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変化を乗り越えたBABYMETAL、二人の証言から伝わるユニットとしての“強さ”

リアルサウンド

19/5/4(土) 8:00

 BABYMETALがゼロ地点へと戻った。一度はユニットの“崩壊”すらも頭をよぎった彼女たちの物語、メタルレジスタンスは今再び動き出そうとしている。

 さて、少しばかりごくごく主観的な感想にお付き合い願いたい。時が経つのは早いもので、振り返るとここ一年ほどは、彼女たちに対する気持ちのやり場にとまどっていた。中央のSU-METAL、両翼のYUIMETALとMOAMETALの三位一体で客席を虜にしていた片翼がステージを去り、道中では、ギターの神が永遠の存在となる悲しみにも打ちひしがれた。

 そして、2018年10月にYUIMETALが脱退を発表して以降。いや、正確にいえば時間はもっと前からで、2017年12月に彼女が広島グリーンアリーナ公演を欠席し、ステージに姿を現さなくなって以降は、思い出を引きずるべきなのか、それとも変化を受け入れるべきなのか。二者択一を迫られながら、その時々でいずれかの選択肢に心の中の針がふれ続けていた。

 その後、ようやく気持ちの整理が付いたのは、彼女が脱退を発表した直後に行われた幕張メッセイベントホール(『WORLD TOUR 2018 in JAPAN』)と、さいたまスーパーアリーナでの公演(『BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN EXTRA SHOW “DARK NIGHT CARNIVAL”』)を目にしたのがきっかけだった。フロントのメンバーが2人となるも、みずから“ダークサイド”と称する先手を打って、変則的な7人体制のフォーメーションを構えた彼女たち。背後からは、従来どおり神バンドの面々がステージを支えていた。

 あるべきと思われていた形が変わろうとも、BABYMETALはステージ上でたしかに求められるべき“体”をなしていた。では、舞台裏で彼女たちは何を思っていたのか。SU-METALとMOAMETALの独白が掲載された雑誌『ぴあMUSIC COMPLEX Vol.13』(ぴあ)の内容を、読み解いていきたい。

(関連:YUIMETAL脱退のBABYMETAL、ユニットの変化と彼女の存在意義を追う

■みずから“ぶち壊した”1年を乗り越えて強さを示すSU-METAL

 国内のメディアで、彼女たちの声が伝えられるのはきわめて珍しい。同誌でも2016年10月発売の「Vol.7」で掲載したメールインタビュー以来の約2年5カ月ぶりで、先述した最新号では、SU-METALとMOAMETALのそれぞれ1万字にも及ぶ貴重なインタビューが収録されている。

 激動だった2018年の活動について「自分が置かれている状況を見つめ直した1年だった」と振り返ったのは、SU-METALだ。YUIMETALがいなくなった状況に「今までは1+1+1=100ぐらいになっていたものが、ふたりだとどうがんばっても2にしかならなくて」と語る彼女は、なおも「私としては100%の力を出していたけど、それがお客さんにまで届いていないんじゃないか」と不安も味わっていたという。

 しかし、変化のさなかでは「大人になったらこういうダンスを見せていきたい」と、新たな目標も生まれたと述べる。

 それは新たにダンサーを迎え入れたのがきっかけで、ライブ後に自分たちを振り返るにあたり異なる視点が加わったことで、例えば、代表曲の一つである「メギツネ」では「大人な部分の見せ方」を、その存在を広く知らしめた「ギミチョコ!!」でも「今までは小さい子が踊るかわいい曲だったのに対して、大人の方が踊ることによって『大人かわいい』みたいな表現をすることができる」と学んだと話している。

 さらに、昨年は2017年12月に20歳を迎えたことから「大人とは」と、自問自答していたというSU-METAL。「今までは『学ぶ』立場だったのが、今は人に与えていく立場になってきている実感はあります」とみずからの成長も伝えるが、自分たちの活動についても従来の形を前向きに「ぶち壊したのが去年」だったと振り返りつつ、「私たちはずっと挑戦者」と述べながら今年からは「新たなBABYMETALの形を提示できると思います」と強い意思を示している。

■SU-METALに寄り添ったMOAMETAL

 自分たちの存在を「ライブの中に生きている」と語ったのは、MOAMETALだ。昨年の活動を振り返るとやはり、新たなイメージを見せる上で「どう表現するのか、お客さんにちゃんと伝わるのか」と不安も抱えていたというが、フォーメーションの変化によるプレッシャーもあったと打ち明ける。

 従来は中央にSU-METALが位置し、両脇のやや下がった場所をYUIMETALとMOAMETALが固めるというトライアングルのフォーメーションが基本だった。しかし、昨年以降のステージでは「後ろを振り返ってもSU-METALが見えないし、自分が前へ前へ出ていかないと後ろにいるSU-METALに伝わらない」といった場面もあり、本番でのアイコンタクトが満足に行かず、とまどう機会もあったと話す。

 ただ、その経験は「これまで以上にSU-METALに寄り添えるいい機会だった」とも明かす。従来のフォーメーションではSU-METALを背後から見守ることが多かった彼女であるが、ステージ前方で観客の前に立つ機会が増えたことで「SU-METALはこういう気持ちでステージに立っていたんだ」と確認するきっかけにも繋がったという。

■ライブに魂を込める彼女たちの強さ

 さて、モッシュッシュメイトと称される、BABYMETALを愛するファンたちに大きな動揺が走った昨年。しかし、僕らの抱いていた感情はすべて、表面的な変化にしか焦点を当ててられなかったがゆえの“取り越し苦労”だったのかもしれない。

 インタビューを読んで素直に伝わってきたのは、時には葛藤を抱えながらも変化を前向きに味わい、ライブのパフォーマンスになおも魂を込めようとする彼女たちの“強さ”だった。さて、今年は彼女たちの大きな節目となる4月1日の「FOXDAY」に、年内のアルバム発売や6月の横浜アリーナ、7月のポートメッセなごやでの公演が告知され衝撃が走った。それだけではなく、8月には台北のフェスへ参加し、2年ぶりに『SUMMER SONIC』へ凱旋。さらに、10月には多くのファンが心待ちにしていたアメリカでのアリーナ公演も告知され、今から楽しみでならない。

 思えばかつて“アイドルかメタルか”と議論されていたBABYMETALであるが、それすらも払拭するかのごとく、常に強い説得力を持つパフォーマンスで多くの人びとを魅了してきた。ユニットの根幹を揺るがすかのような変化を乗り越えて、どのような進化を遂げるのか。そして、“新生BABYMETAL”としてどのような衝撃を与えてくれるのか。想像は尽きないがやはり、その活躍は体感するほかにない。(カネコシュウヘイ)

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