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ZAQの変幻自在な楽曲制作術 TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』OP&EDを語る

リアルサウンド

19/1/22(火) 12:00

 ZAQが17枚目のシングル『ソラノネ』を1月23日にリリースする。

(関連:ZAQの変幻自在な楽曲制作術 TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』OP&EDを語る【写真】

 このシングルの表題曲は現在放送中のTVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(TOKYO MXほか)のオープニング主題歌。西部劇のような荒野の風景を美少女たちが駆るレトロな戦闘機が飛び交うこのアニメに、ZAQはナマ感あふれる正統派ビッグバンドジャズとJ-POPの融合という、これまでの彼女のディスコグラフィにはない、しかし確かにZAQ一流のマッシュアップサウンドで応えてみせている。

 さらに彼女は『荒野のコトブキ飛行隊』出演声優陣が歌うアニメのエンディング主題歌「翼を持つ者たち」の作詞・作曲・編曲も担当。一見フォーキーなアレンジに思わずシンガロングしたくなるようなメロディが乗るキャッチーな楽曲でありながら、やはり一筋縄ではいかない、ZAQならではのデコレートが施された1曲で、この曲を含むシングルが1月30日にリリースされる。

 今回リアルサウンドでは『荒野のコトブキ飛行隊』の放送開始と『ソラノネ』『翼を持つ者たち』のリリースを記念して、彼女を直撃。2019年のZAQ、そしてアニメソングシーンを語る上で欠かせない1曲になるだろう「ソラノネ」の誕生秘話と、彼女のキャラクターソング制作術に迫った。(成松哲)

■泥臭くもあり、女の子が活躍する絵も見えるジャズサウンド

——新曲「ソラノネ」なんですけど、昨年末のライブで初めて聴いたとき、そのビッグバンドジャズサウンドにビックリさせられたものの、同時に頷けた感じもあったんですよ。

ZAQ:そうですか?

——2018年にリリースしたシングル曲「JOURNEY」しかり、アルバム『Z-ONE』のタイトルチューン「Zone」しかり、ドラム、ベース、ピアノにラッパが乗っかるジャズナンバー、スウィングナンバー、ブラスロックが続いていたから、それがここ1~2年のZAQさんのモードなのかしら? っていう気がしたので。

ZAQ:ああ、確かに。自分の中で去年、一昨年の一番のキラーチューンに位置付けている「カーストルーム」(2017年8月リリース)っていう曲があるんですけど、あの曲がアシッドジャズで。で、おっしゃるとおり「JOURNEY」は間違いなくジャズだし、「ソラノネ」はその2曲をもっともっとキャッチーに、ポップに振った曲ではありますね。

——なんで今、ZAQさんの中でジャズがキテるんでしょう?

ZAQ:いや、ジャズモードになってるって感じでもないんですよ。鍵盤を突き詰めていこうとするとジャズの勉強って避けて通れないので。

——学生時代から常にジャズには触れていた?

ZAQ:そうですね。で、どんどん知れば知るほどジャズの奥深さがよくわかるというか、ジャズならではのハーモニーの美しさを追究したくなるから、絶えず研究を続けている感じなんです。

——つまりZAQさんの手札の中には常にビッグバンドジャズというカードがあった、と。じゃあなぜそのカードをこのタイミングで切ったんでしょう? 『荒野のコトブキ飛行隊』(以下、『コトブキ』)というアニメにビッグバンドジャズサウンドが似合うと踏んだのか? 逆にビッグバンドジャズをやりたいから、アニメに当ててみたのか?

ZAQ:前者ですね。最初はもっと映画『荒野のガンマン』みたいな泥臭い雰囲気、ドブロギターっていうスチールギターをハードにストロークする感じのカラッと乾いたテキサスサウンドで、というオーダーをもらったんですけど……。

——確かにイントロはスチールギターをかき鳴らして口笛がリードを取る、いかにもウェスタンなムードですよね。

ZAQ:でも全編それだとオープニング映えしなかったんですよね。泥臭くはあるけど、その曲に乗せて女の子が活躍する絵が全然見えなかったから、アイデアを揉んで揉んだ結果、EGO-WRAPPIN’に辿りついたんです。あのお二人は正統派のジャズをご自身のサウンドに取り入れてるんですけど、もっとアッパーで年齢感低めのEGO-WRAPPIN’を目指せばちょっと泥臭くもあるし、女の子が活躍する絵も見えるんじゃないか? って。 それならビッグバンドジャズだろうっていうことになったんです。ただブラスを入れることはアレンジの最後に決めていて、最初にあのシャッフルのリズム、グルーヴを決めて、サビのメロディを作って、そのあとAメロ、Bメロをサビにつなげるように作るっていう順番で書きました。

——これは作曲家・ZAQの特徴だと思うんですけど、メロディやリズムが1曲の中で大胆に変化するにも関わらず、どの曲もすごくスムーズにノレる。「ソラノネ」についてもマイナー進行だったBメロから一気に明るいサビへと転調するものの、Bメロの終わりにカッコいいキメが2発入るから、違和感なく、ただただ盛り上がれるんですよ。それだけに作り手もAメロからサビまで一筆書きのように書いているもんだと思ってました。

ZAQ:むしろそういう曲は少ないんですよ。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、ソロとそれぞれ全然色やデザインの違う車輌を作っておいて、それを全部エイ! ってくっつけてひとつの列車に仕立てるような感じで曲を作ってるので(笑)。「ソラノネ」にしたってAメロとBメロ、それからイントロは一気に作ったんですけど、それもサビが完成したあとでしたから。あの突き抜けた疾走感みたいなものを感じられるサビありきで、何かが始まりそうなワクワク感のあるイントロのベースラインや、半音で動く不穏なベースラインとユニゾンで歌い出すAメロなんかが生まれたんです。で、このシャッフルビートはかどしゅんたろうさんに叩いてもらいたい、という感じでドラマーをはじめとしたミュージシャン陣も決まっていった感じですね。

——そのいかにもジャズ然としたAメロ、Bメロと、いわゆるJ-POP的なヌケのいいサビという“全然違う車輌”をくっつけてみようと思った理由は?

ZAQ:アニメの制作チームから「サビはとにかく大きく、スケール感のあるもので」ってオーダーされていたっていうのもあるんですけど、私自身、サビで圧倒的な突き抜け感を表現したかったんですよ。だから先ほどおっしゃっていたサビ前の二段階のキメを挟むことで、ちょっと不気味な場所から一気に明るい方向へと階段を掛けていく感じにしたくて。アニソンファンって「さあ、ここからサビだよ!」っていう爽快感のある展開や転調にちゃんとビビッドに反応してくれるっていうのもあって、逆算的にAメロ、Bメロを渋めにしたかったし、そのキメを抜けたサビ頭の歌詞は〈飛び立つ〉にしたかったんですよね。サビはメロディも大きいことだし、歌詞もバーンッと大きなものにしようって。

■「ソラノネ」の元ネタは日曜日23時のテレビ朝日!?

——実際「ソラノネ」のサビはメロディ、アレンジとも「大きい」としか形容しようがないヌケ感、スケール感を讃えているとは思うんですけど、「大きい」って音楽用語では……。

ZAQ:ないですね(笑)。

——そのフワッとした非音楽用語を非音楽家であるアニメスタッフからもらっただけで、それを見事スコアに起こすZAQの腕よ、という感じもします。

ZAQ:ありがとうございます(笑)。ただ実はこのサビにはちょっとした元ネタがありまして……。

——元ネタ?

ZAQ:ちょうどこの曲の制作期間中のとある日曜日に『関ジャム 完全燃SHOW』(以下、『関ジャム』)を観てたんですよ。そうしたら番組の中でMrs. GREEN APPLEさんが「『ドレミファソラシド、ドシラソファミレド』っていうメロディラインは最高にキャッチーだ」って言っていて。確かにミセスさんの曲のサビのメロディラインには「ドレミファソラシド、ドシラソファミレド」っていうシンプルなスケール(音階)が使われがちだし、彼らの曲ってすごくキャッチーじゃないですか。

——しかもヒットしている。

ZAQ:なので参考にしない手はないな、と(笑)。

——あはははは(笑)。

ZAQ:で、実際に「ラシドレ、レドシラソファミレド」ってメロディを転がしてみたら、これがすごくキャッチーで(笑)。そこにうまくハマる泣きのコード進行も見つけられたので、そのままサビができあがった感じなんです。

——そしてMrs. GREEN APPLEの影響を受けまくったサビと(笑)、Aメロ、Bメロという3つの車輌をキメ2発でつなぐ、このアレンジってロジカルに組み上げていくものなんですか? それとも「こんな感じかな?」って感覚的に連結させていくのか?

ZAQ:けっこう感覚的ですね。例えば「カーストルーム」ってイントロは正調派のアシッドジャズテイストで、Aメロ、Bメロと展開していくうちにどんどんポップになっていって、サビはメチャクチャJ-POPになるっていう構成なんですけど、その車輌ごとの色が違いすぎるから、作っているとき「あれ? 私は結局なにがしたいんだ?」ってなっちゃって(笑)。

——それは確かに“感覚の人”の発言ですね(笑)。

ZAQ:とはいえ、ちゃんと「カーストルーム」という1本の電車に仕上がったとき、みんなも「いいじゃん、いいじゃん」って言ってくれたし、私も「確かにこれはZAQというジャンルというか、けっこう謎な展開なんだけど、ちゃんと解決ついているし、ポップミュージックとして成立している新しいものができた」って自信が持てるようになって。だから今回も「Aメロ、Bメロはこんな感じかなあ……」ってモヤモヤッとしながらも作り上げてしまえば、サビときちんとくっつくし、ZAQというジャンルになるっていう自信はありましたね。いろんなジャンルの音楽を取り込んでも、そのジャンルをリスペクトしつつも、ZAQの色に落とし込めるというか。最近はそういう曲の作り方ができるようになったんだろうな、とは思ってます。

——その「カーストルーム」以前の自信のなさにはちょっとビックリさせられました。ZAQさんは音大を出ていて、優秀な鍵盤弾きでもある。それだけに確信を持って音楽理論的に正しいメロディやアレンジをロジカルに組み上げるんだろうなって気がしていたので。

ZAQ:そう言われると、確かに勉強した上で培われた感覚で作ってるのかなあ。ポップミュージックって結局ドラムがあって、ベースがあって、ギターがあって、鍵盤があってっていう構成で作られるものであるという大前提があるじゃないですか。それをどういう弾き方をするかによってジャンルが分かれると思っているから、弾き方についてはいろいろなアーティストを勉強しつつ、自分なりに消化しているつもりですし、「ソラノネ」のBメロからサビへの転調みたいな響きの美しさを求められる展開って私にとって一番ピリつくポイントで、一番大事にしているところだったりしますし。

——調が移動するようなときこそ楽理的に正しい和声であることを求めるということ?

ZAQ:むしろ私が美しく感じるかどうかと、理論的な正しさのバランスを見ている感じですね。明らかに音がぶつかっているようなフレーズであっても、私がそれを美しいと感じたら、どうにかコード的に解決できないかを探ってみたりとか。コードを当てることで解決できるなら、それは美しいハーモニーという結論を出すことができるので。「大胆に音をぶつけてもそれを美しいと自分が感じることができて、ちょっと破天荒であってもコード的に解決できるなら、それは使えるハーモニー」って判断できるのは、間違いなくクラシックの勉強をしていたからですし。

——型を知らなければ型破りもできないという感じ?

ZAQ:まさにそういう感じです! その言葉使っていいですか?(笑)。

——なんならZAQさんが言ったことにしておきます?(笑)。

ZAQ:お願いします!(笑)。でも本当に型破りみたいで、私は鍵盤で曲を作るからか、ギタリストの方は「ZAQの曲、理解不能」って感じになっちゃうこともあって。「いや、このコードにそのメロディを当てる?」みたいなことをよく言われるんですよ。鍵盤弾きの方からは「ここにこのコードを当ててくるのは面白いねえ」って言ってもらえるんですけど、ほかの楽器の方からはビックリされることも多いですね。

——鍵盤、特にシンセならオクターブは事実上無限だけど、ギターやベースには出せる最高音と最低音の限界があるから驚くんでしょうね。

ZAQ:年末に別の曲のレコーディングをしていたんですけど、そのときにもギタリストの人に言われましたから。「この音、ギターだと出ないです」「チューニング変えますね」って(笑)。

——でも楽理はわかっているけど、鍵盤以外の楽器には実は明るくないことがZAQさんのキャラクターになっていますよね。音楽的に正しくて、しかも誰も聴いたことのない曲ができあがっているわけだから。

ZAQ:だから私、ホント不思議なんですよ。これは不遜な意味には取ってもらいたくないんですけど、私みたいに編曲もやる女の子ってなんで少ないんだろう? って。

——コードの勉強をしていて鍵盤が弾けてDAWができれば、メロディメイクもアレンジもできるはずだから、みんなもっとやればいいのに、と。

ZAQ:ギター弾き語りのシンガーソングライターはいっぱいいるのに……。

——DAWをやる女の子っていうと、エレクトロニカ系の宅録女子がフィーチャーされがちですしね。

ZAQ:私、時代遅れなのかな……。

——むしろそういう状況にあって、女性ボーカリストであり、しかもバンドスコアが書けるから、ZAQさんは唯一無二の存在なのかと。

ZAQ:仲間ほしいんだけどなあ……。女の子と一緒に「作曲・アレンジあるある」を話したい(笑)。

——なにをレイザーラモンRGみたいなことを(笑)。で、そのメロディメイクやアレンジは安産でした?

ZAQ:メロを作るのはホントに楽しかったです。それこそ『関ジャム』のMrs. GREEN APPLEさんの言葉に「なるほどー」って感心しながらサビのメロディを作って、Aメロ、Bメロに関してはバディ・リッチみたいなビックバンドジャズの巨匠たちの音源や、『バトルジャズ・ビッグバンド』っていう日本の現役プレイヤーの方々をフィーチャーしたCDシリーズをとにかくたくさん聴いて勉強させてもらって。特に『バトルジャズ・ビッグバンド』シリーズはCDのジャケットが全部飛行機の写真だったから「おーっ! この感じ、『コトブキ』っぽい(笑)」ってことでホントにめちゃくちゃ聴きまくって。なんかそういう流れで楽しく作れちゃいました。ワクワクしながらいろんな人をオマージュしつつも、ちゃんとZAQらしい曲になったなって。

■2019年は『コトブキ』に始まって『コトブキ』に終わるはず

——一方アレンジは?

ZAQ:けっこう大変でした。デモには「こういうラッパを入れたいです」っていうブラスのフレーズを入れておいて、それをサクソフォニストの方にブラッシュアップしていただくことにしていたんですけど、そこでも「ブラスではこの音は出ません」という……。

——ギタリストさんと同じ言葉を……。

ZAQ:いただいて(笑)。「じゃあこういうフレーズにしましょう」って感じで何度もブラスのスコアを書き直していただいたりしているので、アレンジには時間がかかったんですけど、じゃあキツいだけだったかっていったら、そうでもなくて。まあブラス隊がホントに上手いんですよ。私もトランペットを吹いていたから吹奏楽的な上手さは知っているつもりなんですけど、ホントに「これから戦場に向かう飛行機に乗る女の子たちへのファンファーレ」っていう感じのプレイをしていただいて。それを聴いてまたアレンジのアイデアが膨らんだというか。「ソロはサックスの方にお任せしちゃおう」ってことになって、ブラスのフレーズを書き直してもらった方に思う存分吹いていただいたりしてますし。

——そういうリッチさも感じてほしいですよね。それこそZAQさんはDAWもできるから全部打ち込みでもできるんだけど、ドラム、ベース、ギター、キーボード、ブラスのすべてが生っていう豪華さというか……言ってしまえば、このお金がかかってる音像を味わってほしいですよね(笑)。

ZAQ:そうなんですっ! しかもブラスは2本、ギターも2本使ってますから! 私がエディットしたのは風の音のSEくらいのもんですから。こんなにお金を掛けたレコーディングができるなんて……。『コトブキ』、ありがとう!

——(笑)。

ZAQ:でもホントにおっしゃるとおり、贅沢にミュージシャンを使わせていただいた自覚はあるし、それに見合うサウンドができあがった自信もありますから。

——しかもサックスソロがあったり、2コーラス目以降も聴きどころ満載だから、テレビサイズではなく、CDや配信音源でフル尺でこそ聴くべき楽曲になっている。

ZAQ:アウトロも聴いてもらいたいですから。ブラスのブロウはカッコいいし、でもリズム的にはミュージシャン陣をイジメまくってたりしていて(笑)。あれもTVサイズでは楽しめないポイントだと思います。

——で、今回は『荒野のコトブキ飛行隊』のOPとEDの特集企画なので、ZAQさんが作詞・作曲・編曲をして、出演声優陣が歌うエンディングテーマ「翼を持つ者たち」についても聞かせてください。

ZAQ:はい。

——まずイントロからして思いっきりZAQ節ですよね。あのアコースティックギターのアルペジオをチョップしまくる感じとか。

ZAQ:ヒップホップラバーとしてはチョップ&スクリューは絶対にやらないといけないことですから(笑)。

——で、Aメロはそのチョップされたアルペジオがループするアレンジになっているし、6人の声優さんが細かくマイクリレーしている。だから「あっ、エンディングはオーガニックな歌モノヒップホップテイストなのかな?」と思ったら……。

ZAQ:ドラムが入った瞬間、一気に明るくなるという(笑)。

——そしてサビはシンガロングしたくなる、J-POP的なキャッチーさを持っている。このマッシュアップ感にもZAQ印を見ました。

ZAQ:それこそ「ヒップホップラバーならチョップ&スクリュー」じゃないんですけど、アレンジについては自分の好みであったり、今ハマってるミュージシャンであったりを参考にするものの、何人かが歌うキャラクターソングの場合、メロディはとにかくボーカルが複数いることを念頭に置いて作るようにしていて。だからAメロ、Bメロは細かくボーカルがクロスするようになっている。絶対に1人で何小節も歌わせないようにしているんです。そういうこともあってAメロはアコースティックギターとシェイカーだけが鳴っているシンプルなバックトラックに、譜割の細かいメロディを乗せることでリズムを作っていきたいなっていう感じで作り始めたんですよね。Aメロ、Bメロはタタタタタタタってテンポよく進んでいって、サビはタン・タン・タン。1つの音に1つの文字や言葉を置いていく感じ。ホントに聴いてるみんなも歌える感じというか、ちゃんと頭に残る感じにしたかったんですよね。

——お話を伺っているとキャラクターソングのほうがZAQ名義の楽曲よりもロジカルに作られている印象を受けるんですけど、ZAQ名義の楽曲とキャラソンってどっちがスムーズに作れるものなんですか?

ZAQ:1人のキャラが歌うものならZAQ名義のものとそんなに変わらないんですけど、今回みたいに複数人が歌うキャラソンはメチャムズいですね。一人ひとりにスポットが当たるようにしなきゃいけないし、でも普通のポップミュージックなんて4分くらいしか尺がないじゃないですか(笑)。

——敵はポップミュージックの構造でしたか(笑)。

ZAQ:そのポップミュージックという額縁の中をいかに泳いでみせるかが作曲家・編曲家の腕の見せ所だとは思うんですけど、でも「AメロとA’メロは3行しかないし、Bメロも6行しかない!」って感じにはなっちゃいますね(笑)。

——と言いつつも、キャラクターたちにスムーズな言葉とメロディを与えている。おっしゃるとおり、ポップミュージックの額縁を見事に泳ぐ職業作家的、プロデューサー的スタンスで楽曲提供なさってる印象を受けました。

ZAQ:確かに『コトブキ』の楽曲に関しては本当にプロデューサー的なスタンスで取り組んでいるかもしれないですね。一人ひとりのキャラクターソングの作詞・作曲も担当させてもらえるので。

——そのキャラクター陣というか、声優陣……鈴代紗弓さん、幸村恵理さん、仲谷明香さん、瀬戸麻沙美さん、山村響さん、富田美憂さんのボーカルが乗った「翼を持つ者たち」を聴いた印象っていかがでした?

ZAQ:想像以上の完成度でしたね。6人の声が重なると音に厚みが出ますし、それでいてちゃんとそれぞれの声の個性が出ているし、それぞれのパートがいい感じに絡み合っていますし。オープニング曲はクセが強いから「ちょっと……」っていう人もいるかもしれないけど、この曲はみんなが聴ける(笑)。「このエンディング、マジないわー」っていう人はいないと思うから、毎週平和にアニメを終えることができるなっていう気がしています。

——あっ、話が行ったり来たりになっちゃうんですけど、「ソラノネ」はご自身の中でもけっこう挑戦的な曲っていう位置付けですか?

ZAQ:アーティスト・ZAQのときは常にチャレンジですから(笑)。常になんらかの仕掛けは用意しているし、そのギミックをあざといっていう人もいる。「もうちょっと自然に作ってくれればいいのに」「なんかこだわりやがって」っていう方もきっといると思うんですけど、そういう声の中、挑戦し続けるのがアーティスト・ZAQの振る舞いだと思うんですよ。

——型破りの話じゃないけど、ティピカルなロック、ティピカルなJ-POPみたいなものからは距離を置きたい?

ZAQ:そうですね。ストレートなロックナンバーのようで実はめっちゃ分数コードが多いとか、そういうことをやりたがる自分がいますね。ロックというと愚直なまでにストレートっていうイメージがある方も多いと思うんですけど、なんかひねくりたくなっちゃう(笑)。私が素直に書くのはヒップホップだけですね。

——それはなぜ?

ZAQ:ギャングスタラップはリアルであるべきだと思っているので。

——ブロンクスには……。

ZAQ:敬意を払わざるを得ない!(笑)。

——ちなみに2019年ってどんな1年になると思います?

ZAQ:いや、『コトブキ』に始まって、『コトブキ』に終わると思います(笑)。キャラクターや声優さんたちに憑依したんじゃないか?  ってレベルで彼女たちの歌や言葉を書いていきたいし、そのためにガッツリ脚本も読み込んでいますから。この作品には、これから1年そういう愛情を注ぎ込める自信があるから2019年はすごく楽しくなるだろうな、って思ってます。(成松哲)

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