Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

ORANGE RANGEの音楽を追求する姿勢とファンとの信頼 『ELEVEN PIECE』NHKホール公演

リアルサウンド

19/2/26(火) 18:00

 ORANGE RANGEが、11thアルバム『ELEVEN PIECE』を携え、昨年秋からスタートし台湾公演を含め全30公演にわたった全国ホールツアー『ORANGE RANGE LIVE TOUR 018-109〜ELEVEN PIECE〜』が、2月8日東京・NHKホールで国内ファイナルを迎えた。その1曲目となったのは、「Ryukyu Wind」。JリーグクラブFC琉球公式応援ソングとしてリリースされてから約1年、今やすっかりライブのテッパン曲だ。のっけから盛大なシンガロングを巻き起こし、会場を一体化。その勢いで「そのテンションを、もう一段階上げていこうぜ」(RYO/Vox)とダンサブルなロックチューン「お願い!セニョリータ」で観客を踊らせる。ホールという椅子付きの会場でも関係なしに、大きく体を揺さぶり、腕を振り上げ、声を上げる観客に、「まだ2曲しかやってないけど、みんなテンション高くない? どうしたの!?」とHIROKI(Vox)。アルバムのリリース、そして全国ツアーのスタートから数カ月を経てようやくの東京公演ということで、この日を待ち望んだファンも多かったのだろう。全曲を一緒に歌い上げるくらいの前のめりのパワーを感じる。また、ORANGE RANGEとしてもこのツアーで『ELEVEN PIECE』というアルバムを確実に自分たちの血肉にして、よりフィジカルに自由に表現している。序盤からステージとフロアとで、高いエネルギーのぶつけ合いがあるライブだ。

 アルバム『ELEVEN PIECE』の曲を軸に据えつつ、前半にロングツアーでは恒例となっている、地元の学生とのコラボレーションも行われた。今回「ビバ★ロック」では都立駒場高等学校・駒場フィルハーモニーオーケストラ部からホーン隊の生徒たちと、そして「Hopping」では東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校から女性ダンサー4人がバンドと共演。ステージ上の全員でジャンプをして曲を締めくくったりと、和気藹々としたコラボレーションで会場を明るくした後は、一転して、これぞORANGE RANGEという中毒的なポップ&ドープなゾーンへと突入する。浮遊感たっぷりの「楽園Paradise」〜「SUSHI食べたい feat.ソイソース」、そしてニュースクールヒップホップ的な「Theme of KOZA」から、RYOがピアニカをHIROKIがギターを奏で、 YAMATO(Vox)のハイトーンがファンシーな雰囲気を生む「KONNICHIWA東京」と連投。RYOは「ピアニカだけでなくORANGE RANGEはいろんな楽器に挑戦することで広がっていくバンド」だと語り、今回ピアニカを演奏するきっかけを作ってくれたのはNAOTO(Gt)だと紹介するも、NAOTOは照明の当たりにくい場所へ……。NAOTOは、リーダーであり自由な発想で数々のキラーチューンや、ノンジャンルでトンがった曲を生み出すソングライターだが、ライブでは(取材でも)控えめでプレイヤー然としてそこにいる感じなのは、このツアーでも変わらずのようである。そのNAOTOに代わるように、YOH(Ba)が「今日は、全国のみんながつないでくれたツアーの集大成。東京は東京の楽しみ方で、エンジョイしてください」と、続く曲「Happy Life」へと穏やかにつないでいく。メロウな「Happy Life」から、HIROKI、YAMATO、RYOの3声のアカペラでスタートする「花」と歌ものが続き、そしてエレクトロチューン「the map」「Destroy Rock and Roll」、「アオイトリ」で会場内の空気を引き締める。

 「バンドのその時代、時代が表れるのがアルバム。時代に合わせるのではなくて、やりたいことを追求、実験できるのがアルバムの醍醐味だ」とHIROKIはMCで語った。そして「リリースするまで受け入れてもらえるか、不安もある。こうしてライブが始まって、みんながひとつになって楽しんでくれることは制作欲につながるし、バンドのモチベーションになる」と続ける。またメンバーによる使えない(?)沖縄の言葉講座をしたり、熱い話も笑いもいい具合にミックスしたORANGE RANGEらしさを全開にして、後半は『ELEVEN PIECE』収録曲とヒットチューンを畳み掛けて、会場のボルテージをグイグイと上げていった。ハードコアチューン「ワジワジ feat.ペチュニアロックス」で観客のコブシを突き上げさせると、その勢いを加速させるように「イケナイ太陽」から「上海ハニー」という反則的な流れに突入。歓声がいちだんと大きくなって、「上海ハニー」ではカチャーシーを踊ったり、大合唱が起こして、ラストは『ELEVEN PIECE』のパワフルなシンガロング曲「大きな夢の木」へ。10数年愛され続ける「イケナイ太陽」のようなヒット曲も、最新の曲も、同じようにシンガロングが起こり、曲に合わせて合いの手や手拍子が沸く。ファンは、“時代に合わせるのでなく、やりたいことを追求するORANGE RANGE”を信頼しているというのがよくわかる。バンドとしてこれほど幸せなことはないだろう。

 アンコールではゴスペルチームのゴスペルスパークルとともに「Family」をプレイし、最後は「以心電信」で爽やかに、会場一体の歌の旋風を巻き起こしてツアーを締めくくった。

(文=吉羽さおり/写真=平野タカシ)

オフィシャルサイト