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『まんぷく』“理想の夫”は誰? 長谷川博己、大谷亮平、要潤ら三者三様の大人の魅力

リアルサウンド

18/12/25(火) 6:00

 NHK連続テレビ小説『まんぷく』は、何度失敗を重ねてもどん底から立ち上がり、「インスタントラーメン」を発明した夫婦の物語。逆境の中で本領を発揮する立花萬平(長谷川博己)と、彼をサポートする聡明な妻・福子(安藤サクラ)は、ピンチに陥るたび、互いの愛情を確かめ合ってきた。

参考:『まんぷく』第74話では、克子(松下奈緒)の香田家に財務局が乗り込んでくる

 萬平が濡れ衣や誤解、見せしめとして憲兵や進駐軍に逮捕されるような不安のまっただ中にいても、福子は彼を信じて前に進んでいく。2人も最初から理想の夫婦として結ばれていたわけではなく、萬平が窮地に立たされるたびに福子が行動して危機を乗り越え、絆を強固にしてきた。

 また、福子が萬平と知り合い、気位が高く心配性の母・鈴(松坂慶子)が強く反対しても、どうにか結婚まで漕ぎ着けたのは、周囲の人たちが味方になってくれたことが大きい。とくに、義理の兄たちは鈴の性格を知っているぶん、福子と萬平の幸せを願い、2人が結婚できるよう応援していた。

 三姉妹の末っ子として大阪に生まれた福子は、2人の姉・咲(内田有紀)、克子(松下奈緒)の愛情を受けて育ったため、楽天家でおおらかな性格。姉たちの結婚生活を垣間みて、結婚に憧れ、その影響も少なからず受けてきた。結核で亡くなった長女・咲の夫、小野塚真一(大谷亮平)は、落ち着いた紳士。優しく献身的に咲を支えていた彼は、仕事面でも「たちばな栄養食品」になくてはらない存在となった。

 一方、次女・克子の夫、忠彦(要潤)は、芸術へのこだわりが強い画家で、「売れたい」だとか、「儲けたい」ということは考えていない様子。実家の援助があるとはいえ、克子が画家として彼を認め、貧乏をさほど恐れていないため、金銭面で揉めていることはなさそうだ。忠彦は普段あまり感情を表すことはないが、言葉の端々に家族への愛情が感じられる。

 三姉妹が選んだ夫たち、3人それぞれに大人の男として魅力があり、個性的だ。三姉妹の母である鈴への対応も見事で、多くの女性の癒しとなっている。正統派の真一、芸術家の忠彦、そして実業家であり発明家の萬平。果たして、3人のうち、誰が一番“理想の夫”といえるだろうか。

 夫となると、好みだけの問題ではなく、長い目で見て総合的に判断したうえで一緒にいたいと思えることが重要だろう。時代や状況によって理想の夫像も変化するが、人生で最高のパートナーと苦難を乗り越えて成功するには何が必要なのか、この作品の中から答えを見つけることができそうだ。

 今のところ、理想の夫として考えるなら、真一を推す声が一番大きい。大手商社勤務から「たちばな栄養食品」の経理、営業を任される能力、そして仕事は出来るが温和で穏やかな性格の持ち主であり、欠点を探すことの方が難しい。世良(桐谷健太)と「たちばな栄養食品」が作る「ダネイホン」の偽物を販売した会社に抗議(脅し)に行ったときもスーツを完璧に着こなしながら、腰が引けているギャップに萌える視聴者が続出した。真一は癒し系の一面としても、この物語を支えている。

 また、婿という観点から、鈴目線で捉えても、3人のうちで一番安定していて、安心して娘を任せられるのも真一ではないだろうか。売れない絵ばかり描いている婿、発明家で逮捕されがちな婿はどう考えても不利だ。

 福子の夫・萬平は実業家として「世の中の役に立つ仕事がしたい」という理想に燃えている。「あんなに心のきれいな、まっすぐな人はいません」と福子が断言するほど、お金に執着がないどころか、頓着しない。戦後の何もないところから新しいものを生み出す萬平の才能、そして純粋でまじめな性格は魅力的ではあるが、仕事に没頭するあまり周りが見えなくなることもある。彼のアイデアを形にして最大限生かすためには、集中できる環境とサポートがどうしても必要になってくる。

 福子は、「萬平さんにしか作れないものがある」と成功を疑わないが、彼はまだ志半ば。今後、大きな進化を遂げるのは間違いなく、福子のような未来志向の女性には最高の相手ともいえる。一緒に成長していける高揚感、達成感もあり、変化を恐れないメンタルの強い相手とは相性も良いはず。萬平は理想の夫に進化しつつある、可能性を秘めた理想の夫といえる。

 しかし、真一、萬平よりも、筆者は忠彦を“理想の夫”に推したい。戦争からの帰還後、画風が変わったことにより売上も立てるようになったという点もあるが、何より妻・子どもたちへの溢れんばかりの愛が滲み出ているからだ。鈴が家出をした際には、彼女を画に描くことでその心を解きほぐした。画家であるだけに観察眼が鋭く、福子や萬平に伝えるさりげない言葉には、核心をつくことも多い。成長した娘のタカ(岸井ゆきの)と神部(瀬戸康史)の仲が気になり、親バカモード全開になるところも微笑ましい。

 忠彦の妻、克子は三姉妹のうちで一番しっかり者で、ちゃっかりしていて、はっきり物を言うタイプ。そんな克子が子育てのことで愚痴をこぼさず、商売下手の画家である夫の金銭感覚に不満を言わないところにその答えがある。忠彦は、日常の些細な不満や不安を吹き飛ばすほど、理想的な夫だということだ。(池沢奈々見)

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