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ぴあ

第17回AAF戯曲賞受賞記念公演「シティIII」稽古場より。左から捩子ぴじん、西尾佳織、清水穂奈美。(撮影:前谷開)

捩子ぴじん演出、AAF戯曲賞受賞記念公演「シティIII」こだわりながら稽古中

ナタリー

18/10/4(木) 11:00

10月に愛知・愛知県芸術劇場 小ホールにて、第17回AAF戯曲賞受賞記念公演「シティIII」が上演される。ステージナタリーでは、9月下旬に京都・京都芸術センターで行われた稽古の様子をレポートする。

AAF戯曲賞は「戯曲とは何か?」をテーマに、“上演を前提とした戯曲”を募る愛知県芸術劇場の恒例企画。昨年2017年に同賞の大賞を受賞したカゲヤマ気象台による「シティIII」では、文明が一度滅び、再興したはるか未来の荒野にある小さな町を舞台に、泥棒や旅芸人、爆弾屋、占い師といった人々が描かれる。今回の受賞記念公演では振付家・ダンサーの捩子ぴじんが演劇作品の演出に初挑戦する。

本作の稽古は8月下旬から9月上旬まで愛知県芸術劇場で実施され、少し間を置いてから、捩子が活動拠点としている京都で本格的にスタート。取材当日は京都での稽古2日目で、キャストはすでに台本を手離し、立ち稽古を行っていた。

捩子は「戯曲に書かれているカゲヤマさんの言葉をすべて真に受けてみたい。こだわりながらジリジリ進めていきます」と俳優に語りかけ、稽古はまず清水穂奈美が演じる爆弾屋・さいとうのモノローグの場面から開始された。捩子は「抽象的なものが具象化して、形作られていくことが、セリフの上だけでなく身体でもできないかな?」と清水に投げかける。清水はそれに呼応するように、じっくりと試すように身体を動かし、徐々に空間を広く使って発話する。捩子は時折、自分でも身体を動かしつつ動きの可能性を探った。

捩子はまた「この人はなんの脈絡もなく、なぜ急に爆弾の話を始めるんだろう?」と問いかける。それに対して清水や稽古場にいた舞台美術の佐々木文美は自身の意見を話し、捩子はそれに耳を傾けた。同じ場面を反復する中で、捩子は「職人が自分の仕事場で道具を触りながら仕事の話をしてるような画が浮かびました」と腑に落ちた様子で清水にイメージを伝えた。

続いては清水演じるさいとうと、西尾佳織が演じる占い師・るうしーの掛け合いが繰り広げられる場面。捩子は「セリフだけでやってみよう」と、一旦、小道具を手放して対話するよう促し、「お互い向き合っていない感じで」「曖昧に、無責任に」「間を空けて」と、セリフの音を1つずつ確かめるように指示を出す。それが何度か繰り返されたのち、今度は戯曲に立ち返り、捩子とキャスト2人が円になってテキストの読み合わせを始めた。捩子は「漫才のようなテンポで」「言葉尻を意識して」「少し粘った感じで」「歌ってみるように」とセリフのテンポや変化に注意して耳を澄ませつつ、自身も手でリズムを刻み、最終的には「喜ばしくセリフが出てきた」と合点がいった表情を浮かべた。

再び小道具を持った状態での立ち稽古に戻ると、自身も劇作家・演出家である西尾が「このシーンで何を達成したいか?が明確になると、それを目指してテンポや形を選んでいけそう」と演技の方向性について捩子に意見を述べる。するとすぐさまディスカッションが開始され、作品について、より具体的なイメージの共有がなされた。そのあとも捩子と俳優陣は舞台上の“時間の使い方”を丁寧に深めていった。

第17回AAF戯曲賞受賞記念公演「シティIII」は10月26日から28日まで愛知県芸術劇場 小ホールで上演。なお10月27日14:00開演回の終演後には、作品の感想を観客同士で話す「シアターミーティング“『シティIII』を語ろう”」、28日16:00からは、批評家・佐々木敦による「鑑賞&レビュー講座」が実施される。

第17回AAF戯曲賞受賞記念公演「シティIII」

2018年10月26日(金)~28日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 小ホール

作:カゲヤマ気象台
演出:捩子ぴじん
出演:佐久間新、清水穂奈美、西尾佳織、増田美佳、松井壮大

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