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ぴあ

沢村一樹の“魔物”演技に騒然 『絶対零度』最終回で投げかけられた“正義の在り方”

リアルサウンド

18/9/11(火) 6:00

 『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)が、9月10日に最終回を迎えた。フォーカスされたのは、桜木泉(上戸彩)の失踪、井沢(沢村一樹)の妻子殺害事件、そしてミハンシステムの存在である。

 ミハンシステムとは、25年前の練馬台無差別殺傷事件で父親を殺された東堂(伊藤淳史)、婚約者を殺された田村(平田満)という、犯罪の予兆があった犯人の殺人を未然に防げなかった同じ境遇にいる2人が設立した制度であるとされてきたが、田村が在籍する以前に所属していた人物がいた。それが、桜木と赤川武志(須田邦裕)。田村と小田切(本田翼)、南(柄本時生)がミハンに所属するのは、これより後の話だ。桜木と赤川がミハンに所属していたという事実が伏せられてきたのは、テストケース1件目で冤罪事件が起きてしまったからだった。

 危険人物としてリストアップされた谷口正博(斉藤佑介)は、犯罪組織の人間によって犯人に仕立て上げられた被害者。無実とは知らず谷口を射殺した赤川は、全てを公言しようとし、何者かによって殺された。警察官の罪を暴く元監察官だった井沢の妻に連絡していたことで、赤川と井沢は繋がっていたが、口封じの連鎖によって、井沢は妻はおろか、娘まで殺されていた。赤川を殺したのは、宇佐美洋介(奥野瑛太)。その命令を実行したのが、東堂だった。

 最終回のストーリーが一気にヒートアップしてくるのが、開始から30分過ぎの井沢と東堂が対峙するシーン。「社会の構図が変革するとき、いつの時代であっても犠牲は生まれる」と進化していくミハンシステムに未来を託し“私が選んだ正義”と主張する東堂に対して、井沢は胸ぐらを掴むが、心の痛みを知っているからこそ、東堂を殺すことはできない。真実を知りながらもあえて桜木を殺そうとしなかった東堂の行為から、井沢は警察庁次長・町田博隆(中村育二)を真の黒幕としてロックオンする。

 この間にも次は東堂が口封じの連鎖によって刺されるという事態に、井沢は血だらけになりながら、町田のいる警察庁に向かう。宇佐美に向けて発砲した過去を持つ井沢は、“反社会的サイコパス”、“罪をもみ消した元公安の魔物”と言われてきたが、通行人がたじろぐほどの殺気を放ち歩くその姿はまさに魔物だ。ボディーガードをなぎ払い、町田を会議室に拘束する井沢。妻子を殺された元凶であることからその殺意は向けられているが、同時に井沢の脳裏には妻子の姿、ミハンの存続を願い自ら命を絶った田村、自身の正義を貫き犠牲になろうとしている東堂の姿が浮かぶ。小田切、山内(横山裕)が井沢の名前を呼ぶ中、無念にも10発近くの銃声が鳴る。

 山内がドアを突き破った先にいたのは、立ち尽くす井沢と、頭のすぐ横を何発も撃たれた町田の姿。発砲前に映し出される井沢の表情は、目を血走らせ殺気を放ちながらも、涙をためどこか悲哀にも似た感情が見て取れる。復讐心と葛藤する井沢を止めたのは、小田切と山内をはじめとしたミハンチームの声だった。ここで印象的なのが、事件の顛末を見守っていた桜木がつぶやいた「殺せばいい……」という一言。「もう刑事ではいられない」「罪を犯してでもやらなきゃいけないことがある」と1年間、単独行動を行ってきた桜木もまた、ミハンに組み込まれてしまった人間の1人であるが、チームとしては活動してはいない。田村、東堂は罪を犯した人間であるが、信じる正義を貫いたミハンチームの仲間。復讐の連鎖を止めるため、井沢もまた自身の貫く正義を選んだのだ。

 最終回には、全ての真実を暴こうとする桜木に上司の長嶋(北大路欣也)が、「正義に正しいも間違いもない」「立場が違えばその正義も変わる。お前の信じる正義を貫けばいい」と助言を送るシーンがあった。『絶対零度』シーズン3において、描かれていた大きなテーマは“正義の在り方”だったように思う。物語のラスト、刑務所にいる東堂に井沢は「ミハンは扱う人間によって光にも闇にもなる」「これからミハンがどうなっていくのか」「あなたには見届けていてほしい。生きろ。生きてくれ」と続けた。かつて田村が選んだ自殺という“正義の選択”ではなく、生きるという道。脈々と受け継がれる“正義の連鎖”が、井沢を、そして未来のミハンチームを支えていくのだろう。(渡辺彰浩)

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