/君を見つけるまで〉という歌詞は、「宇宙」予告編アニメのクライマックスで、2人が孤独や喪失感を交互に独白しながら「それでもこうしてどんなときも」「生きていたいと願うのは」「見届けてくれる誰かに」「必要としてくれる誰かに」「いつか、出会いたいからだ」と声を重ねた後に映し出される、満天の星空の風景と絶妙にリンクしている。映像から音楽が浮かび、音楽から映像が浮かぶ――。CHRONICLEの魅力が鮮明に伝わる瞬間になっている。

 また、「宇宙」予告編アニメでもうひとつ印象的なのは、中盤に登場する渋谷のスクランブル交差点の風景だろう。説明するまでもなく、日本屈指の交通量を誇るスクランブル交差点は、“様々な人が交錯する場所=いくつもの人生が交錯する場所”の象徴でもある。予告編を見ただけのため断定こそできないものの、その風景は、『CHRONICLE』の物語から想像できる「人と人の人生が交差する=出会う」ことの素晴らしさを、最も視覚的に象徴しているようにも感じられる。同時に、「CHRONICLE」という言葉は“物語”を意味する様々な単語の中でも「時間の経過を書き記す」というニュアンスが強く含まれるものが多いため、2人の過去や現在、そして未来がどんな風に繋がっていくのか――。と、他にも様々な想像を広げることができる。

 まだこの物語がどんな過程を経て、どんな結末に辿りつくのかはまったく分からない。とはいえ、心にどこか喪失感を抱えた2人の男女がそれでも未来へと進んでいく姿が描かれていくと思しき『CHRONICLE』の物語は、他人の人生が見えすぎてしまうからこそ悩みを抱える人も多い現代において、とても普遍的なテーマを描いたものと言えそうだ。映像や楽曲の中には、今後の物語に関する様々なヒントや伏線も隠されているとのこと。その本格的なスタート地点として、まずは「宇宙」予告編アニメ映像とデビュー曲「宇宙」をともに楽しんでいただきたい。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■配信情報
デビュー曲「宇宙」配信URL

CHRONICLE「宇宙」

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CHRONICLE「宇宙」予告編アニメ映像で登場する渋谷のロケーションを巡る、デジタルスタンプラリーを開催中。実際に渋谷の街を歩いてスタンプを集めたり、配信デビューシングル「宇宙」をiTunesで購入することで特典を受け取ることができる。
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