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DAOKO、キズナアイ……中田ヤスタカプロデュース楽曲に広がる新たな道 近年の作品から考察

リアルサウンド

19/1/8(火) 8:00

 2018年の音楽シーン。音楽家、中田ヤスタカの動きを振り返ると多くの発見がある。2018年2月7日、満を持してリリースした初のソロアルバム『Digital Native』で試みた、数々の壁を壊していくような挑戦のあった年だった。

 『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)での活躍が記憶に新しい時代の寵児・米津玄師をフィーチャリングに迎えた「NANIMONO(feat.米津玄師)」による、感情を高ぶらせるEDMライクな楽曲が解き放った先進性。世界的ポップアイコン・Charli XCXときゃりーぱみゅぱみゅによる「Crazy Crazy(feat. Charli XCX & Kyary Pamyu Pamyu)」での英日ガールパワー共演という突破力。中田ヤスタカがクリエイトする音楽は、EDMという音楽交差点を突き抜けた“その先の世界”をイメージさせてくれる。

中田ヤスタカ – White Cube (Official Video)

 サウンド面で言えば、Perfume「FUSION」にも見られるような、ミディアムテンポなBPMによる裏で拍を取るビートを起用していることに着目したい。この傾向はMAMIKO(chelmico)をラップに迎えた「Wire Frame Baby (feat.MAMIKO[chelmico])」、きゃりーぱみゅぱみゅ「キズナミ」にも顕著だ。EDMというジャンルの言葉がなかった頃からエレクトロポップを追求してきた中田ヤスタカに起こったビートのパラダイムシフトなのかもしれない。

 そう、中田ヤスタカが通った後に道は生まれてきた。

 作り手にもスポットを当てた音楽文化、DJプレイのライブ化、アイドルをアーティスティックにプロデュースする手腕、ワールドワイドに同時代性あるサウンドで海外との壁を壊すサウンドの強度。かといってコアでマニアックな存在ではなく、誤解を恐れず言えば、全てを飲み込みキュート化する“TOKYOセンス”が中田ヤスタカの真骨頂だ。

ファッショナブルに時代を闊歩するDAOKOと共演

 そんな中田ヤスタカによるサウンドは、ファッションやアート、アニメーション、ゲーム、コミックとの親和性が高い。昨今も中田ヤスタカがプロデュースしてきた“KAWAiiミュージック”による新規コラボレーションが広がっている。例えば『第69回NHK紅白歌合戦』に出場したDAOKOとの共演作である「ぼくらのネットワーク」(DAOKO×中田ヤスタカ)。90’sライクなイントロダクションから加速し、思わずハンズアップしたくなるデフォルメされたドロップ展開には驚かされた。また、本作は任天堂/Cygamesによるアクションロールプレイングゲームアプリ『ドラガリアロスト™』の挿入歌として制作され話題になった。

DAOKO × 中田ヤスタカ「ぼくらのネットワーク」MUSIC VIDEO

VTuberキズナアイと世界へ広がるコラボ

 12月8日には、中田ヤスタカが自身のInstagramにVTuberであるキズナアイの動画を見ている様子を投稿。その投稿をキャプチャーした画像がキズナアイのTwitterに転載された。両者のやりとりから、中田ヤスタカがキズナアイと楽曲制作を進めていることが明らかになった。これまで、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅなど時代を彩るポップアイコンをプロデュースしてきた中田ヤスタカによる、キズナアイへの楽曲提供へ注目が集まっている。

 なお、ティザー動画がアップされた最新曲「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」は、人気VTuberであるミライアカリ、電脳少女シロ、月ノ美兎、猫宮ひなた、鈴木ヒナ、田中ヒメ等が多数出演する話題のTVアニメ『バーチャルさんはみている』(TOKYO MXほか)主題歌への起用が決定。VTuber本命であるキズナアイはアニメ本編へは参加しないが、中田ヤスタカによるプロデュースで主題歌に参加するという裏技めいた構造が見事だ。

Kizuna AI – AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ) 【ティザームービー】

 きゃりーぱみゅぱみゅのヒットによって“原宿KAWAiiカルチャー”が加速したように、日本が世界へ誇る最新ポップカルチャーである“VTuberカルチャー”の起爆剤としてキズナアイ「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」が機能することは間違いないだろう。

音楽サブミッション・メディアへの影響

 中田ヤスタカが定義してきた“KAWAiiミュージック”は、数々の後進クリエイターへ影響を与えている。

 29万登録者を有する人気YouTubeチャンネルとして運営される海外発のサブミッションメディア『Waifu Wednesdays!』への影響も大きいという。YUNOMI、Moe Shop、Neko Hacker、PSYQUI、KOTONOHOUSEなど、中田ヤスタカの影響を感じられる気鋭のニューカマーがキュレーションされるなか、中田ヤスタカによるKAWAiiアンセム「White Cube (+Voice Version) [feat. 苺りなはむ]」が公式にサブミット(投稿)されたことに注目したい。世界の第一線で活躍するマデオン、ポーター・ロビンソン、ソフィーらがリスペクトする中田ヤスタカサウンドが、新しい形で海外への道を開こうとしているのだ。

 さらに、『Waifu Wednesdays!』のセカンドチャンネルとして2019年早々に新サブミッションメディア『TOKYO WAVE!』がローンチされた。新たなストリーミングミュージックの誕生によって、再び音楽の発信の仕方、楽しみ方に変化が起きつつあるのだ。そんな2019年の音楽シーンにも、中田ヤスタカは先進的な楽曲を生み出し、海外への道をさらに広げていくのだろう。

■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)  
Yahoo!ニュース、J-WAVE、ミュージックマガジン、Spotify、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。会員制サイト『BOØWY HUNT』で、関係者によるBOØWY伝説を裏付けるドキュメンタリー「BOØWY STORY ARCHIVE」を連載中。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。
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