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『ダンボ』 (C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

名作『ダンボ』どのように実写化されたのか? 脚本家が解説

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19/3/28(木) 11:30

1941年に製作されたディズニー・アニメーションをティム・バートン監督が実写化した映画『ダンボ』が明日から公開になる。本作は名作の世界観やキャラクターを生かしながら誰も観たことがない新たなストーリーが紡がれるが、本作を発案し、脚本も執筆したアーレン・クルーガーは物語を描く“視点”を変化させたことが大きなポイントだと考えているようだ。

クルーガーはアメリカ人脚本家で、『ザ・リング』や『トランスフォーマー』シリーズなどヒット作を多く手がけているが、以前から名作アニメーション映画『ダンボ』が大好きだったという。「5年ほど前にディズニーがこれまでに製作されたアニメーションの実写化を検討していると知って、ディズニーに『ダンボ』の実写化は進んでいるのか聞いてみたいんです。『ダンボ』は私の大好きな映画ですからね。するとまだ何も取り組んでいないと返答があったので、“この古典的な名作を違う角度から語った新しいバージョンのストーリーを発表させてもらえませんか?”と提案して、このプロジェクトが始まりました」

そこでクルーガーは脚本の開発に取り組む中で、オリジナル版『ダンボ』が“動物の視点”から人間の世界を描いていることに注目したという。「だから、実写版では逆に“人間の視点”からダンボの物語を描くことができる。これこそが私が最も興味をもった点でした。多くの人々に愛され続ける名作アニメーションに取って代わる作品をあえて作る気はありませんでした。しかし、違った視野からストーリーを語るのは非常に面白いと思ったのです」

そこでクルーガーは19世紀後半から20世紀前半のサーカスについてリサーチを重ね、当時のエンターテインメントやショーの世界がどんな事情だったのかも調べた。「サーカスの黄金時代に実際にダンボが存在したとしたら、彼の居場所はどこにあったのかを調査するためにサーカスに出演していた象の歴史についても色々と調べました。そしてオリジナルの『ダンボ』を何度も鑑賞して、できる限りオリジナルに敬意を払うように努力しました」

クルーガーの執筆した脚本にまず登場するのは人間たちだ。メディチ団長が率いるサーカス団は列車に乗ってアメリカ各地を巡業しており、ある町で愛らしい子象が誕生する。サーカスの看板になることを期待されていたその子象ダンボは、大きすぎる耳をもったユニークな存在で、観客から笑いものになってしまうが、戦地から戻ってきたホルトと彼のふたりの子どもは世話をしながらダンボを勇気づけ、やがて小さな象が大きな耳を翼のように羽ばたかせて空を飛ぶことに気づく。

「脚本を書く上では想像力を駆使して新しいキャラクターをイチから作り上げなければなりませんでした。そこでまず、アニメーション版に出てくるネズミのティモシーのような“ダンボの近くにいる家族のような存在”が必要だと思ったわけです。そして彼らは欠点や弱点のあるダンボと自分自身を重ね合わせるようなキャラクターとして描くことが重要でした」

クルーガーが語る通り、本作でホルトたちはダンボの家族のように行動を共にする。やがてダンボはショーで空を飛ぶようになり人気を集めるが、そこにダンボを利用しようとする興行師ヴァンデヴァーが現れる。「ヴァンデヴァーは本作では“悪人”の立ち位置にいる人物ですが、もし空を飛ぶゾウが本当にこの世界に存在したとしたら、ひどい扱いを受け、悪用されるのではないか? という現実的な考えを体現する人物としても描いています」

クルーガーは単にオリジナル作品をトレースしたり、水増しするのではなく、新しい視点で作品世界を見つめなおし、オリジナルのキャラクターと同じ役割を担う人間を創造し、作品にリアリティを与える悪役を登場させた。しかし、作品の核になっているのはアニメーションの『ダンボ』と変わらない。「ダンボが自分の欠点を長所へと変えていく姿は私たちにインスピレーションを与えてくれますからね」

『ダンボ』
3月29日(金)より全国公開

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