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池田エライザは“硬軟自在な被写体”? 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で示したカリスマ性

リアルサウンド

18/9/10(月) 6:00

 大ヒットした韓国映画のリメイク情報が発表されてからというもの、かなり多くの注目を集めていた『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で、池田エライザが女優としてさらにステップアップしている印象だ。演じ手としてのキャリア、そしてモデル出身者である抜群のプロポーションを武器に、唯一無二の存在感を示しているのだ。

 物語の舞台は90年代の日本。茶髪にルーズソックスが大きな特徴の、“コギャル文化”が賑やかな時代をメインに据えている。本作で池田が演じるのは、コギャルの1人の奈々というキャラクター。主人公・阿部奈美(広瀬すず)たちの所属する仲良しグループ「SUNNY」の中で、大人びたルックスにクールな物言いの1人だけ垢抜けている人物だ。演じる池田同様に奈々はモデル活動もやっており、いわば“イケてる”、皆のカリスマ的な存在なのだ。

【写真】「SUNNY」のメンバー

 思えば、10代前半よりモデル活動をやってきた池田は、この奈々と重なるところが多いように思える。彼女もまた女子中高生を中心に圧倒的な支持を集め、SNSに投稿する写真への評価の高さからは“自撮りの神”とも呼ばれ、考案したポーズは大流行。“エライザポーズ”として、大きな反響を呼ぶなどしてきた。

 本作は、現在の阿部奈美(篠原涼子)が過去(90年代)を振り返るかたちで、現在と過去とが並行して描かれていく。長い手足に大きなタレ目、どこか眠たそうな声が特徴的な池田だが、これが奈々というキャラクターのつんけんした佇まいに絶妙にハマっている。彼女のまなざしは“田舎モノ”の主人公を蔑んでいるように見えるし、その声の響きには、「口をきくのも面倒くさい」といった印象を受ける。ところが主人公と心を通わせるようになってからは、まなざしにも声にも、そのすべてに優しさが湛えられている。

 もちろんこれらは、池田の演じるという行為が表現しているものではあるはずだが、それ以上に彼女は、物語の設定やキャラクターの組み合わせ、あるいはシーンの前後の文脈に合わせて、演じる人物の手触りがガラリと変わってくる。彼女の演技者として持つ素材の一つひとつが、その状況に柔軟に反映されているように思えるのだ。彼女の持つ素材は特徴的で、いずれも強く印象に残るものだが、それらが特定のイメージに固定されてしまうことなく、つねに状況に合わせて観客に与える印象が変わっていくのである。控えめな出で立ちだからこそどんな役にも染まることができるというタイプの俳優もいるのだろうが、彼女の場合はその逆に思える。個性が活きた、“硬軟自在な被写体”とでも呼びたいところである。

 そんな池田は映画『高校デビュー』(2011)で女優デビューを果たし、2015年公開の『映画 みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢されると、女優業の活動の幅を徐々に拡げてきた。昨年は『一礼して、キス』で映画初主演を務め、今年は、テレビ版と連動して劇場版も公開された『伊藤くん A to E』や『チェリーボーイズ』などで異性へのアプローチが奔放な人物を演じ、大人びた魅力を放った。

 さらに、『となりの怪物くん』では人気俳優陣のオールスター戦の中でも一際強い存在感を示し、主演映画第2作目『ルームロンダリング』ではゆるいオフビート的展開に見事に溶け込み、ベテラン俳優勢とともに独特の世界観を構築している。

 池田の活躍を追っているものならば、彼女が女優として着実にキャリアを重ねているのは明らかだろう。しかし、彼女の姿を意識的に追わずとも、そのアクティブな活躍は誰もが日常的に目の当たりにしているのではないだろうか。

 池田は現在22歳。いまだ女子高生を演じもすれば、大人の女性をも演じきる。ネタバレになるのであまり触れないが、今作『SUNNY』での先輩女優たちとの“張り合い”は、その証明ともなるだろう。

(折田侑駿)

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