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山田裕貴が語る、雪次郎とのシンクロ率 『なつぞら』脚本・大森寿美男に「不思議な力を感じます」

リアルサウンド

19/6/28(金) 6:00

 ヒロイン・なつ(広瀬すず)と共に上京を果たした幼馴染の雪次郎(山田裕貴)。元はと言えば菓子屋「雪月」の跡取りとして、父・小畑雪之助(安田顕)と同じように修行に励むため東京に訪れたはずだったが、今は演劇に没頭。「役者になるため川村屋を辞める」と言い出すほど、雪次郎の決心は固い。

 雪次郎を演じるのは、『なつぞら』(NHK総合)で朝ドラに初出演となる山田裕貴。山田が今回、雪次郎という役柄にどのように向き合っているのか、じっくりと話を聞いた。(編集部)

【写真】山田裕貴&吉沢亮撮り下ろし2ショット

■「『俳優になりたい』というセリフには思いが乗る」

ーー雪次郎という役柄をどう捉えていますか?

山田裕貴(以下、山田):気持ちの良い北海道で育って、戦後にお菓子屋をやっていて、一人息子で、愛されていて……となれば、どういう人間になっていくかなっていうところから考えました。あとは吉沢亮くんや清原翔くんとは共演したことがあって、作ってくるであろうキャラクターが予想できたので、そこから外れる男の子になればいいなと。この時代、もっとガツガツしてなきゃいけないのに、生きていることに“ほんわかしている子”でいられたらいいかなって。後々の雪次郎の行動は、愛される人じゃないと見ている人も許せなくなっていくと思うんですよ。だから、最初にそのキャラクターを思いついてよかったです(笑)。

ーー雪次郎は役者を目指すということで、ご自身と重なる部分がありそうです。

山田:僕は、まず一番にこの仕事が好きで、これしかやれることがないと思っていました。自分が無個性でつまらない人間だなと思っていたから、違う人になりたいという欲求がすごくて。俳優は天職だと思っているので、「俳優になりたい」っていう雪次郎のセリフには思いが乗るというか、雪次郎であって、僕であって……と重なる部分が多かったです。僕は父親が元プロ野球選手ですが、父に言われたわけではなく自分から野球をやっていたので(雪次郎が菓子職人を辞めたいと伝えた場面が)「僕、野球辞めたい」と言った時に似ているなと。大森(寿美男)さんが当て書いてくれているのかなと思いました。

 雪次郎が大切にしている俳優像とかお芝居をする人の感覚についてのセリフも、ほぼ僕が思っていることと一緒なんです。俳優って特別扱いされがちだけど、スターであってはならない。その作品に溶け込んで、普通の人を生きるっていう。まさに僕はそこを目指しているので、シンクロ率はかなり高いです。台本をもらうたびに、大森さんは僕のインタビューをめちゃくちゃ読んでくれてるんじゃないかなって思うぐらい(笑)。

ーーその思いは、大森さんには伝えましたか?

山田:いえ。だから、こういうインタビューで頑張って伝えようとしています(笑)。打ち上げで会えた時に最大の感謝の意を述べようと思っていますけど、会っていないのにそれがずっと続いているので、不思議な力を感じます。

■「3人とも愛の深い方」

ーー雪次郎として、父親である雪之助(安田顕)の気持ちについてはどう思われますか?

山田:厳しさの中に愛情を感じます。たとえば(菓子職人を)辞めたいと言った時、謝って「コイツの気持ちが変わるまで、一緒に働く」っていうのはすごいこと。僕でもそうするかなって思ったけど、なかなかその選択肢は出てこないよなって。叱るわけではなく、何も言わずに見守る。僕の父もそういう人だったので、(胸元で手をワシャワシャと動かしながら)「も~う、やめてくれ」って感じですよね。心がザワつくっていうか。だから、不思議とヤスケンさんといる時、父といるような感覚がしてちょっと緊張するんですよ(笑)。

 一方の母親(小畑妙子/仙道敦子)は「母ちゃんには謝らなくていいから」っていう優しさの愛。ばあちゃん(小畑とよ/高畑淳子)は、俯瞰して見ている愛情。三者三様の愛をビシビシ感じて、雪次郎は自分の(演劇を)やりたいっていう思いを伝えなきゃいけないと決めていくんだろうなと感じました。

ーー小畑家のシーンは、大好評ですね。

山田:おもしろいですよね(笑)。とにかく好きです、本当に好きです。3人とも愛の深い方だし、すごく優しく見守ってくれて、テストやリハでは「好きなようにやりなさい」と。雪次郎にかき乱されて家族の気持ちが動いていくシーンが多いので、僕が相手のためにあるお芝居をして、キャッチボールできれば良いシーンができるんじゃないかなと思いながらやっていました。

ーー自分がやりたいことと、期待されていることの違いがあることへのジレンマについてはどう思いますか?

山田:雪次郎の場合、一人息子で逃げ場がないんですね。でも、きっと好きなことをやれない人たちの方が多いと思うんです。生きていかなきゃいけないから、仕方ないって思ってしまう。雪次郎には、それを振り切る強さみたいなものを最初からすごく感じましたし、僕的には「よく言ったな」と。一回きりの人生だから、やりたいことをやらないのは僕の中でもったいない気がしていて。僕もやりたいことをやらせてもらっている以上、死ぬ気でやらなきゃいけないと思っています。

■「悔しくもなりました」

ーー山田さんは初めての朝ドラ出演ですが、影響力を感じますか?

山田:(机いっぱいに並んだボイスレコーダーを指さしつつ)まさに、これじゃないですか(笑)。 こんなに話を聞いてもらえるんだって思いましたね。でも、(他の作品でも)同じ熱量で頑張っているので、悔しくもなりました。世間に知れ渡ることで、自分の伝えたいことが間違って伝わっていくことも増えていくんだろうなと悲しくもありますが、たくさんの人に見てもらえる俳優になりたいっていうのはもちろん思っていることなので、すごく嬉しくもありますね(笑)。

ーー街を歩いていて、声をかけられることも増えそうです。

山田:「朝ドラ観てますよ」と、おじいさん、おばあさんとかに言われるようになりましたけど、名前を覚えてもらっているわけじゃないんだろうなっていう(笑)。役者として、役が知れ渡っているというのは一番いいことなんですよ。カメレオン俳優じゃなくて、カメレオンのままなんだろうなって(笑)。でも、僕が一番影響を受けた俳優さんがゲイリー・オールドマンさんで、エンドロールを見るまで彼だと気付かなかった作品もあって。僕もそうなれればいいなと思うので、“悲しいな・寂しいな”と“嬉しいな”が、半分半分ぐらいです(笑)。

ーー撮影は連ドラとの同時進行で、お忙しかったのではないでしょうか。

山田:実は3~4月ぐらいは、4作くらいやっていて(笑)。頭がゴチャゴチャだから、本番に命をかけていました。感じたものをそのままやるって言うのが、スリリングで楽しかったです。本番前に、設定に見落としがないかいろいろと考えて、本番が始まったらスッと切り替える力がすごく鍛えられました。感じたままに動くと“こう動くんだ”って見ている自分もいて、おもしろいなと。そのおもしろみがなかったら、イヤになっちゃってたでしょうね(笑)。この期間を乗り越えたら強くなるし、余裕が出てくるんじゃないかなという感覚でした。なっちゃん(奥原なつ/広瀬すず)にも「大丈夫?」と言われて、朝ドラのヒロインに心配されてたらダメだなって(笑)。

ーー(笑)。ちなみに雪次郎は菓子屋の息子ですが、ご自身はスイーツ好きですか?

山田:僕は和菓子が好きで羊羹をこうやって(丸かじりのジェスチャー)食べたりします。生クリームが食わず嫌いで、ショートケーキは苦手なんですよね。やっぱり名古屋出身っていうのもあるのか、小倉マーガリンみたいなのがすごく好きで。これから、そういうお菓子も出てくるんですよ。だから大森さん、どんだけ俺のこと好きなんだろうって(笑)。ありがたいです、本当に。

(nakamura omame)

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