Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

小手伸也が語る、“3度目の月9”にかける意気込み 「革命的な変化を感じています」

リアルサウンド

18/11/19(月) 6:00

 “バイトをしている月9俳優”としても話題の小手伸也。2018年4月クールに放送された『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)で演じた五十嵐の名は、今でも広く視聴者の間で親しまれ、今クール『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)では、主演の織田裕二演じる甲斐のライバル・蟹江役を務め、憎たらしさと可愛さの絶妙なバランスが好評を博している。現在「勝負真っ只中」という小手伸也に、演劇との出会い、そして月9への思いを聞いた。(編集部)

【写真】小手伸也撮り下ろしカット

■「演劇をやるなら是非ここで、と2浪して早稲田に」

ーーまずは「小手伸也とは何者ぞ」というところからお伺いしたいのですが、大学時代にサークルで演劇を始められたのでしょうか?

小手伸也(以下、小手):実は高校時代にも、演劇部の助っ人として舞台を踏んでいました。80~90年代の小劇場ブームという背景もあり、演劇っておもしろいのかもと感じていたんです。そんなとき、学校に届いたDMを機に早稲田大学の劇団カムカムミニキーナの舞台を観に行ったら、すごく衝撃的で。まだブレイクする前の八嶋智人さんとかもいらっしゃって、「この人売れるんだろうなぁ」なんて思いながら、同じサークルに入りたい、演劇をやるなら是非ここで、と2浪して早稲田に入ったんです。

ーー明確な目標をもって、入学されたのですね。

小手:早稲田で一番有名な演劇サークルである演劇研究会は、かつては森繁久彌さんが所属していたほどの老舗団体で、「演劇に人生を捧げる」みたいな気質が当時から半ば都市伝説のように噂されてました。かたやカムカムミニキーナの母体であった演劇倶楽部は、「もう少しカジュアルに演劇をやりたい」という先輩たちが作ったサークル。僕にとってはそれがちょうど良かったし、やはりカムカムミニキーナから受けた影響は大きかったので、演劇倶楽部で本格的に演劇を勉強させてもらいました。

ーーそれから役者の道を歩み続けてきたわけですが、やめようと思ったことはなかったのですか?

小手:何度もありました。でも、潰しがきかないところに来てしまったっていうのがあって(笑)。去年、三谷幸喜さんの『子供の事情』という舞台に出していただいたときは、正直共演者の中で僕だけ、それ以降のスケジュールが真っ白だったんですね。でも絶対に反響があるから、デカい仕事が来るのを待つ姿勢でいようと。そのときは「三谷さんに使っていただいた上で何の反響もなかったら、僕はそこまでの人間なのかもしれない」と、ある程度覚悟はしていました。

■「覚悟の年でした」

ーー去年が、勝負の年だったということですね。

小手:覚悟の年でしたね。それが、今年になってこういう形になったので、今まさに勝負をしている最中です。

ーーまだ勝ってはいないと?

小手:全然ですね、勝負真っ只中。でも、この感覚は一生続くのかなと思います。

ーーそうなのですね。“キテる感”が、ある気がしますが……?

小手:僕自身はこれまでの活動をあまり下積みとは思ってなくて、言うなれば下積みの積み重ねの一番上にいるに過ぎないので、急にギャラが上がるわけでもなく(笑)。経済的に困窮しているわけではないですけど、別に浮かれるほど潤っているわけでもないですし、「よ~し、ポルシェ買うぞ」みたいな時代でもないし(笑)。僕自身もそんな性格ではないので、ただただ粛々と。周りの反響というよりも、仕事をいただける状況が続いていることに、革命的な変化を感じています。今までCMのオーディションを受けても「監督さんの評価はいいんだけど、クライアントさんが……」ということが多かったりしたので。

ーー一番、どうしようもないところですよね?(笑)。

小手:そうなんですよ。「ちょっと太りすぎ」とかでクライアントNGになったりして、「あれ? このCMってカロリーオフが売りのはずじゃ……」と思ったり、まぁ致し方ないんですが(笑)。

ーー飲み込もうと(笑)。

小手:そうそう(笑)。それが今、名指しでオファーをいただいたりすると、「クライアントさんから花束が届くんだ」とか「宣伝する商品をたくさんもらえるんだ」とか、状況の変化に戸惑うことの方がむしろ多いです(笑)。

ーー新しいことの連続の日々ですね。『コンフィデンスマンJP』の反響は、やはりすごかったですか?

小手:そうですね。僕自身意外だったのが例の副音声の方で、『コンフィデンスマンJP』のチームは、ざっくばらんが過ぎる人達だったので、僕も本当に自由にやらせていただきました。第1回の冒頭で「テコ入れのために始めました」とか言っちゃったり、視聴率の話をバンバンしたり(笑)。その振り切った姿勢が斬新だったんでしょうね。本編以上に反響をいただきました。

ーー作品自体も、すごく好評でしたよね。

小手:いろんな賞を受賞したり、違うドラマに出ても「いたのか、五十嵐」と言われたり……そんなに五十嵐が浸透するほど、みんな観てくれていたんだという感覚です。でも今、巷で“月9復活”なんて言われていますけど、その流れを生み出したのは我々であるっていう自負はあります。誰も言ってくれないので、自分で言うっていう(笑)。恥ずかしいので「今の月9の流れは、『コンフィデンスマンJP』から始まった」と書いてくれる媒体を大募集中です。

ーー検討させていただきます(笑)。

小手:あはは(笑)。月9が挑戦的な作品を生み出している中での、今回の『SUITS』だと思っているんですけど、その挑戦の延長線上に僕が居続けられていることは、すごく光栄に思います。新しいことをやるし、怖いから「とりあえず小手伸也を矢面に」ということなのかなとも感じますけど(笑)。こんなに何度も使っていただけるのは、嬉しいですね。

■「織田さんは非常に真摯に向き合ってくださる」

ーー3度目の月9ということで、心持ちに違いはありましたか?(『HERO』(2001年1月クール)にも出演)

小手:同じ月9枠でシンデレラ気分はもはや通用しないぞという危機感はありましたね(笑)。五十嵐は“謎の男”というところを際立たせるために、キャラクターのバックグラウンドなどの役作りは一切考えずに臨みました。けれども蟹江に関しては、その逆。しかも原作のキャラクターを踏襲するという大前提があるので、何倍も大変ですけど、やりがいがありますね。

ーー実際に、蟹江役を演じてみていかがですか?

小手:原作の蟹江役にあたるルイス役を演じているリック・ホフマンさんが偉大な方なので、どうしても僕の前に壁としてそびえ立っている。それを超えるためには……と考えたら途方に暮れましたが、彼のモノマネをするのではなくて、肉体的な反射とか、立ち方とか、クセを盗んで体に馴染ませることで、ルイスに見えるというところを目指しました。プロデューサーから、キャスティングの決め手は「顔が似てるから」とも言われていたので、ビジュアルが強みではあるけど、なおさらモノマネはできないなと。

ーー難しいところですね。

小手:「おもしろい反面、気持ち悪い」、「嫌な奴だけど、愛嬌がある」と相反した要素を持ち合わせたキャラクターなので、あらゆる面で慎重にやっています。あとは、アメリカンな身振りをしてほしいというオーダーではあるけど、僕だけがアメリカンな芝居をしていても違和感が生じてしまうし、どこまでやるべきかとバランスは常に考えていますね。最近は、蟹江がアメリカンな振る舞いをする理由をちゃんと表現したいと思っているんです。原作がアメリカだからということではなくて、日本人がアメリカ人っぽくする理由があるとしたら、何だろう? と考えて。

ーーその理由とは?

小手:蟹江はコンプレックスの塊みたいな人間なので、「ハーバード出身を笠に着たアメリカンな鎧を纏うことによって自分の強さ、スケール感を誇示したいんだ」という解釈が僕の中で生まれました。当初はあの大仰さを攻撃手段と捉えていたんですが、実はむしろ防御に近かった。これは撮影が進むにつれて、特に織田さんの芝居を受けながら生まれた考えです。今は、そんなところが視聴者に伝わるといいなと思いながら演じています。

ーー織田さんとお芝居をされてみて、印象はいかがですか?

小手:非常に真摯に向き合ってくださっているので、ありがたいです。織田さんにとっては、僕なんてどこの馬の骨かもわからない人間。でも「馬の骨にしては、噛みごたえがある」くらいには思ってくれているみたいで、僕とのセリフ合わせがないと「今日は絡みないのか、つまんないなぁ」とか言ってくださるんです。芝居後に、僕と自由演技を続けたりすることを楽しんでくださっているようで、一役者としても、一ファンとしても嬉しいです。

ーー中島裕翔さんとは、素敵な焼肉屋さんに行かれたそうですね。どんなお話をされたのですか?

小手:そうですねぇ……これは言えないなぁ(笑)。でも、すごくオープンマインドな話をしてくれました。いろんな人がアドバイスをくれる中で、自分らしさってなんだろうと思い至るようになったみたいで、「自分らしさの塊みたいな芝居をしている、小手さんはすごい」と(笑)。主演は受けの芝居が多いので、ディフェンスの技術は身に付くけど、オフェンスの手札の数、相手に投げる球種を培う機会を持てないんですよね。でも、中島くんにはバイプレーヤーとしても一目置かれる俳優でありたいという思いがあるので、「自分には何が足りないのか」といったところを、僕ごときがですがアドバイスさせていただきました。

■「さすがにバイト先でもバレるかな」

ーー小手さんご自身の展望については、いかがですか? 「声が良い」というお話も、よく耳にしますが。

小手:「声だけはイケメン」とよく言われます。声の世界では、僕もイケメンでいられるんだなって(笑)。ナレーションの仕事も増えていますし、アニメの声優も好きだし、映画の吹き替えとかにも興味があります。声優業ってすごく特殊なスキルが必要で、やらなければ技術が劣化していくものなので、できればどんどんやっていきたいですね。

ーーでは、今後の目標を一言で言うと?

小手:朝ドラ。

ーー本当に一言ですね(笑)。

小手:今まで“仮面ライダー俳優”、“月9俳優”、“大河俳優”といろんな冠をかぶらせていただきましたが、“朝ドラ俳優”はまだなので、それをいただきたいなと(笑)。夢は具体的なほうが叶うって言いますしね、すごく短絡的ですけど(笑)。

ーーやはり朝ドラの影響は大きいですかね?

小手:そう思いますね。おじいちゃん、おばあちゃんの認知度が変わるので、朝ドラに出たら、さすがにバイト先でもバレるかな(笑)。ウチのコールセンターは顧客の平均年齢が高めなので、今のところ、電話の向こうのお客さんにはバレていないんですよ。

ーーなるほど(笑)。朝ドラで、小手さんを拝見する日も近い気がします。

小手:びっくりするくらいのペースで、様々なことが起こっていますからね。 バラエティも含め、演劇畑だけでは巡り会えなかったいろいろなジャンルの方々が僕に興味を持ってくれることが嬉しいです。そのすべてに全力で応えつつ、間違いをしでかさないように品行方正を心がけ(笑)、謙虚にやらせていただきたいと思っています。

(取材・文・写真=nakamura omame)

アプリで読む