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岩井俊二

岩井俊二が「Last Letter」と原作小説の関係を双子に例え「“読後感”は異なる」

ナタリー

18/11/16(金) 21:31

岩井俊二による小説「ラストレター」の発売記念トークイベントが本日11月16日に東京・ブックファースト新宿店で開催され、岩井がマスコミ向けの囲み取材に応じた。

同書は岩井が監督、松たか子が主演を務める「Last Letter」の原作小説。「Last Letter」は夏の宮城を舞台に、手紙の行き違いがきっかけで始まった2世代の男女の恋愛、それぞれの心の再生と成長を描くラブストーリーだ。亡き姉・遠野未咲の代わりに同窓会に出た岸辺野裕里は、かつての初恋の人である乙坂鏡史郎に再会し、文通を始める。裕里を松、未咲の高校生時代と彼女の娘である遠野鮎美を広瀬すず、高校生時代の鏡史郎を神木隆之介、鏡史郎を福山雅治が演じた。

岩井の長編映画デビュー作「Love Letter」と同じく、手紙をモチーフにしている本作。1990年代当時と通信手段が変わり、現代の物語で手紙を登場させることには苦労もあったという。岩井は、スマホを壊されて使えなくなったというアイデアをきっかけに物語を構想。「複雑な物語なので解けないパズルを解き進めるような執筆でした。苦しみながらなんとか形にしていった」と創作を振り返る。

物語のベースとなったのは、岩井がペ・ドゥナを主演に迎え、2017年に発表した全4話のショートフィルム「チャンオクの手紙」だ。本作はアジア圏でも人気を誇る岩井が、初めて韓国で撮影した作品。そしてその要因ともなった「Love Letter」が、小説執筆時の念頭にあったことに触れ「あの作品が持っていたものを追いかけながら書いても面白いなと思いました。多少意識していましたね」と明かした。

映画「Last Letter」の撮影は仙台市内を中心とした宮城の各所と東京都内にて、2018年夏に行われた。岩井が故郷である宮城を舞台に映画を撮ったのは本作が初めて。岩井は「自分の原風景がそこかしこにあって。カメラを向けると、なんとも感慨深い思いになったと同時に、なぜ今まで撮らなかったのか不思議でした(笑)」と述懐する。また舞台を故郷にした理由には、劇中に登場する小説が関係していると吐露。「主人公が書いた小説なんですが、実は先に書き上げていました。それは自分の大学時代をベースに、横浜を舞台にした作品。この小説をよりどころとして、『ラストレター』を書いていました。だから今まで書いた物語の中で一番、底辺に自分のヒストリーがある。それをトレースするように作り上げました。だから中学時代は必然的に仙台が舞台となったんです」と語る。

小説は映画の撮影現場で得たディテールをもとに完成させた。「実際撮影していると、例えばテーブルの上に置かれたものなども細やかに演出していきます。そこで得たもの、アイデアを小説に持ち込み仕上げました」とコメント。一方で「映像で描いたものを細かく字で描写しても仕方がない」と話し、「映画は映画。小説は小説。双子のそれぞれの人生みたいな距離感を持たせないと、とはいつも考えていて。そういう意味で、“読後感”は映画と小説で異なると思います」と続けた。

なお会見後、岩井は自身がプロデュースを担当した「ハルフウェイ」「新しい靴を買わなくちゃ」の監督であり、脚本家としても知られる北川悦吏子とともにトークイベントに出席した。「ラストレター」は現在販売中。「Last Letter」は2019年に公開される。

(c)2019「Last Letter」製作委員会

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