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サザンオールスターズと芸術花火が生む相乗効果 オーガナイザー浦谷幸史が語る『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』

リアルサウンド

18/10/13(土) 18:00

 『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』が、10月27日にサザンオールスターズゆかりの地・神奈川県茅ヶ崎市のサザンビーチちがさきにて開催される。『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』は、サザンオールスターズ40周年を記念して、茅ヶ崎の有志と、通常の花火大会とは一線を画した「音楽」と「花火」を掛け合わせた花火エンターテインメントの先駆け“芸術花火”(株式会社GREAT SKY ART)チームが発起し、開催するもの。今回が関東で初めての開催となる当イベントはサザンオールスターズの楽曲のみを使用し、ワンアーティストの楽曲だけで構成される芸術花火は世界初となる。その挑戦に満ちた『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』についてオーガナイザーの浦谷幸史氏にインタビュー。今回のイベントにかける思いや、サザンと芸術花火がもたらす可能性などイベントの魅力に迫った。(編集部)

ワンアーティストで“芸術花火”ができるのはサザンオールスターズだけ

ーーこの『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』とは、どんなイベントなのでしょう?

浦谷幸史(以下、浦谷):サザンオールスターズがデビュー40周年を迎えたことを祝うべく、サザンの聖地である茅ヶ崎で、サザンの名曲にシンクロさせた形で“芸術花火”を打ち上げるーーというのが、簡単な概要になるのですが、そもそも“芸術花火”って何だっていう話になりますよね?

ーーそうですね(笑)。

浦谷:音楽に合わせて花火を打ち上げるというのは昔からやっていますし、その楽曲にシンクロさせた形で花火を上げる“音楽花火”みたいなものも、今、全国でものすごく流行っているんですね。ただ、“芸術花火”という名前でやらせてもらっている我々のチームは、他のものよりも音楽と花火のシンクロ率が高いことはもちろんですけど、そもそもそういったチーム自体、これまで日本に、ということは、すなわち世界に存在しなかったんですよ。

ーーというと?

浦谷:日本でいちばん有名な花火大会というと、秋田県の大曲で毎年行われている『全国花火競技大会』になると思うのですが、それはその年、誰がいちばん素晴らしい花火の玉を作ったかを決める大会なんです。もう100年ぐらいの歴史がある大会で、そこのトップがいわゆる“総理大臣賞”になるのですが、それを過去最多受賞されている野村花火工業さんをはじめ、アルプス煙火工業さん、安藤煙火店さんなど、日本の最高峰の花火製造業者さんたちなどが集まった……サザンに倣って言うならば、文字通り“花火オールスターズ”が結集してショーを作っているのが、我々のチームなんですね。

ーーなるほど。

浦谷:それに加えて……日本の花火職人というのはすごい伝統技術を持っていて、本当に胸を張って世界に誇れるほど素晴らしいんですけど、彼らはあくまでも花火の玉作りのプロであって、演出のプロではないんですよね。なので、僕らのチームというのは、花火製造業者さんはもちろん、花火演出、さらには企画から会場の設営、マネジメントの部分までも、その道のプロが集まっていて……そういうチームって、これまで日本に存在しなかったんですよ。

ーーそれが浦谷さん率いる「GREAT SKY ART」であると。

浦谷:そうなんです。で、僕らは2009年に茨城県ひたちなか市で開催した『大草原の花火と音楽』を前身として、2014年からは北海道札幌市モエレ沼公園で『モエレ沼芸術花火』というのを毎年やっていて……そこで“芸術花火”というのを確立していった感じなんですよね。

ーー浦谷さんたちは、そういった“芸術花火”のイベントを、これまで札幌や名古屋、福岡、京都でもやってこられたようですが、それと今回の『茅ヶ崎サザン芸術花火』は、どのようなところが違うのでしょう?

浦谷:もうまったく違うと思います。そもそも、全部をひとつのアーティストの楽曲でやるというのが、今回が初なので。通常の“芸術花火”では、大体10曲から12曲ぐらいを選曲して、それに合わせて、その曲の世界観を花火で表現するというのをやっているんですね。そこには、J-POPもあれば、オペラとかクラシックの曲も入っているような。というのも、ひとつのアーティストの曲でやると、単純に1時間もたないんですよ。楽曲のバリエーションにも限界がありますし、どこかでお客さんが飽きてしまうんです。だけど、僕らはずっと、いつかはワンアーティストで“芸術花火”をやりたいと思っていて、それができるのは日本では唯一サザンオールスターズだけだと思っていたんです。

ーーそれはどういう意味で?

浦谷:客観的に聴いて、あれだけ多彩な音色があって曲調も豊かなアーティストは、他にいないじゃないですか。要は、アップテンポなものからバラードまで、どんな曲でもあるんですよ。そして何より、誰もが知っている大ヒット曲がめちゃくちゃたくさんある。なので、見ている人たち、聴いている人たちも飽きないですし、ずっと感動し続けることができると思うんです。他のアーティストでやったら、恐らく一時間もたないですから。恐らくというか、絶対にもたないと思います。

ーー花火大会という特性上、子どもからお年寄りまで楽しめるものが理想であって、そういう意味でもサザンはうってつけですよね。

浦谷:そうなんです。単に名曲が多いというだけではなく、老若男女問わず人気があって、みんなが曲を知っているという。さらに言うならば、サザンの曲は、全体的に“花火感”があるというか……サザンの歌詞のなかに、よく「花火」というワードが出てくるのはもちろんですけど、ここで僕が言う“花火感”というのは、楽曲が持っている“色”なんです。で、花火もやっぱり“色”が大事じゃないですか。だから、その色付けが、すごい豊かにできるんです。他のアーティストだと……たとえば、このアーティストは赤っぽいよねとか、黄色っぽいよねっていうのがあると思うんですけど、サザンの場合、曲によって本当に色が違うというか、色の種類がとても豊富なんですよね。

ーーイメージの話ではあると思いますが、何となくわかります。

浦谷:あとは、スピード感ですよね。ひと口に花火といってもいろいろな玉があるので、打ち上がってから開くまでのスピードが、結構違ったりするんです。だけど、サザンの場合は、曲のテンポを考えても、アップテンポなものからバラードまで、本当にいろんな種類の曲がそろっているので、そういう部分でもバッチリだっていう。持ち上げるわけではないですけど、他のアーティストでは本当にあり得ないと思うんですよね。

ーーちなみに、浦谷さん自身は、サザンの音楽は?

浦谷:単純にめっちゃファンです(笑)。親の影響で、小学校5年生まで、音楽と言ったらThe Beatlesしか聴いてなくて、そのとき流行っているアイドルとかはまったく聴いてなかったんですけど、ふとしたきっかけでサザンを聴くようになって……以来、ずっと聴いています。なので、僕にとってサザンの音楽は、常にそこにある音楽というか、それこそサザンの音楽と共にある思い出みたいなものは、もう数えきれないぐらいあって。というか、そういうものは、誰しもが持っているんじゃないですかね。だから、ファンだって公言してない人も、実はファンだったりするんです(笑)。もう当たり前に存在するから気づいてないだけで、サザンの潜在的なファンっていうのは、きっとものすごい数になるんじゃないですか?

20年後、30年後も、きっと心に残り続ける体験になる

ーーただ、そんなサザンだからこそ、当日の選曲はかなり難しいというか、いろいろプレッシャーもあるのでは?

浦谷:そうですね。今回は僕もいろいろアイデアを出しているんですけど、いろんな意味で本当に難しいです(笑)。もちろん、これまでもずっとサザンの曲は聴いてきたんですけど、“芸術花火”を前提として考えると、今まで聴こえなかった音が聴こえてきたり、今まで見えてなかったイメージが膨らんでいったりするので。花火前提で考えているので、ライブのセットリストとは、だいぶ違うものになるかもしれないですね。

ーー基本的には、アップテンポあり、バラードありみたいな。

浦谷:そうですね。ただ、“芸術花火”の場合、アップテンポなものがアップテンポに聴こえなかったりすることもあるんです。バラードのほうが、花火の印象と相まって、むしろ大きな音で聴こえてくるようなところがあって。花火と言うと、みなさん玉数が多いほうがすごいように思うかもしれないですけど、バラードに合わせて超巨大な美しい花火が一発上がったほうが、強く印象に残ったりするんですよね。“芸術花火”は、先ほども申し上げたように、一発一発の花火の質が世界最高峰なので。いずれにせよ当日は、日本最高のバンドの音楽と、日本の伝統技術のオールスターズが完全に組み合わさるので、本当にすごい体験になると思います。

ーー今回の花火大会は、全席有料のチケット制となっていますが、それはやはり音響面に力を入れていることと関係しているのでしょうか?

浦谷:それもあるんですけど、実はもうひとつ大きな理由があって。チケット制にすることによって、当日の警備計画がスムーズになるんです。というのも、すべて無料にしてしまうと、本当にものすごい数の方々が来てしまうんですよ。今回の茅ヶ崎は初めてなので未知数ですけど、これまでやった“芸術花火”は、すべてチケット制でやっているにもかかわらず、周辺で見ていた人たちも含めると、1箇所の花火大会で少なくとも30万人以上という報告が警察からきているんですよ。これを全部無料にしてしまうと、本当にとてつもない人数がきてしまって、非常に危険なものになってしまうんです。警備計画の範囲が、それこそ際限なくなってしまうので。チケット制にすることは、来場者の方の環境面での充実はもちろんですけど、安全面を考え警備範囲を絞って、危険をなるべく少ないものにしたいという理由があるんです。僕らのチームというのは、花火に関してはもちろん完璧なんですけど、実は警備も含めた安全対策に一番力を入れているんです。そういう意味でも、お金を払って観ていただく一つのショーエンターテインメントとして間違いない体験をご提供します。

ーーなるほど。ちなみに、“芸術花火”としては、今回が関東初の開催になるんですよね?

浦谷:そうですね。札幌、名古屋、福岡、京都と主要都市ではやってきているんですけど、関東では今回が初ですね。そう、質の良い大きい花火を上げるには、それ相応の保安距離というものが必要になって……なので、今回の企画も、最初は東京のお台場という話もあったのですが、やっぱりお台場では無理なんですよね。それは、神宮球場や墨田川であっても同じであげられる花火のサイズに制限がかかるんです。今回の会場は海岸なので、保安距離がものすごく広いんです。間違いなく、会場からみる花火は視界に入りきらないくらいの圧巻の光景になりますよ。なので、そういう意味でも、これまでの花火大会とは違う、本当に素晴らしいものをお見せできると思います。

ーー“芸術花火”は今回が初という来場者も多いと思いますが、当日はどんなところに注意して見れば良いでしょう?

浦谷:うーん……それは特に、こちらからは無いですね。というのも、見ていただいた方が、そのままの形で感じてもらうのが、きっといちばん良いと思うので。そのとき思ったことが、多分正解なんだと思うんですよ。もちろん、来ていただいた方全員に、幸せな気分になってもらいたいというのはあるんですけど、こういう気持ちになってもらいたいとか、何かに誘導したいというようなことは、僕らの側にはまったく無いので。そう、幸せな気分っていうのは、人それぞれだと思うんです。年齢によっても違うでしょうし、誰と見ていたかでも違うでしょうし。ただ、何かを感じてもらえるようなものには、間違いなくなっていると思うので、あとはもう、見た人それぞれの感覚に従ってほしいですね。

ーーむしろ、見たあとの感想を、具体的に聞いてまわりたいぐらいですね。

浦谷:そうですね(笑)。でも、花火大会っていうのは、そもそもすごくインパクトがあるものなので、10年後、20年後とかでも、みなさんきっと覚えていると思うんです。しかも今回は、“芸術花火”で、“サザンの音楽”で……しかも、その会場となるのが、サザンの聖地である茅ヶ崎の「サザンビーチちがさき」であるという。それはもう、20年後、30年後も、きっと心に残り続ける体験になると思います。サザンの歌じゃないですけど、そこから見た人それぞれの物語や思い出が生まれるんじゃないかっていう。

ーー確かに。

浦谷:誰と行くかはもちろん、その行き帰りにも、いろいろ物語があると思いますし……そうやって見た人それぞれにとって、素敵な思い出になればいいなって思っています。そう、花火っていうのは、見た人が絶対幸せな気分になるんですよね。ケンカしていたカップルだろうが家族だろうが、花火のあとは絶対会話が弾むと思うし、気分も良くなって……会場自体が、本当に良い空気に包まれるんですよ。で、さらに今回は、そこにサザンとその聖地である茅ヶ崎という要素が加わって、その相乗効果は僕らにとっても未知数というか、もう想像できないですね(笑)。

ーーでは最後、当日来場される方々に、改めて注意事項みたいなものは何かありますか?

浦谷:そうですね……当日は、なるべく早く来ていただくことをおすすめしますということでしょうか。一応、砂浜エリア・椅子エリアに関しては14時開場、立ち見エリアは16時半開場、18時開演というふうに設定させてもらっているんですけど、まずは茅ヶ崎駅の近くにある小学校に寄ってもらって、そこでチケットチェックをしていただき、リストバンドを受け取って、そこから歩いてビーチに移動していただくという、ちょっと特殊なオペレーションになっています。

ーーなるほど。サザンビーチは、そこまで大きいビーチではないので、リストバンド交換場所は、別の場所に設置されているのですね。

浦谷:そうなんです。他の芸術花火だとしっかりと用意されたイベント会場で実施をするんですが、今回は茅ヶ崎の街自体が会場になる必要があるといいますか、茅ヶ崎駅を出てからサザンビーチにつくまでの導線も、このイベント用に緻密に組み立てています。通常だったら、茅ヶ崎駅からビーチまでは、20分くらいで行けるんですけど、途中で小学校に寄って、そこでリストバンドと交換していただくことを考えると、やっぱりそれなりに時間が掛かってしまうと思うんです。ビーチに辿り着くまでには、信号もありますので。だから、時間に余裕を持って、なるべく早めに会場に到着していただけたらなと。あと、まだこれはオフィシャルでは言ってないんですけど、早目に来てもらえた方には、そこで特別な体験があるかもしれないので、そちらも是非楽しみにしていてください(笑)。(取材・文=麦倉正樹/撮影=林直幸)

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