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いま、最高の一本に出会える

GLIM SPANKYは“ロック仲間”とともにカルチャーを創造していく 新たな目標掲げた豊洲PIT公演

リアルサウンド

19/6/12(水) 7:00

 2019年3月、GLIM SPANKYは地元・長野県から全国24都市27公演のワンマンツアー『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019』をスタート。そして6月8日、4thアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』の発売(2018年11月)から約半年を経て、豊洲PITでついにツアーファイナルを迎えた。

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 チケットの完売を物語るように、会場が暗転した途端、興奮気味の歓声が上がった。アルバム1曲目を飾る「4 Dimensional Desert」に乗せ、かどしゅんたろう(Dr)、栗原大(Ba)、中込陽大(Key)のバンドメンバーと共に、GLIM SPANKYが登場。松尾レミ(Vo/Gt)は赤いエレキギターを持ち、中央に颯爽と立った。アルバムの曲順に沿って「Love Is There」「TV Show」を披露。ステージバックには色鮮やかな映像が投影され、魔法のような世界に誘われていった。続く「END ROLL」では亀本寛貴(Gt)のサイケデリックなギターが響き渡る。「怒りをくれよ」では、観客の手が一斉に上がり、松尾の清濁併せ吞むような歌声の力強さに、引き込まれていく。

 MCに入ると亀本は「ツアー、今日入れて27本目なんですよ」とツアーの長さにふれ、「今日は(会場が)大きいですね。視力が両眼合わせて0.2なんで、後ろの皆さんの顔は見えないです、ごめんなさい」との言葉に会場は爆笑。松尾は「私は0.7と0.9だから、みんな見えるからね!」とフォローするなど、和やかなトークを展開した。続いて、2018年公開映画『不能犯』の主題歌「愚か者たち」へ。MCの雰囲気からは想像できない 〈お前なら さあどうする〉という歌詞が、胸に刺さる。曲が終わると松尾にスポットがあたり、語るように歌い出したのは「闇に目を凝らせば」。クラゲが浮遊するような幻想的な映像と、松尾のビブラートのかかった歌声が美しく融合した。

 その後、アルバムリリース時のインタビュー(参考:encore)で亀本がやりたいことを詰め込んだと語っていた「ハートが冷める前に」と、松尾が「この2曲があったから、アルバムをポップなロックの方向性に持って行けた」と語った「The Flowers」「In the air」を披露。前者のアンセム的なテンションとは対照的に、後者は松尾のハイトーンボイスに導かれ、明るく日が差し込んでくるような穏やかさがある。フロアも身体を自然に横に揺らしていた。続く「褒めろよ」はまさに“ロックンロール”。会場がロックという名のローラーコースターに乗っているようで、曲が終わると客席からは「最高!」という叫びも聞かれた。

 半分が終わったところで、MCへ。松尾は、「長野の実家にいた時、土曜の朝が好きだった。遅く起きても良くて、下のリビングから母親が焼くパンやオレンジジュースのかおりがして、階段を下りると庭に赤いソファを出してレコードを聴いている父親がいて、とても好きな空間だった。みんなにとっての心地よい朝を思い浮かべながら聞いてほしい」と紹介し、アコギを手に取り歌ったのは「Hello Sunshine」。再度MCをはさみ、「中学の頃にバンドを始めようという時、ウッドストックのDVDをバンド仲間たちと家で毎日少しずつ見ていた。今年ウッドストック50周年ということにツアー中に気が付いて、演奏したいと思った曲があって。中学の時に脳内で妄想していたウッドストックの姿を思い描いて、大学生の時に作ったです」と語り、「ミュージック・フリーク」を披露した。

 続いてテレビ朝日系列ドラマ『警視庁・捜査一課長 season3』主題歌の「All Of Us」へ。「NEXT ONE」では二人が寄り添いギターをかき鳴らす。曲中の掛け合いでは、客席後方に設けられた親子エリアの子供達もしっかりと拳を上げていた。そんな子供達も聴き入っていたのは、続く「大人になったら」。「私の目の前にいるロック・キッズ達に送ります」と松尾が語った通り、老若男女問わず頷きながら口ずさんでいる人も多く、その思いはしっかりと届けられていたようだ。

 本編最後を飾ったのは、アルバムラストと同じく「Looking For The Magic」。昨年の武道館ライブの後に、松尾と亀本が友人2人と共にアメリカLAのサルヴェーション・マウンテンを訪れ、「とても長い貨物列車が希望や期待を背負って走る光景と、どこへいくかわからないけど、ひたすら前へ進む自分達の人生を重ねて書いた」という一曲だ。車窓からの眺めのような映像も投影され、タイトル通り「魔法(理想郷)を探す」旅が続いていくようなフィナーレだった。

 本編でアルバム曲を全てやりきった彼ら。終了後すぐにアンコールの声がかかり、拍手も鳴り止まない。自らがデザインしたグッズTシャツを着て登場した亀本は「幕張メッセのイベントホール規模で、かっこいいロックを鳴らしたいと思うようになった」と未来を見据えた。アンコールでは「話をしよう」「いざメキシコへ」「アイスタンドアローン」の3曲を披露し、幕を閉じた。

 今回のライブで、松尾・亀本の両氏がMCの別々のタイミングでロックについて語っていたのが印象的だった。亀本は、「ロックは生活の身近にあるべきもの。チケット争奪戦をしてライブに『参戦』するのではなく、仕事帰りにビール飲みたいなという感覚でふらっと行けるライブでありたい」と持論を展開。松尾は「ロックは音だけじゃなくて、ファッション・アート・文学・映画など色々なカルチャーとともに生まれている。ロックに死ぬも生きるもない。みんなで新しいカルチャーをつくれたらと思っています」と言及した。ロックに対して、二人共が真摯に向き合っていることが感じられた。

 七夕である7月7日には、新木場STUDIO COASTで追加公演が行われる。松尾曰く「『ツアーの打ち上げ』だと思って来てほしい。全く違うセットリストでやります」とのこと。

 〈何処に居ようが自分の足で立て〉と「アイスタンドアローン」で歌ったように、彼らは自分のスタイルを貫き、ロック仲間(リスナー)とともにカルチャーを創造していく。ロックの定義を飛び越えた、唯一無二のロックスターの姿を見た一夜だった。(深海アオミ)

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