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『俺スカ』King & Prince 永瀬廉の涙の卒業式 最終話、古田新太はみんなの“アイドル”に

リアルサウンド

19/6/23(日) 12:00

 「やりたいことがあるから」と2年3組を身勝手に去っていった原田のぶお(古田新太)。思えば第1話では始業式に遅刻しながら体育館に土足で入ってきて、2年3組の新任教師であることを伝える場面があったが、やって来るのが突然なら去るのも突然。『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)最終話は、原田のぶおがいなくなった2年3組のクラス風景からはじまる。

参考:場面写真はこちらから

 「のぶおがやりたいことをひとつ叶えてあげたい」という明智(永瀬廉)は、のぶおのやりたいことリストにあったことのひとつ「教え子に卒業証書を渡す」という夢を叶えてあげるために、自主的な卒業式をクラスメイトたちと計画することに。一方東条(道枝駿佑)は、急に教師を辞めてしまったのぶおの行動に納得がいかず、モヤモヤしている。そんなある日、入院しているのぶおのお見舞いへ訪れることになった長井(松下奈緒)は、東条を連れてのぶおのいる病院へ行く。なぜ急に学校をやめたのか、本当は体が悪いからなのではないか、と問う東条に、「やりたいことがある」の一点張りで、「原田のぶおは死なない」と言い張る姿はやはりのぶおらしい。「引き際は、惜しまれながら美しく」と言い、それを体現してみせようとするのだから、まるでアイドルかスーパースターのようにきらめく存在である。

 そうして物語は卒業式当日へ。1日だけ学校へ戻ってきたのぶおは、保健室で里見(白石麻衣)と対面する。原田のぶおがいなくなった学校はおもしろくないと、退屈な日々に光を与えてくれていた原田のぶおという“差し色”がいなくなってしまったことを嘆く里見。そこでものぶおは「差し色はセンス。自分でいろんな色の中から選んで色を差してみな。できるはずだよ」と、のぶお以外にも素敵な出会いがあることを、やさしく伝えてみせる。ここにも、実に原田のぶおらしい生き方のスタンスが垣間見える。

 自前の卒業証書を持参してきたのぶおは、生徒一人ひとりに最後の一言を告げ、満足気に卒業証書を手渡す。本当にただの「一言」で構成されたメッセージと「おめでとう」と「ありがとう」の往来にはそこまで特別感があるわけではないが、そこにはこれまでのストーリーを振り返る余白が用意されているだろう。「ありがとう」と「ごめんなさい」をしっかり伝えることの大切さを教えてくれたのは第4話だっただろうか。最終話にはどこもかしこもこうした心からの感謝の言葉で溢れていて、心が温かくなるシーンばかりだった。

 お返しに原田のぶおへの感謝の卒業証書を手渡した明智は、「俺たちのやりたいことも叶えてほしい」と、のぶおを屋上へと連れ出す。見下ろすと、第1話で若林(長尾謙杜)が屋上から飛び降りたときと同じように、黒い布を広げた生徒たちの姿が。「ここで一回死んで、余命リセットしよう」という明智の発言は無茶苦茶な理論ではあるものの、俺たちとともに生きてくれという大いなる希望がある。そうして飛び降りは見事に成功し、最後に談笑をして颯爽と去っていくのぶお。そのかっこいい後ろ姿に向かって、「じゃあな、のぶお!」と叫ぶ明智の姿が鮮明に映し出される。

 2年3組にとって、あるいは豪林館学園高校にとって、そして『俺スカ』というドラマにとって原田のぶおとはどういう存在だったのだろうか。ちょうど寺尾校長(いとうせいこう)がそのような話をしていたが、ある人にとっては差し色となり、またある人にとっては新しい自分を見つける契機になっていたように、みんなに影響を与え続けた原田のぶおはやはりアイドルやスーパースターのような存在だったのではないだろうかと思う。現実の世界にはあれだけ自由な教師は存在しえないかもしれない、いわば偶像。ダイバーシティを一手に引き受ける夢のような人物だ。しかし、多様性というのはある特定のひとりがどうにかしてくれるものではなく、自分たち一人ひとりが、他人の個性を認め、自分の個性を認めることでしかはじまらないこと。我々がそうした人生を歩みだすためのスタート地点に立てるように、原田のぶおという教師が導いてくれていたのだろう。加えて、永瀬廉(king & Prince)、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、長尾謙杜(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、白石麻衣(乃木坂46)と、本物のアイドルが多数出演しているというのも多層構造的な役割を果たしているように思う。

 ドラマが終わったあとに感じるのは、まるでライブを見終わったあとかのような爽快感。楽しい掛け合いに毎話心を癒されていた『俺スカ』が終わってしまうというのは悲しい。しかし、おなじみの黒で統一された服にカラフルなスカーフを身につけるようになった白石麻衣のように、また新たな希望を見つけに生きていこうと思わせてくれる、きわめて“人生賛歌”なフィナーレであった。 (文=原航平)

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