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ぴあ

WANIMA、初のドーム公演で計7万人に見せつけたライブバンドとしての真髄

リアルサウンド

18/9/10(月) 18:00

 WANIMAの全国ツアーのファイナル公演『Everybody!! Tour Final!!』が、8月25日、8月26日の二日間に渡って行われた。会場は埼玉・メットライフドーム。1日3万5000人、2日間で計7万人を動員し、両公演即日ソールドアウト。バンドとして初のドームワンマンだ。

 35万枚を突破したメジャー1stアルバム『Everybody!!』を引っ提げて行われた本ツアーは、ライブハウス、アリーナ、そしてドームと規模を変え、計20万人を動員。問答無用の国民的ロックとなったWANIMAの勢いが具現化したツアーである。そしてファンが喜ぶ催しもたくさん用意されていた。

 まずはアリーナ横の道を行くと、「ワンチャン広場」なる大きなエリアが設置されている。ここに物販もあり、毎回争奪戦が繰り広げられるだけあって、朝8時に行ってみたが、すでに数千人の人だかり。9時から販売が開始すると、特に問題はなく、みんなスムーズに購入できた模様。両手に抱えきれないほどのグッズを持って、嬉しそうにしているファンを見ていると、なんかほっこりした気持ちになった。広場には他にも様々なコーナーが設けられていて、KO-SHINが子供の頃に憧れていたテキ屋のコーナーや、熊本県の名物を食べられるフードコーナー「ワンチャン食堂」、涼しい冷気が噴射されるロッテ「爽」のコーナー、「Drive」のジャケットで使用されていたペイント車と記念撮影できるなど、どこまでもファンのことを考えた工夫でいっぱい。

 その中でも特に盛り上がっていたのが、カーセンサーとコラボしたカラオケブース「ワンチャンカラオケ選手権」。ファンがWANIMAの曲を歌って得点を競い合うこのブースは、なかなかの白熱ぶりで、WANIMAの曲が持つパワーをまざまざと見せつけられた印象だ。そしてサプライズもあり、カラオケにFUJIも参加。「えっ?」「本物?」という驚きの声とともに、まさかのご本人登場でみんな大興奮だった。

 

 エリアに来ているお客さんを見渡して思ったのが、その年齢層の幅の広いこと。小学生や中学生のグループ、高校生や大学生、90年代後半にメロコアに夢中になった世代の人やその家族。そしてとにかくお揃いのWANIMA  Tシャツを着たファミリーが多い。数組の家族にWANIMAの魅力を訪ねてみたら、「とにかくパワーをもらっている」とのこと。そして一番ハッとした回答が、「家族みんなで歌えること」。これは本当にすごいことだと思う。例えば童謡だとか、その年を代表する曲だとか、そういうレベルまで彼らの曲が浸透している証だ。

 ライブ開始までの楽しい時間を過ごし、訪れた人がみんな笑顔になれる、お祭りのような幸せな雰囲気を作り出してくれる広場だった。

 そしてメインである1日目のライブ。この日のために撮り下ろしたオープニングムービー(動物研究家のパンク町田も出演!)が流れ、スタートまでのカウントダウンを煽る。SEの「JUICE UP!!のテーマ」と共にメンバーが颯爽とステージに登場。大歓声に迎えられ、KENTAの「WANIMAと3万5000人、開催しまーす!」の掛け声と共に、「夏の面影」で怒涛の二日間が幕を開けた。

 MC中にスイカ割りの余興なども挟みながら、盛大な夏祭りといった様相で、手を緩めずに会場を盛り上げていく。「ララバイ」やKO-SHINが一番好きな曲だという「ANCHOR」、「やってみよう」や「Drive」といったストレートなナンバーが観客を直撃する。

 向かって右側にはレッドステージが、左側には畳が敷かれたステージが設けられ、KENTA曰く「一番遠くの人も近くになるように作ってもらった」という。これはファンとの距離感を大切にしているWANIMAならでは。距離の近いライブハウスでの彼らは観客をイジりまくるし、ファンもそれを楽しみにしている。そうして生まれる一体感が、他のバンドのライブでは体感できない、多幸感をもたらしてくれるのだ。

 「みんなに歌を届けるため、楽しい一日を過ごすために貸し切りました!」と語るKENTA。そう、メットライフドームでのアーティストのライブで、アリーナスタンディングは初のこと。それだけWANIMAのライブの凄さが認められたのだ。「エム」では会場全体でウェーブが巻き起こり、「サブマリン」では舞台花火がファイアのように盛大に立ち上がる。大きな会場ならではの演出が印象的である。

 KENTAの聴く者を魅了する歌声と唸るようなベース、普段は寡黙なKO-SHINが弾き鳴らすギターはすごく雄弁だ。FUJIのドラムは重厚で、刻まれるリズムは曲の大きな推進力となる。百戦錬磨のライブバンドだけあって、魂のこもった演奏が観客を直撃し、会場全体のボルテージを天井知らず(ドームだから屋根あるけど)に高めていた。

 この日はアンコールを含む全22曲を披露し、「今日はありがとう! 明日もよろしくお願いします!」と幕を閉じた。翌日への期待感しかない。

 そして26日。正真正銘ツアーのラストとなる公演は、前日にアンコールで披露した「OLE!!」からスタート。2日連続でライブに参加した観客にとって、折り返し地点ということを告げるニクイ演出だ。「やっぱりファイナル最高!」と「Japanese Pride」では叫び、「THANX」では観客みんなと大合唱。バンドとファンの間に通う、ありがとうの気持ち。そこに嘘は一切ない。その後も映画の主題歌となった「Drive」、「CHEEKY」で加速度的に会場を盛り上げていく。

 大仕掛けであるムービングステージは見ものだった。FUJIが某大物歌手のモノマネで、“ヨーソロー!”と出航の合図を叫ぶ。その姿はまさにキャプテン・オブ・ザ・シップ。今年一番の話題曲DA PUMP「U.S.A.」を歌いながら、ステージをアリーナ中央へと先導する。「いいから」を演奏し始めると、ステージが360度に回転。本人たちも楽し気で、その演奏はどんどん熱を帯びていった。

 今回のツアーから披露している新曲「りんどう」は、観客みんなが携帯のライトで明かりを灯し、会場全体が美しくライトアップされる。これはファンが自然発生的に行った出来事で、メンバーみんなも驚いた模様。じんわりと心に沁みわたるようなバラードの美しさと、左右に揺れる光が相まって幻想的な雰囲気を演出し、「生きて生きて生き抜く」という想いが込められたメッセージをより際立てていた。

 次に移動した畳のステージは、KO-SHINが上京して初めて住んだ西新宿の4畳半をイメージしているとのこと。なんでも鍵なし、エアコンなし、たまに知らないおじさんが室内にいることがある、という事故物件よりタチの悪い部屋だったそうだ。この場所で、「ここから」をアコースティックで披露。悔しさや辛い思いを乗り越え、不遇の時代を笑い飛ばせるようになった彼らが放つ〈はじめよう ここから〉、〈ダサいのは今だけだから〉という歌詞には、なんかグッとくるものがあった。

 ファンからの支持も厚い「ともに」を、後半戦一発目に持ってきたのにライブ巧者の凄味を感じる。WANIMAとファンの間にある、同時代性というか共有性は、他のアーティストではなかなかお目にかかれない関係性だ。そういえば来ている大学生にWANIMAについて聞いたら、「今回のライブのために節約していた」と答えた。もはや何よりも大事な存在、自分の人生を共に歩める、そんな存在なのだ。その後も「ヒューマン」や「Hey Lady」、「オドルヨル」などで怒涛の展開を繰り広げていく。

 「不器用でも、未完成でもいい。また戻ってくればいい。好きにやってダメだったら、いつでもWANIMAのところに戻ってこい!」とKENTAが熱いメッセージを放つ。

 WANIMAを結成してしばらくの間、誰も自分の曲を聴いてくれないと嘆き、住んでいた近所の公園の草木に向かってベースをベンベン鳴らしながら歌っていたというKENTA。今では目の前で3万5000人もの観客が曲を聴き、共に歌っている。もし当時の彼へこの事実を伝えたら、信じてくれるだろうか。

 そんなことを考えていたら、「シグナル」が鳴り響いた。この曲は昨年12月に放送されたNHK総合『WANIMA 18祭』のために書き下ろされ、1000人の18歳世代とともに披露したことで大きな反響を呼んだ一曲。その後も広瀬すず出演のロッテ“爽”のCM曲として起用されたこともあり、YouTubeで公開後、10カ月で2000万回再生を突破、ファンの間では新たなアンセムとなっている曲だ。この曲が始まるとアリーナはモッシュサークル、ダイブの嵐となり、「もっとWANIMA! もっとエビバデ!!」のコールに観客の熱気は最高潮に。ラストは「Everybody!!」で、ラーラララの大合唱の中、本編が幕を閉じた。

 アンコールでは「花火」を披露した後、恒例のリクエストコーナーを開催。KENTAがアリーナに降りていって、挙手で演奏してほしい楽曲を募る。幸運にも選ばれたファンから要望されたのは、「TRACE」。「歌詞を覚えているか怪しいので、一緒に歌って!」と、観客発信で歌い出す。WANIMAは誰でも覚えられる簡単な言葉で、聴く人の心の奥底まで届けている。だからみんな自然と歌いだせる。これはすごく稀有な出来事だと感じた。

 「これだけは」を最後の曲として、二日間に渡るライブが終了。「ありがとう! みんな本当に愛しとるよ!」、「みんなこれからもWANIMAが好き! WANIMAでした!」とKENTAが感謝の気持ちを述べ、KO-SHINの一丁締めで幕を下ろした。

 ライブ後にはファンへ嬉しい報告が。この日の模様を収めたライブDVD『Everybody!! TOUR FINAL』の発売が決定し、さらには今回のツアーで行けなかった場所を中心に巡る『1CHANCE NIGHT TOUR 2018-2019』を11月から開催することを発表。ライブバンドとしての頂点を極めるべく、しばしの休息もとらない姿勢には感服するのみ。小バコや中バコ、アリーナ、ドームと演奏する規模は変われど、WANIMAの根本にあるものは変わらない。それはライブバンドである、ということ。彼らが演奏を始めれば、どこでもライブハウスと化す。そして演奏中の彼らの満面の笑顔からは心底ライブが好きなのが、嘘偽りなく伝わってくる。WANIMAの本質を観たいなら、やっぱりライブなのだ。

 WANIMAが狙うワンチャンは、もっと崇高なところにある!

 

(文=中沢 純/写真=瀧本 JON… 行秀、岸田哲平)

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