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水瀬いのりが語る、表現への意欲と理想像 「器の大きな存在になりたい」

リアルサウンド

19/1/25(金) 18:00

 声優・水瀬いのりが、2019年第1弾シングル『Wonder Caravan!』をリリース。明るく希望に向かって行進するような表題曲をはじめ、プラスの感情を持った楽曲が揃った1枚となっている。今回はそのリリースを前に、本作に至るまでの昨年の活動や彼女の音楽的嗜好も踏まえつつ、本作へ込めた想いについて語ってもらった。(須永兼次)

歌を歌う楽しさを感じられた 

ーーリアルサウンドに登場していただくのは初めてなので、まずは水瀬さんが普段接している音楽からお話をお聞きしたいしたいのですが。

水瀬いのり(以下、水瀬):基本的には自分の好きなものばかり聴いてしまうのであまり新しいサウンドに出会う機会がないんですけど、でも自分の好きな楽曲をどんどん聴いていくなかで、明確に自分の好きな曲調やフレーズみたいなものはどんどんわかってくるので、それを自分の曲でも試してみたくなりますね。

ーーそれはニューシングル『Wonder Caravan!』でも?

水瀬:はい。ちょっとファンタジーな世界観の楽曲ということで、自分の中では、SEKAI NO OWARIをイメージしていました。個人的にも好きなアーティストで、その好きな要素や楽器の音を取り入れたいな、と思いまして……。

ーー元々、お好きだったんですね。

水瀬:そうなんです。儚くて、夢の中の世界なのか現実なのかわからないファンタジックな世界を作り上げるのが素敵だなと思っていて。大太鼓や小太鼓がサウンドに使われていて、それが切なくなるようなタイミングで一斉に音量が大きくなる、というように感じていたので、イメージとしてはそういったものが頭の中にありました。

ーーさて、ここ最近の水瀬さんのアーティスト活動のトピックのひとつに、昨年夏の1stツアーがあると思います。全4公演のツアーのなかで、公演ごとの違いなども感じた部分はありましたか?

水瀬:特に初日は初めてのツアースタートということもあって、ほかの公演とはまた違う緊張感がありました。でも逆に2~3公演目はその経験があるからこそ、「もっとこうしたいな」とか「みんなにもっと委ねてみよう」みたいに、いろんなことを試して挑戦することができて、ファイナルの幕張でその集大成をお見せできたと思うんです。だから、きっとどの公演が欠けても最後の幕張のステージはなかったんだなって思います。

ーーそこでの生の反応を感じられると、ツアー後のレコーディングはそれまでとは少し感覚が変わった部分もあるのでは?

水瀬:はい。ツアーを回らせていただくなかで、純粋に歌を歌う楽しさをすごく感じられたんです。しかも「この場にしかないものを、ちゃんと表現したい」といったかけがえのないものが、各公演にありまして。そういった気持ちをツアーを通じて得られたので、「同じものを2回繰り返すっていうことは、ないのかもしれない」というぐらい、一球入魂するようになりました。

ーー具体的には、どのように変わったんでしょうか?

水瀬:たとえばちょっと歌詞を間違えちゃったり音程が届かなくても、「このテイクは、この気持ちでずっと走りたい」って止めずに続けたいなという想いが生まれまして。それは「きれい」とか「美しい」だけじゃない良さというものが、もしかしたらあるのかな? って気づいたからだと思うんです。声や表情だけじゃない、内側からあふれ出るものがもっと歌に乗ったら、もっともっと素敵な歌になるんじゃないかな、ってすごく思ったんです。

ーーそんな経験を経てリリースされるのが今回のニューシングルですが、1枚を通してポジティブな感情の曲が揃った印象があります。

水瀬:そうですね。特に意図してやったわけではなかったんですけど、3曲並べると本当に明るいメッセージの込められた曲たちになったなぁと思って。それぞれ走る速度や目指す距離はバラバラな曲たちなんですけど、スタートラインに立って走り出すという点が、共通しているかなと思ってます。

ーーそのうち表題曲は、TVアニメ『えんどろ~!』のEDテーマになっています。この作品自体へは、どのような印象をお持ちですか?

水瀬:『えんどろ~!』自体はファンタジー作品なんですけど、冒険だけにスポットを当てるわけではなくて冒険から帰ってきたあとの日常も描いているので、4人の主人公をはじめとするかわいいキャラクターたちの成長を、ゆるゆるっと観ていただける作品だと思います。

ーー水瀬さんもメイ役で出演もしていますが、演じるなかで楽曲と作品とのリンクをより感じる部分もありましたか?

水瀬:メイは普段は物静かですけど、自分の好きなものに特化してテンションの上がるようなオタク気質なところが光る女の子なんです。でもこの4人でいる時は、本当に彼女も心を許してリラックスしているので、サビの〈僕らが目指した世界なんだ〉っていうフレーズで、そんな個性も喋り方もテンポ感もバラバラな4人が、ちゃんと手をつないで同じ方向を向いている姿が思い浮かぶ曲なんです。

ーー楽曲自体は、初めて聴いたときどんな感想を持ちました?

水瀬:イントロからもう、今までの私の楽曲にはないものだなぁと思いました。しかもちょっとマーチっぽい小太鼓や笛の音が鳴っていたりと、自分の楽曲で今まで使ってこなかった楽器たちも入っていて、おひさまが昇ってきて新しい1日が始まったようなわくわくするような気持ちにもなる、はじまりをたくさん感じる1曲だなぁと思いました。

ーーそれを受けて、どう歌でアプローチしようと考えましたか?

水瀬:明るく前を向いた曲なので、常にみんなを引っ張っていけるようなパーティーのリーダーになったような気持ちで、キャラバンという同じ旗のもとに集まったみんなを引っ張っていけるような無償の愛や大きな希望といったものを意識しました。あと、言葉一つひとつを耳に届けられるようしっかり意味をもたせるようなイメージで、口角を上げることを意識しながら明るい音色を目指しました。

ーー今までにないような部分もありながら、そこにストリングスも顔を出す点は、水瀬さんの楽曲らしいなと感じました。

水瀬:それと、サビがすごく開ける感じも自分の今まで歌ってきた楽曲の個性のひとつなのかなと思っているんですけど……実は当初は、サビがもう1パターン作られていまして。そちらはコード感はあまり今と変わらないんですけど、メロディが高いところまで上がりきらない、もう少し大人しい構成のものだったんです。そちらもすごく素敵だったんですけど、今みなさんに聴いていただいているサビのほうが自分の気持ちも乗せやすいなと思って、こちらを選びました。

ーーしかも、大サビの最後にAメロが転調して帰ってくるので、最後の最後まで飽きずに楽しみ尽くせる感じもしますね。

水瀬:そうですね。大サビで終わったかなと思いきや転調した部分がまた戻ってくるっていうのは、「まだまだページは続くんだなぁ」と感じさせてくれるポイントになったのかな? と思って。私も歌っていて、すごく気持ちが高ぶるポイントです。

ーーそしてこの曲では、MVも撮影されています。

水瀬:今回はちょっとジャケ写の雰囲気にも近い映像作品になりました。今までのMVにないどこか童話のようなメルヘンチックな世界観になっていて、動物たちの首にかかったネックレスに私が電球をくるくるとつけて、一匹一匹に光を届けていくんです。希望や元気などが、輝きとなって灯っていくというストーリーになっています。

ーーここでも温かさがキーになっているように思うのですが。

水瀬:そうですね。最後に向けてどんどんスケールも大きくなって光の量も増えていきますし、いろんな人と出会って温かい映像として進化していくので、ぜひラストまで観ていただきたいです。

水瀬いのり「Wonder Caravan!」MUSIC VIDEO

自分の魅せ方を、またひとつパワーアップさせたい

ーーさて、今回カップリングも2曲収録されていますが、そのうち「君色プロローグ」の最初の印象は?

水瀬:この曲はどこか懐かしさを感じて、オシャレでキメすぎていないメロディラインが、すごくシンプルに自分の胸に届いたんです。しかも「次の音がこうなってほしいな」とか「サビの前、こんなブレイクがほしいな」とか思いながら聴いていたとおりに音楽が進んでいって、自分が求めてる曲調のタイプや好きな曲のジャンルに近いと思ったんです。特にAメロ・Bメロあたりはすごく好きで、デモの時点から「何度も聴きたいな」と思うメロディでした。

ーーこういったテイストの楽曲を歌う機会が多いように思います。

水瀬:そうですね。やっぱり自分の好きなジャンルというのもあって、こういうミディアムテンポの曲は聴いていてすごく心地良いんです。聴きたいワードはちゃんと耳に入ってきますし、それ以外はいい意味でちゃんと流れていくように聴けるので、すごく好きなんです。

ーーこの曲は片思いを描いたラブソングですが、歌う際には歌詞のヒロイン像みたいなものも、明確に頭にあったのでしょうか?

水瀬:ありました。タイトルに「プロローグ」っていう言葉も入っていますし、まだ1番2番では自分の想いを伝えていなくて、落ちサビに〈今すぐ伝えたくなる〉っていう言葉がくるんです。なので、そこまでは全部自分の心の中に書き留めてる想いなんだなと思ったので、世界に向けて手を広げて歌うというよりも、苦しくてもどかしくて切なくて、でもそういう片思い中のこの気持ちすらもぎゅっと抱き締めたくなるような愛しさがあって……という優しい気持ちを思い浮かべて、それを自分の中だけにとどめておくようなイメージで歌いました。

ーーそしてもう1曲のカップリング曲「Snow White」もラブソングではありますが、また恋の段階が少し違いますよね。

水瀬:はい。この楽曲に関しては、リリース時期に合わせて冬の歌が歌いたい、というところから選ばせていただきました。でもひとくちに“冬の歌”といってもいろんなジャンルがあると思うんですけど、そのなかで「とびきり幸せな冬を歌いたい」というのがあって、歌詞自体もこの世界の中でふたりだけにスポットライトが当たっているようなものにしたいな、というお願いをして書いていただいた曲なんです。

ーーそれが踏まえられた歌詞に初めて触れたときには、どう感じましたか?

水瀬:想像よりも2~3割増しの幸せムードがあったので、リズムに乗せるとスラスラっと歌えるんですけど、なかなか音読するとなると恥ずかしいなぁと思う歌詞になっていて(笑)。でも幸せすぎるふたりには、それぐらいがお似合いな温度だと思うんですよね。なので冬の曲ではあるんですけどちょっと温かな気持ちになる、頬が染まるような曲になっていると思います。

ーー水瀬さんの歌声も、とてもハッピーなものになっている印象がありました。

水瀬:そうですね。キーも高めなのでサビのアプローチはレコーディングでいろいろ試したんですけど、普段だったら地声で行く高さも、今回はあえてサビでは裏声と地声とを半々ぐらいのミックスにしまして。冬の繊細な空気感を表したり、熱さを和らげる要素として息を多めに歌ったりと、工夫しながら歌っていきました。

ーーそのほかにも、歌う際に気をつけたポイントはありましたか?

水瀬:大サビ最初の〈やっと言えたよ〉の部分は、そこだけでリテイクがあった覚えがあります。というのも、しっかり言ってもらいたい派と、ちょっと照れくさそうな感じで言ってもらいたい派でスタッフさんの中でも意見が割れたんです。どちらのパターンでも録ってみて何度か聴き比べをしたんですけど、恥ずかしいので歌った本人の前ではやめてよと思いましたね(笑)。

ーーお話を聞いていると、表題曲でサビの選択に関わっていたり、サウンドに対するこだわりも強いように思ったのですが。

水瀬:それは1枚目のシングルからずっと、必ずまわりのみなさんと一緒に考えながら制作を進めてきたので、自ずと意見を述べなくてはいけない場があったからだと思います。私自身は楽器も全然弾けないですし楽譜も読めないので、細かいことは全然わからないんですけど、音源を聴いて「もうちょっと隙間があるほうがうれしいかも」とか、歌い手の目線で「ここの歌詞は、この語尾だと伸ばしづらいかも」みたいに私なりの目線で思ったことを伝えていくことで制作に参加させていただいています。

ーーアーティスト活動も3周年を迎えました。今現在、ご自身の方向性や今後なりたい存在などは、思い描いていますか?

水瀬:ライブなどでの自分の魅せ方を、またひとつパワーアップさせたいなとは思っていて。身長もそんなに大きくないですし、大きなステージになればなるほどもっともっと動いて表現しなくちゃ、ということを昨年はすごく思ったので、ステージに立ったときにみなさんの応援や声援をこぼすことなく受け止められるような、器の大きな存在になりたいです。かわいいというよりかは、かっこいいとかついていきたくなる、みたいな存在になっていけたらと思っているので、ステージに立つと大きく見えるとか、普段とは別人みたい、みたいな言葉をかけてもらえるような存在に……時間はかかると思うんですけど、なっていく準備をしたいなと思います。

ーーそういった意味で、理想の方は今いますか?

水瀬:やっぱり全力で楽しそうに歌う方は、すごく素敵だと思います。同じレーベルの水樹奈々さんも、自分がこの世界に憧れたきっかけのひとりの、本当に大好きな先輩ですし。あとは同じ女性で言うと、aikoさんとか。ステージや演出も素敵なんですけど、身体ひとつで歌ってもあれだけ引き寄せられる存在感があって。aikoさんもとても小柄な女性なんですけど、歌うときに一瞬で楽曲の主人公になるのが、観ていて素晴らしいなと思って。ライブってもちろん歌を聴きたくて行くものだと思うんですけど、毎回同じもののないステージングをされる方で……CDでは物足りなくなる存在のひとりだな、と思っています。

ーーそういう存在に、自分もなりたい。

水瀬:そうですね。CDで聴いてもらうのももちろんうれしいですけど、「実際に生で歌ってるのを観ると、CDじゃ物足りないな」と思ってもらえるのがいちばんの理想かなと思うので、生で会いたい、生で聴きたいって言ってもらえる人になりたいです。

水瀬いのり『Wonder Caravan!』全曲試聴動画

(取材・文=須永兼次)

■リリース情報
『Wonder Caravan!』
発売:2019年1月23日(水)
価格:¥1,300(税抜)
初回封入特典:特製トレカ

<収録曲>
01. Wonder Caravan!
※TVアニメ「えんどろ~!」エンディングテーマ
02. 君色プロローグ
03. Snow White

オフィシャルサイト

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