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志尊淳『走れ!T高バスケット部』インタビュー【後編】

ぴあ

18/11/4(日) 12:00

本当に部活感覚の今作は フェイクドキュメンタリー

前編のインタビューはこちら

「もともとほとんどみんな知り合いだったので、本当に部活をやっているような感じで楽しめました。でも、慣れ合いにはならなくて、ピシッとするときはピシッとするし、それぞれが自分の役割をまっとうしてくれましたね。僕らの仲睦まじい感じは、公式のSNSを見ていただけば分かります(笑)。僕らも撮られているのを知らなかったんですけど、バスケが少しずつうまくなっていくところや関係性が築かれていく過程は映画の内容ともリンクしているから、僕は今回の作品はフェイクドキュメンタリーだと思っていて。それぞれの居方もキャラクターっぽかったし、本当に大好きですね」

チームメイトを演じるのは、佐野勇斗、戸塚純貴、佐藤寛太、鈴木勝大、西銘駿、阿見201たち。そのワチャワチャ感は、劇中の合宿シーンにも反映されている。「みんなで寝転んでしゃべっているシーンは、実は台本には何も書いてなくて。古澤(健)監督も、好き勝手に動いた僕らを撮るというやり方だったから、普段のみんなの感じが出た気がします。監督はそれこそ、陽一という役についても〝志尊が一番考えているだろうから、お前が思っているとおりにやってくれ〞と言ってくださって。監督が大事に思っていたのも僕らの普段の空気だったんですよ」

その空気作りで、志尊はこんなアクションも起こしている。「でも、僕らは僕らでゴールを決めるときの納得できる形があったし、限られた時間の中で、カメラポジションを変えながらそれを何度もやらなければいけなかったので、ピリピリしているときがあったんです。だからみんなが少しでも集中できるような環境になるよう心がけたりもしました。僕は役 柄の内面もバスケも生ものだと思っているし、監督もどうしたら僕らの鮮度を保ちながらそれを映画に活かすことができるのかを考えてくださる方だったから、僕はなるべくみんながイキイキできるような現場になることを常に意識していたんです」

本作に、『帝一の國』で共演した竹内涼真と千葉雄大が友情出演しているのも見逃せない。「不思議な感覚でしたね。ついこの間まで〝帝一〞で同じように学生を演じていた〝ばーちー〞(=千葉)が先生役で、(竹内)涼くんは大学のスター選手の役だったから(笑)。でも、〝ばーちー〞とはご飯にも行けて他愛もない話ができたし、涼くんは〝すごく楽しそうだね。淳ちゃん、座長だね〞って励ましてくれて。ふたりが新しい風を吹き込んでくれて僕らも身が引き締まったので、感謝の気持ちでいっぱいです」

高校時代で印象深いのは 球技大会のバスケの試合

何を聞いても瞬時に、丁寧に自分の考えを交えながらよどみなく話す志尊はとても頭の回転が速いクレバーな人だ。ところが、「志尊さん自身はどんな高校生だったんですか?」と聞いたときだけは、「カッコつけてましたね(笑)」とちょっぴりはにかんだ。「僕、中学校までずっと男子校で、高校から共学になったので、女の子とのコミュニケーションの取り方が分からなくて。且つ、良く見られたいというのがあったから、ややこしかった(笑)。

ただ、すごく覚えているのが、高校3年生のときに球技大会でやったバスケの試合。今回の映画と似ていて、僕らのチームは経験者がひとりもいなかったんですけど、頑張って勝ちたいと思う人が多かったんですよね。逆に他のチームは経験者はいるけど、チームがまとまってなくて。決勝で当たったのも不良チームだったから、試合中に〝おい!〞って怒鳴られたり、熱くなった僕も怒ったりして先生が止めに入るような状況にもなったんです。でも、僕らは男子も女子も一丸となって頑張って、優勝することができたんですよ。そこからクラスの絆もできたし、あれは今でもすごく印象に残っていますね」

そんな実体験も踏まえた上で、本作に込めた自身の思いをあらためて言葉にしてくれた。「今、スポーツをめぐる良くない話ばかりが取り沙汰されているし、何が正解なのか、答えが見えない中で、実際にそういうことを乗り越えていかなければいけない状況がみんなにもあると思います。でも僕は、部活動は教育の一環だし、スポーツはスポーツマンシップに則って一生懸命やることに意義があると思っていて。夏の甲子園で注目を集めた秋田の金足農業高校じゃないけれど、そういう現実をしっかり受け止めた上で、みんなには前を向いていってほしい。そんなことが、この作品で伝えられたらいいなと思っています」まさか自分に女性の役をいただけるなんて……

ところで、志尊自身は挫折を味わったり、夢をあきらめたりするような苦い思い出はこれまでなかったのだろうか?「イヤなことはもちろんありましたけど、それも今につながっているから、挫折だとは全然思ってないですね。逆に、大好きだった野球をやめてこの仕事を始めたときに〝俳優でやっていくんだ!〞という強い気持ちがあったわけではなくて。家族が背中を押してくれたから、今の自分があると思っているし、仕事をしていくうちに、芝居に対する好奇心がどんどん増していったんです」

俳優の仕事を最初に「面白い」と思った瞬間は、デビュー作でもある舞台『テニスの王子様2ndシーズン』(11〜14)だったという。「舞台はお客さんのリアクションを生で見て感じることができるし、自分の解釈でやった表現が肯定されるとやっぱりうれしいんですよね。ファンの方から感想のお手紙をいただいたときも、誰かに何か影響を与えることができているという喜びがあったんです」

興味深かったのは、「俳優の仕事は好きです。好きじゃなかったら続けられない」と言った志尊が、その次に発した言葉だ。「僕はこういう役をやりたいっていうのはあまり意識しないんです。格闘技をやっていたから、アクションはやってみたいけど、あとはそのときいただいた役を精一杯やるだけです。だって、例えば性的マイノリティの人物でも『女子的 生活』(18)で演じたトランスジェンダーのみきと、『半分、青い。』で演じたゲイセクシャルの〝ボクテ〞では表現の仕方が全然違うし、それぞれの役で感じることも違いますからね。それこそ、まさか自分に女性の役をいただけるなんて思ってもいなかったですし。今は周りの人たちが、僕の中の可能性を見いだしてくださるのが逆にすごく楽しい。だから、これからもいただいたお仕事をがむしゃらにやっていこうと思っているだけです」

取材・文:イソガイマサト 撮影:稲澤朝博 スタイリング:手塚陽介 ヘアメイク:仲田須加

プロフィール

志尊淳

1995年、東京都生まれ。11年、俳優デ ビュー。主な映画出演・主演作に、『帝 一の國』(17)、『覆面系ノイズ』(17)、『ド ルメンX』(17)、ドラマ出演・主演作 に『きみはペット』(CX/17)、『女子的 生活』(NHK/18)、『半分、青い。』(NHK /18)など。スペシャルドラマ『それ でも恋する』(TBS)が10月6日(土) に放送となる。

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