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異例尽くしの『ボヘミアン・ラプソディ』 遂に2018年度興収1位作品の座も確実に

リアルサウンド

19/1/10(木) 16:00

 例年、日本映画製作者連盟(映連)は1月下旬に前年の「全国映画概況」と興収10億円以上の作品の「興行収入ランキング」を発表しているが、今年の発表では異変が起こることになるだろう。というのも、そこで「前年」の対象となる作品は、一昨年の11月下旬から昨年の11月中旬に公開された作品。昨年中に公開された「正月映画」は公開中ということで翌年送りになるわけだが、昨年11月9日に公開された『ボヘミアン・ラプソディ』はその「正月映画」枠より前に公開された「前年の作品」の範囲に入ることになる。ところが、その『ボヘミアン・ラプソディ』が異例のヒットを続け、先週末は再び興収1位に返り咲くほどのロングヒットに。このままでいくと、発表の主役となるに違いない作品の数字がまだ大きく動いている状況での発表となってしまいそうなのだ。

参考:『ボヘミアン・ラプソディ』の作品賞はオスカー攻勢にどう影響を及ぼす? 大波乱のGG賞から予測

 冬休み最後の週末となった1月5日、6日。動員ランキングでは『シュガー・ラッシュ:オンライン』が23万人、『ボヘミアン・ラプソディ』が22万8000人と僅差で上回ったものの、興収では前者が2億9400万円に対して、後者が興収3億3600万円と大きくリード。12月24日時点で累計興収64.4億円だった『ボヘミアン・ラプソディ』は正月期間だけで20億円以上稼ぎ出して、1月6日時点で累計興収84.6億円に達している。

 2018年、それまで外国映画でトップに立っていたのは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で、累計興収約80億円。つまり、既に現時点で『ボヘミアン・ラプソディ』は2018年の外国映画興収1位の座を奪取しているわけだが、同作の勢いはそれだけではもう収まらない。それまでの日本映画、外国映画合わせての年間2位の『名探偵コナン ゼロの執行人』の約91億円、年間1位の『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の約92億円を超えるのも、もはや時間の問題。作品の公式Twitterアカウントでも「興収100億円目前の大ヒット中!」の文字が躍るという状態となっている。

 2019年に入ってからも、元日から安倍首相が昭恵夫人と90歳になる母親を連れ立って『ボヘミアン・ラプソディ』を劇場で鑑賞、1月6日(現地時間)にはクイーンのオリジナルメンバーで同作のエグゼクティブ・プロデューサーであるブライアン・メイが沖縄辺野古の埋め立て反対への署名をソーシャルメディアで呼びかけ、同日(現地時間)のゴールデングローブ賞ではドラマ部門の作品賞と主演男優賞(ラミ・マレック)をダブル受賞と、話題に事欠かない『ボヘミアン・ラプソディ』。ゴールデングローブ賞ではいずれの賞でも(先週末9位から7位に順位を上げている)『アリー/ スター誕生』とブラッドリー・クーパーもノミネートされていて、賞レースでは『アリー/ スター誕生』の方が有利と目されていただけに、少なからず驚きだった。

 というのも、『ボヘミアン・ラプソディ』は、最終的にクレジットされてはいるものの、監督のブライアン・シンガーが撮影途中の休暇から現場に戻らなかったために製作中に解雇。撮影の終盤から仕上げはデクスター・フレッチャーがおこなうという、内幕で大きな騒動があった作品。そうした経緯から当然のように、ゴールデングローブ賞でも主要賞の一つである監督賞にはノミネートもされていなかった。そのような作品がゴールデングローブのような大きな賞で作品賞を受賞するのは極めて異例のこと。2月24日に授賞式がおこなわれるアカデミー賞ではどうなるかはわからないが、『ボヘミアン・ラプソディ』への鳴り止まない称賛は、「映画にとって監督の役割とは?」という現代的な問題を突きつけるものでもあるのだ。(宇野維正)

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