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Mrs. GREEN APPLE、キャッチーなだけではない魅力 全曲に通ずる“寂しさ”に注目

リアルサウンド

18/8/18(土) 10:00

 いまやティーンのみならず、世間一般においても着実に“キャッチーなポップバンド”として存在を浸透させつつあるMrs. GREEN APPLE。昨今では、ジャズやビッグバンドスタイル、EDMといったジャンルに捉われないエンターテインメント性をフィーチャーすることで、曲調の振り幅も大きいバンドに成長した。

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 Mrs. GREEN APPLEは作詞・作曲・編曲全てを手掛ける大森元貴(Vo/Gt)含む5名により2013年に結成され、2015年7月8日に『Variety』でメジャーデビューを果たし、今年でメジャーデビュー3年目を迎えたばかり。2018年8月30日にリリースした5thシングル『WanteD! WanteD!』表題曲はフジテレビ系ドラマ『僕たちがやりました』のオープニング曲に起用され、瞬く間に知名度を広げることとなった。その後の楽曲作りにおいては「WanteD! WanteD!」の延長線上にあるようなテイストだけではなく、あえて様々なバンドサウンドを奏でることで、揺るがない人気を博している。

 そんな彼らの作品における魅力は、キャッチーで明るい楽曲だけではなく、“寂しさ”も描いているところにあるように思う。そこで本稿では、“キャッチーなポップバンド”だけではないMrs.GREEN APPLEの楽曲の魅力について改めて考えていきたい。

 直近では8月1日公開の映画『青夏 きみに恋した30日』の主題歌、挿入歌として同日リリースの7thシングル『青と夏』の表題曲とカップリング曲であるバラードナンバー「点描の唄(feat.井上苑子)」が起用されたMrs.GREEN APPLE。どちらも映画に合わせて書き下ろされた楽曲であり、主題歌の「青と夏」について、大森は「この曲は人間味溢れる曲だし、ただハッピーなだけではなく寂しかったりする部分も描いているので、人間らしい部分にフォーカスしたいと思った」とコメントしている。

 “キャッチーなポップバンド”として彼らを燦然と輝かせるのは、ポップとは相対する“寂しさ”をテーマにした楽曲が寄与する部分が大きい。個人的に“寂しさ”が顕著に表れている楽曲だと思うのは「Hug」「私」「L.P」だ。「Hug」のAメロは、〈寂しくなった〉という率直な7文字の言葉で始まる。また、「私」は“私”が“貴方”なしでは生きられない、という“貴方”を想う繊細な感情を表現している。「L.P」では、度が過ぎると歪んだ形にもなりかねない愛を、愛してほしい側の気持ちになって歌うのだが、最後には報われない主人公の運命を畳みかけるようなフレーズが積み重なり、メッセージ性の強い楽曲となっている。大森は“陽”を表現するには、対となる“陰”も必要だと語っており(参考:Mrs. GREEN APPLEの挑戦。“陽”という感情をどこまで潜って表現できるのか?/M-ON!MUSIC)、寂しさのことを歌いながらも、「それが『人懐っこさ』に繋がっている」と発言していた(参考:大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)にとっての「至福なオフ」ー休みの日になに聴いてる?/KKBOX)。これら3曲においても、歌詞に”陰”の表現を使い、奥行きを持たせることで、楽曲を味のあるものとしているのだ。

 一方「日々と君」「愛情と矛先」のような楽曲では、救われようのない気持ちを抱えた人が救いを求め、救ってくれる人が現れるまでが描かれている。主人公と同じく“救われたい”という気持ちを抱えるリスナーは、これらの楽曲を聴くことで一瞬救われるような気持ちになるだろう。また、「鯨の唄」では決して人は一人ではない、〈誰かがきっと見ているから〉と主人公に希望を与える。この3曲は救う/救われるのどちら側にも立った視点から歌詞が交互に綴られていることで共通している。

 そして、ある人を励ますような言葉が並ぶ「光のうた」。大森が中学3年時に作った楽曲ということだが、〈辛くなってもいいの/そのまま歩けばいいの〉というサビからもわかるように、全てを俯瞰しているような歌詞が綴られており、楽曲が完成した時点の年齢を考えると大森の底知れない懐の深さが窺える。

 こうした楽曲以外にも、実は代表曲である「Speaking」「StaRt」などにも“寂しさ”が散りばめられている。例えば「Speaking」の主人公は“寂しさ”を抱えている内気な人物。「StaRt」に関しても、サビに〈独りじゃないと否定出来るように僕は探すんだ 〉といったフレーズがあるように、主人公はあくまで独り=寂しいと感じている人物だ。どちらの楽曲にも、主人公の“寂しさ”が読み取れる。また、一見シニカルな楽曲も元を正せば、他人と自分を比較してしまう己の弱さという“寂しさ”から生まれたものであるといえる。楽曲に“寂しさ”が含まれることで哀愁が漂い、より奥深いメッセージを届けるものになっているのだろう。

 大森は中学時代から世の中の動きには人より敏感で、人と人とのやり取りが機械的になっていく世の中に違和感を覚え、とても寂しい思いをしていたという。そんな寂しさを身を持って経験しているからこそ、大森の楽曲にもそれが自然と表れているのだろう。大森は「寂しさのことを歌ってるのは全曲に共通してる」と語っており、作品の一貫したテーマが恋愛や友情ではなく“寂しさ”であることは実に興味深い。Mr.s GREEN APPLEは今後も寂しさを歌うことで、多くのリスナーの共感を呼ぶ“人懐っこい”音楽を生み出していくだろう。(小町碧音)

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