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いま、最高の一本に出会える

第19回

川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

『チャンス』の話から…ナタリー・ポートマン、『シェイプ・オブ・ウォーター』…モンローの『七年目の浮気』につながりました。

隔週連載

19/3/5(火)

 『チャンス』(1979年、ハル・アシュビー監督)で大女優シャーリー・マクレーンが演じて驚かせた女性のマスタベーションだが、二十一世紀に入ると、もう珍しい場面ではなくなった。
 まず、すぐに思いだすのは、ナタリー・ポートマンがアカデミー賞を受賞したダーレン・アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』(2010年)だろう。
 ニューヨーク・シティ・バレエ団の若きバレリーナ、ナタリー・ポートマンは、新シーズンのオープニングを飾る『白鳥の湖』の主役を演じたいと思っている。
 しかし、この作でプリマを踊るには、清純な白鳥だけではなく、奔放な黒鳥の二役をこなさなければならない。
 芸術監督(ヴァンサン・カッセル)に、「きみは白鳥を演じることは出来るかもしれないが黒鳥の激しい感情は表現出来ない」と言われてしまう。母親と二人暮らしで、私生活では真面目な優等生の彼女には、白鳥と黒鳥の両方を踊るのは無理だという。激しい恋愛におちたこともないし、性欲に身をまかせたこともない彼女には『白鳥の湖』は踊れない。
 落ち込む彼女に、芸術監督は冗談まじりに言う。「自分で慰めてみたら」。彼としては、彼女のお固いモラルを壊したかったのだろう。
 その夜、彼女は家に帰ると、過保護気味の母親(バーバラ・ハーシー)の目が届かない自分の部屋のベッドで自分を慰めてみる。

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