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DEZERT、DADAROMA、DEVILOOF……“Dの称号”受け継ぐヴィジュアル系メタルバンド

リアルサウンド

19/7/2(火) 13:00

 D。それはヴィジュアル系で特別な価値を持つアルファベットだ。古今東西、多くのバンドが登場し、シーンに強い影響を与えてきた。

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 メタルに限ってみても、それは顕著だ。

 たとえばDEAD END。80年代のジャパメタシーンに属しながらも、独自の価値観を作りあげ、のちのヴィジュアル系の原点となった重要なバンドだ。90年代後期に現れたDIR EN GREYは、00年代前半のシーンにニューメタル化を引き起こした。その後もメタルコアやプログレッシブメタルなどを取り込み、いまなお後続に多大な影響を与えている。00年代後期に始動したDELUHIも忘れてはならない。3年間という短い活動期間ながら、キャッチーな曲の中でテクニカルな演奏を展開し、ヴィジュアル系メタルバンドを志す者たちの憧れとなった。

 このように、時代の節目に“Dの称号”を持つバンドが現れ、ヴィジュアル系メタルという分野に大きな爪痕を残してきた。そこで今回は、2010年代に結成された“Dの称号”を受け継ぐヴィジュアル系メタルバンドを紹介する。

■DEZERT
 2011年に結成され、今や現行シーンを代表するDEZERT。活動当初は、ニューメタル的重低音と湿ったメロディ、グロテスクな歌詞といった00年代初頭を思わせる音楽性はもちろん、傍若無人とも言える活動姿勢も話題だった。D’ERLANGERら先輩バンドとの交流が深まった理由には、そうした姿勢も関係していたようだ。2016年発表の『「最高の食卓」』は、そんなバンドの性質が音楽性と強く結びついた傑作になっている。

 2018年、大手レーベル<MAVERICK>へ移籍しての『TODAY』では作風が一転。もともと持つメロディの良さを活かす曲に、より伝わりやすい歌詞が乗った作品となった。彼らは、7年間の活動で意識が変わり、遊びの延長ではなく人生としてバンドを考えたと語っている。彼らが“沼”と例えるシーンから“大海”へと泳ぎ出るための行動の結果が『TODAY』であり、それを届けるための<MAVERICK>への移籍だったと考えられる。

 2019年8月に出演予定の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』はいわば“沼”の外だが、果たしてどのようなライブになり、どのような共振が起きるのだろうか。

■DADAROMA
 “狂ったピエロ”のようなよしあつ(Vo)、異世界の亜人を思わせる太嘉志(Gt)、獣王のごとき咆哮を挙げる諒平(Dr)、そして“怪人”朋(Ba)からなるDADAROMA。奇術師集団ともいうべき強烈な見た目から繰り出されるのは、ニューメタル、メロデス、エレクトロメタルコア、あるいはデスコア……00年代から10年代のメタルを自在に横断する曲たちだ。そして、ワルツやシャッフル、シンセアレンジを巧みに駆使して、その幅広いサウンドをヴィジュアルイメージと接続している。

 ヴィジュアル系の「なんでもあり」な部分をメタルというフィールドで存分に引き出しながら、ヴィジュアル面との相互作用で統一イメージを保つ彼らは、ヴィジュアル系メタルの1つの理想形といえる。

■DEVILOOF
 DEZERTやDADAROMAは幅広さの中に“らしさ”を醸すバンドだった。一方で、デスコア/デスメタルを追及する中で幅広さを取り入れているのがDEVILOOFだ。

 『PURGE』で歌メロなしのサウンドを追及した彼らは、2017年『Devil’s Proof』、そして2019年『鬼』で音楽性を拡張。サウンドはさらに激化しつつ、ラップやドライブ感のあるリズム、叙情的なメロディを取り入れ、ヴィジュアル系デスコアを洗練させた。その独自性から海外の人気も高く、CDJapanのチャートで5位を記録している。

 アートワークをブルータルデスメタル界で有名な江川敏弘に依頼している点も、デスコア/デスメタルという方向性への本気度が伺える。今後も、音楽とヴィジュアル両方の面で、ヴィジュアル系デスコアを進化させていくだろう。

■DIMLIM
 DEVILOOFとデスコアのように、ジェントというジャンルと縁深いのがDIMLIMだ。元D.I.D.の壱世(Dr)、元DEVILOOFの竜弥(Gt)らによって始動した、まさに“Dの申し子”の彼ら。2018年の『CHEDOARA』は、アンビエント/ノイズの冷えた質感やマスロックの知性あるエモーションを、デスコア~ジェントの重さと構築美に取り入れた名作だった。次に発表された「離人」での、ときにフュージョンを彷彿させるギタープレイは、一部でフュージョン化が囁かれるジェント/テックメタルシーンに対するヴィジュアル系からの解答とも取れる。

 ジェント/テックメタルとの接近は、abstractsらを招聘した主催公演からも感じ取れる。遠くて近い“沼”を引き込んだ彼ら。abstractsのLin(Gt)が加入したNOCTURNAL BLOODLUSTが「Thank You」でジェントサウンドに近づいたこともあわせて、どんな流れが生まれるのか注視したい。

■DEXCORE
 音だけでなくパフォーマンスもヴィジュアル系では重要だが、その点で注目したいのが、DEATHGAZEの元ドラマー・直樹が在籍するバンド・DEXCOREだ。

 美しさと重さを、楽器隊の実力とボーカリスト架神の存在感で自在に行き来する音楽性はもちろん、特筆すべきはそのムーヴ。縦ハネ、足踏み、ガニマタ……これにはクラブコアの雄、Attack Attack!の遺伝子を感じる。ヴィジュアル系のパフォーマンスにクラブコアの血を混ざることで、シーンの“美意識”に変動がもたらされるに違いない。

■DOBE
 同じヴィジュアル系メタルでも、“美意識”によって全く異なるバンドが生まれる。その点で注目したいのが、2018年に始動したDOBEだ。いわゆる“10年代”の音楽性だが、衣装やアレンジのセンスに90年代的なゴシック感とブラックメタル的なカルト感があり、独自の佇まいをしている。技術的に洗練されてない面はあるが、それも彼らの生々しい魅力につながってる。

 このように、10年代に登場した“Dの称号”を受け継ぐバンドたちは、それぞれのやり方でヴィジュアル系メタルを更新してきた。20年代に時代が移る中で、どんなバンドが生まれるのだろうか。期待して待とう。(エド)

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