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ぴあ

早見沙織、キネマ倶楽部ワンマンで見せたシンガーとしての大きな“成長”

リアルサウンド

18/7/11(水) 12:00

 早見沙織のライブ『Hayami Saori Birthday Special Live 2018』が、5月29日に東京キネマ倶楽部にて開催された。

 早見にとって、観客を入れた単独名義でのライブは数年ぶり。筆者も一年前に同じ会場で行われたコンベンションライブを見て以来の彼女の歌を聴く機会となった。今回のレポートでは、そんな記念すべき日から、第一部の模様をお届けする。

 この日、会場に入ると、開場SEはAbsofacto「Lies」からKimbra「Cameo Lover」、Rhye「Taste」、Marlena Shaw「You Me and Ethel/Street Walkin’ Woman」、Billy Cobham「Some Skunk Funk」、Tower of Power「You Got To Funkifize」と、比較的新しめのクラブミュージック〜R&Bからシブめのファンクへ移り変わっていく流れだった。これまでのインタビューで語っていたAbsofactoやRhyeなどの楽曲が続々と聴こえてきたので、本人の選曲だろうと思ったが、やはり早見によるものだったようだ(参考:1stミニアルバム『live for LIVE』リリースインタビュー早見沙織に“影響”を与えた楽曲は? )。

 そんな開演前からライブが始まっているような雰囲気のなか、かどしゅんたろう(Dr)のドラムソロからライブはスタート。この日のバンドメンバーは彼に加え、黒須克彦(Ba)、増田武史(Gt)、角脇真(Key)という、これまでも早見の歌を支えていた4人だ。そんな彼らのバックアップを得て、彼女は「Secret」を原曲よりも艶っぽいジャズアレンジで歌い上げる。終盤にはフェイクを連続で披露し、早速その歌唱力の高さを見せつけてくれた。

 そこから「夢の果てまで」を経て、原曲のアーバンな雰囲気とは一味違うソフトロック調のアレンジが施された「SIDE SEET TRAVEL」、ダンサブルなビートでフロアを盛り上げた「水槽」、黒須のファンキーなベースプレイに体が揺れる「where we are」、客席から多く拳が上がったロックな「僕らのアンサー」と、バラエティに富んだ楽曲が続く。

 ここからがライブのハイライト。ブレスを効果的に使うことでさらに魅力的になった「Installation」は、Dメロ→ラスサビの爆発力が格段に増していたし、増田のアコースティックギター1本をバックにしたMCからスムーズな流れで歌われた「やさしい希望」は、歌とギターのシンプルな構成にしたぶん、楽曲が持つ柔和な印象をより深化させているように聴こえた。

 かと思えば、かどがスティックをブラシに、黒須がベースをアップライトに持ち替えたあとの「ESCORT」は、金管こそないもののスウィング感が存分に出ていたし、インタールードのセッションを経てのフェイクを交えた熱唱は、本格的なジャズシンガーのそれだった。そんな衝撃に引き続いての「ブルーアワーに祈りを」では、落ち着いた伴奏を同じ温度感ながら力強い歌声で引っ張り、次第に熱量を上げていくというテクニカルな歌唱をみせる。

 観客を一段と楽曲の世界観に引き込んだところで本編が終了すると、アンコールでは「皆さんの前で歌わせていただくのも久しぶりで。13曲も……、あっ、曲数言っちゃった!」と曲数を暴露したり、告知を忘れるなど、早見のユルいMCが本領を発揮。「気持ちは変化していて、私自身が詞曲を書かせていただいたりと、この2年で音楽活動によりのめり込んでいます」とこれまでよりも音楽活動に向かい合っていること、「これからも『どういう風に音や言葉を選ぼう』と考えながら、丁寧に拾い上げていく音楽活動をしていきます。なので、個人の趣味を反映しつつ……よりマニアックになっていくかもしれませんが(笑)」とさらに深い音楽を歌っていくことを仄めかせた。

 そんな決意表明を経て歌われたのは、早見が作詞・作曲を担当した「琥珀糖」。原曲のピアノも彼女が弾いたものだということもあり、弾き語り形式でパフォーマンスされたのだが、サビの歌声は原曲以上の迫力を持ち、原曲以上に休符の多いピアノもまた、メリハリがついたことで、より臨場感を味わうことができた。

 その後、バースデーケーキがステージへと運ばれ、会場が祝福ムードに包まれたあと、“時間の経過”を優しく歌った「To years letter」から、最新シングル「Jewelry」へ。リリース時のインタビューでも「ゴスペルソング的なアプローチは意識した」と本人が語っていたのだが、ラストのサビではそれを体現するかのように観客と早見による合唱で歌い上げられ、この曲の“完成する瞬間”を見届けたような気持ちになった。

 今回のライブはアレンジされたものを含め、彼女の音楽は面白いものであると改めて感じる瞬間ばかり。人気声優として毎クール大忙しのため、リリースもライブのペースもそこまで多くないが、いちリスナーとしては、いままで以上に音楽へどっぷりと浸かった早見沙織が、ますます見てみたくなった。

(取材・文=中村拓海)

■セットリスト
1.secret
2.夢の果てまで
3.SIDE SEAT TRAVEL
4.水槽
5.where we are
6.僕らのアンサー
7.Installation
8.やさしい希望
9.ESCORT
10.ブルーアワーに祈りを
en1.琥珀糖(ピアノ弾き語り)
en2.To years letter
en3.Jewelry

■リリース情報
5thシングル『新しい朝』
発売:2018年9月19日(水)
価格:アーティスト盤(CD+DVD・ジャケット:早見沙織仕様) ¥1,800+税
   通常盤 ¥1,200+税

<CD収録内容>
1.新しい朝(劇場版アニメーション『はいからさんが通る後編 ~花の東京大 ロマン~』主題歌)
作詞・作曲:竹内まりや
ほかカップリング曲を収録

<DVD収録内容(アーティスト盤のみ)>
「新しい朝」MUSIC VIDEO

早見沙織オフィシャルサイト

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