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乃木坂46 桜井玲香、9月卒業へ 7年間グループを支え続けた“優しく寄り添うキャプテン”の姿

リアルサウンド

19/7/9(火) 16:00

 幼小中高一貫の女子校に通う“お嬢様”だった桜井玲香は、アイドルには興味がなかったが、「ソニー・ミュージックエンタテインメントのアーティストが好き」という理由でオーディションを受け、2011年8月21日、乃木坂46に合格する。

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 歌とダンスの実力には定評があり、2ndシングル曲「おいでシャンプー」でフロントメンバーに選ばれるなど、初期から乃木坂46の中心メンバーとして活躍。2012年6月17日放送の『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京系/現:『乃木坂工事中』)での3rdシングル選抜発表において、正式にキャプテンに就任する。

 当時、アイドルグループのリーダーといえばAKB48の高橋みなみのイメージが強かった。高橋の「熱い言葉でメンバーを引っ張っていく」ことが一般的なリーダー像だとすると、桜井のキャプテンとしてのあり方は異質だったのかもしれない。

 桜井はキャプテンとして「みんなの前に出るんじゃなくて、一歩下がって支えたい」(乃木坂46写真集『乃木坂派』)と公言してきた。

 グループをまとめることよりも、ともに同じ歩幅で歩くことを選んだ桜井。誰かが傷つけばそっと優しく寄り添う彼女の姿勢は、少しずつ乃木坂46に浸透していく。それは、メンバーを常に見ているから可能なことだった。

 生駒里奈は「玲香以上に冷静に乃木坂46を見て分析できているメンバーっていないと思う」(『月刊エンタメ』2014年6月号)と評している。その生駒がAKB48との兼任を決めた時にメールを送り、「兼任しても大丈夫なんだ」と勇気づけたのも桜井だった。

 2016年頃には“パリピキャラ”が生まれ、桜井はやたら高いテンションでメンバーを笑わせた。これもグループを想っての行動だった。

「私は『グループをまとめる』というより、『グループの空気感を作る』ことに自然と頭がいって、そのほうが重要な仕事なんじゃないかと思うようになったんです。言ってくれる子は他にいますから。ライブのMCでも最初と最後に話す機会が多いので、私がローで入るとグループ全体がローになってしまうけど、私がハイテンションでいけばみんなのテンションも上がると思うんです。そんなことに気がついてから、私が明るく楽しくしてグループ全体の空気感を良くすることを心がけるようになったんです」(『OVERTURE No.010』)

 その一方で、「個人としての桜井玲香」と「キャプテンとしての桜井玲香」の狭間で思い悩むこともあったという。

「自分自身の意見とキャプテンとしての意見が違う時もあって。その時、自分がどちらを取るか。問題が大きければ大きいほど、分からなくなる」「『キャプテン』はスタッフ側とメンバー側の両方を取り入れた意見を持ってるから、ある意味、冷静に見なきゃいけない。だから、自分のことを『心がないな』と思ってしまう瞬間もあるんです」(『OVERTURE No.010』)

 こうした葛藤を乗り越えて桜井のキャプテンシーが発揮されたのが、2017年11月8日に行われた東京ドーム公演2日目のWアンコールだ。

 最初は確実に盛り上がる「ロマンティックいか焼き」がWアンコールの有力な候補だったが、「このライブで卒業する伊藤万理華と中元日芽香にスポットを当てたい」「この曲で締めたほうが乃木坂46というグループを印象づけることができるんじゃないか」という想いから、桜井が自らスタッフに提案して急遽「きっかけ」を歌うことに決まった。

 こうして乃木坂46史上屈指の名シーンが生まれたのだ。

 また、桜井は乃木坂46で演技の才能を開花させ、多くの舞台で活躍している。2014年10月の『Mr. カミナリ』からはじまり、2019年2月の『レベッカ』まで7本の舞台に出演。今年8月には『THE BANK ROBBERY!~ダイヤモンド強奪大作戦~』、11月にはミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が控えている。

 しかし、桜井は最初から舞台が好きというわけではなかった。乃木坂46に入るまで舞台を観たことがなく、ミュージカルには苦手意識さえあったという。

 2015年10月の『すべての犬は天国へ行く』で「舞台が楽しい」と思えるようになり、同年11月のミュージカル『リボンの騎士』で「私は歌とダンスが好きなんだ」と改めて気づかされる。舞台での経験が彼女を強い女性に成長させた。

「グループで活動していると、身内もそうだし、番組スタッフや取材していただく方も顔見知りばかりになるんです。そういった環境だと自分を出しやすくなる反面、ラクをしてしまうことになるのかなって。グループを飛び出した舞台の現場で、初めて会う方々と交流した時に得たモノが多かったんです」(『日経エンタテインメント』2019年2月号)

 桜井は女優としての夢を語るようになっていった。

 2019年7月8日、桜井玲香が乃木坂46からの卒業を発表した。公式ブログには「ここ数年、卒業していくメンバーが増え、色々なフィールドで奮闘する姿を見て、自分もそろそろ乃木坂46のその先に続く新たな道標をつくる立場にまわるべきだと思うようになりました」と綴られていた。

 「冷静に乃木坂46を見て分析できている」桜井のことだから、後輩たちの成長に「乃木坂46を任せても大丈夫」という確信があっての決断なのだろう。桜井の卒業発表を受けて、すでにグループを卒業している生駒里奈はInstagramに「貴方の背中こそ乃木坂46だよ」と投稿した。

 “アイドル”桜井玲香にとって最後のステージは乃木坂46にとって聖地である明治神宮野球場だ。

 2015年8月30日&31日に神宮球場で行われたライブでは、30日のオープニング映像が桜井バージョンになっていた。「ウチのキャプテンは優しく見守ってくれる人」「みんなの心を優しくほぐして一緒に向かってくれる人」「それが玲香のやり方で、乃木坂のやり方」という生駒のナレーションとともに、メンバーを抱きしめる桜井の映像が流れた。

「あの映像には勇気をもらいました。キャプテンとしても個人としても自信がない時期に、生駒ちゃんのナレーションで映像を作っていただいたことがうれしかったんです」(『EX大衆』2018年7月号)

 31日にWアンコールが自然発生すると、桜井は「絶対にみなさんを後悔させないようなグループになります!」と口にした。この約束がすでに果たされていることは、乃木坂ファンなら同意してくれるだろう。

 今年の8月30日~9月1日は、神宮球場のステージに立つ桜井玲香にファンが感謝を伝える日になるのかもしれない。ありがとう、心優しきキャプテン。(大貫真之介)

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